今回はすずきさんのブログ『スズキオンライン』からご寄稿いただきました。

【Abema20勝VS.ニコニコ19勝】SAOや禁書もAbemaが最速、2年で逆転した新作アニメのネット最速配信競争(スズキオンライン)

 こんにちは、すずき(@michsuzu)です。
 10月に入り、秋アニメが始まりましたが見ていますか?

 アニメといえば昔はテレビや映画館で見るものでしたが、今はスマホやPCなどからネットで見る人も多くなっています。

 数多くの配信サイトがある中、無料で見られて規模が大きいのはニコニコとAbemaの2つ。その2サイトが繰り広げているのがネット最速配信競争です。

 アニメ配信は流す内容が同じなので、先に配信した方がより多くの視聴者を集められ、コメントも素直に感情を表すものとなり、ネタバレも少なくなるでしょう。違法アップロードされるアニメも多いですが、罪悪感なく、みんなでガヤガヤ楽しめる体験はかけがえのないもの。

 そこでネット配信でニコニコとAbemaのどちらが早いのか、公式サイトなどをもとに秋アニメ全作品について調べてみました。

 それなりに手間がかかった結果がこちらの表。配信が早い方に色をつけています↓

 作品によっては「配信予定」としか情報が出ていないこともあるのですが、「配信日が確定した配信サイト」と「配信予定のある配信サイト」の2つなら「配信日が確定した配信サイト」、「配信予定のある配信サイト」と「不明の配信サイト」の2つなら「配信予定のある配信サイト」を勝ちにしています。

 全作品網羅したつもりですが、抜けがあれば教えていただければ。10月8日時点のデータなので、これから追加されることもあるでしょう。

 この表をもとに、2サイトのネット最速配信競争の勝敗を集計しました↓

ニコニコ:19勝

Abema:20勝

引き分け:4つ

 結果は僅差ですがAbemaの勝利。

 実は2年前、2016年の秋アニメでも同じ調査をしたのですが、その時はニコニコの圧勝でした。時代の変化を感じますね。

「【ニコニコ40勝VS.AbemaTV21勝】激化する新作秋アニメWEB最速配信戦争を表でまとめた」2016年10月06日『スズキオンライン』
https://michsuzuki.hatenablog.com/entry/2016/10/06/115750

Abemaが人気作続編を最速配信

 今回、僕がこの記事を書いたキッカケでもあるのですが、注目すべきはAbemaが『ソードアート・オンライン アリシゼーション』『とある魔術の禁書目録III』という人気作続編の最速配信を押さえていること。

 『ソードアート・オンライン』『とある魔術の禁書目録』は電撃文庫原作。電撃文庫はKADOKAWAの1レーベルなのですが、KADOKAWAはニコニコを運営するドワンゴと同じくカドカワの子会社(ちょっと名前がややこしい)。

 つまり、最速配信のサイトを選ぶ上で、グループ会社を優先していないのです。

 以前、『攻殻機動隊』シリーズで有名なアニメ制作会社・IGポートの株主総会で、アニメ配信についての僕の質問に対して「先行配信ならロイヤリティを高く積んでもらえるところもある」という回答がありました。

Q ニコニコなどでのアニメ配信の目的は。対価を得るためか、盛り上げてもらい原作や円盤、グッズの販促につなげるためか。関連でAbemaTVもアニメ配信に積極的だが、ニコニコと天秤にかけて最速配信や独占配信という形でお金をとることはやっているのか、もしくはできないか #IGポート総会
— すずき@カレー食べ放題 (@michsuzu) 2016年8月26日

郡司:認知獲得がメインで、宣伝の意味合いが大きい。先行配信ならロイヤリティを高く積んでもらえるところもある #IGポート総会
— すずき@カレー食べ放題 (@michsuzu) 2016年8月26日

「#IGポート総会」『twitter』
https://twitter.com/hashtag/IG%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E7%B7%8F%E4%BC%9A?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw

 なので、Abemaがこの2作品を最速配信できた背景には、相当のお金が動いていることが推測できます。ニコニコは金欠で、対抗できるだけのお金は出しにくいでしょうし。

 ただ、アニメの製作委員会の立場で考えると、ちょっと違和感のある点も。

 『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のネット配信は、Abemaは地上波と同時なのですが、ニコニコは「1週間+30分」後。つまり、地上波で2話が流れた直後に、ニコニコで1話が流れるのです。

 作品のことを思うなら、最新話の放送で最大の盛り上がりを作るため、その直前に前話をチェックできるようにしたいもの。

 恐らくAbemaと1週間独占配信契約を結んでいるため、こうせざるを得なかったと思うのですが、製作委員会の意図を聞いてみたいところ。

 Abemaが最新話放送直前に見逃し配信してることも影響してそうですが、できるだけ多くのサイトで微妙に時間をずらして見逃し配信した方が盛り上がりますよね。『とある魔術の禁書目録III』では、地上波最新話の直前にニコニコで前話を見られるタイムテーブルになっているので余計気になりました。

 SAO版権チームは、劇場版やゲームなどと合わせてSAOコンテンツを切れ目なく展開するなど、細やかな配慮をしているので、何らかの考えはあるのでしょう。そもそも、ネット配信が1週間より長く遅れるのは他作品でもあることですが。

 もちろん、お金の問題だけでなく、ニコニコの集客力が落ちていることも理由のひとつでしょう。ニコニコのアニメ配信はかつては数万の来場者を集めていましたが、最近は1万を切る作品も珍しくありません。

 一方、AbemaTVはただ配信するだけでなく、Twitterのプロモトレンドに出稿して盛り上げてくれたりもします。SAO版権チームは、この宣伝力を買っているのかも。

 とはいえAbemaTVはまだ赤字。こうした広告の費用は、みなさまのデレステやグラブルへの課金でまかなわれております!

新プレイヤーの登場

 秋アニメの配信サイトを調べる中、新たなプレイヤーの台頭にも気づきました。

 それは「Amazonプライム・ビデオ」。

 Amazonプライム・ビデオは年額3900円の有料配信サイト。

 秋アニメのうち、『からくりサーカス』『色づく世界の明日から』『寄宿学校のジュリエット』の3作品は独占配信。

 『蒼天の拳 REGENESIS 第2期』はテレビ放送の1週間前、『走り続けてよかったって。』はテレビ放送の10分前から先行配信と、すべてのメディアの中でAmazonプライム・ビデオが最速になっています。

 有料配信サイトではNetflixのオリジナルアニメが話題になりましたが、こうした動きも注視したいところ。

 ほかにも、TOKYO MXや日テレ系列で放送する『ゴールデンカムイ(第2期)』を、なぜかフジテレビの配信サイトのFODが独占配信するといった謎な組み合わせも見かけました。

 配信サイト事情を調べると、アニメビジネスのトレンドなど、アニメ本編以外の面白さも見えてきたりするので、今後、チェックしてみてはいかがでしょうか。

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 ニコニコ生放送の各アニメ第1話で、番組の最後に行われる視聴者アンケートの「とても良かった」の割合でランキングを作っています。今期見るアニメの参考になれば!

執筆: この記事はすずきさんのブログ『スズキオンライン』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2018年10月11日時点のものです。

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

情報提供元:ガジェット通信
記事名:「【Abema20勝VS.ニコニコ19勝】SAOや禁書もAbemaが最速、2年で逆転した新作アニメのネット最速配信競争(スズキオンライン)