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『人間椅子』バンド生活29年が濃縮されたMV集について和嶋さん&監督さんに聞いてみた



現在『おどろ曼荼羅~人間椅子2018年春のワンマンツアー』を開催中のロックバンド「人間椅子」。バンド生活29年間で初となるMV集『おどろ曼荼羅~ミュージックビデオ集~』が現在発売中です。



このMV集は、デビュー当初の貴重な映像から、最新曲『命売ります』までの軌跡がギュッとつまったファン必見の1本。今では見れない貴重な姿にも注目です。そして、人間椅子の最近のMVと言えば、プロジェクションマッピングが超話題となった『虚無の声』。A+plus田中監督による新しい人間椅子の表現方法にメンバーも感動しきりだったのだとか。


そこで、和嶋さんとA+plus田中監督による人間椅子MV振り返り対談を敢行! 『虚無の声』制作の裏話などお話を伺ってきました。



――MV集について、MVについて色々とお話を伺いたいのですが、監督と人間椅子がご一緒する様になったきっかけはどんな事だったんですか?


和嶋:都内某所に、夜な夜な最先端の映像作家が集まるアジトの様な秘密の店があるんです。そこにレコード会社の社員が潜入して、監督と知り合ったという経緯があって。監督が人間椅子を好きだという事を聞いて、我々のアルバム『異次元からの咆哮』のMV を作る際に、「自分たちはおじさんだけれど若者をビックリさせるようなMVを撮りたい」とお願いしたんです。


田中:僕はイカ天世代で、、青春時代はHR/HMにドップリ、自身も昔バンドやってたり(ヘタですが…)とROCK大好きでして、そして人間椅子のライブを地元・福岡で観に行ったり。友達が学祭でコピーやったりも。ずっと聴いていたので驚きでしたし、嬉しくて。


和嶋:ありがたいですねえ。キャリアが長い分、昔の人間椅子を知らない方も多いですから、活動を知ってくれているというのは本当にありがたいしやりやすいです。


田中:自分も最初は人間椅子って超和風のイメージが強かったというか。これまでのMVもあえてレトロっぽい雰囲気で作られていたのですが、「プロジェクションマッピングやドローンを入れたい」とオーダーをいただいてビックリしました。


和嶋:本来監督の得意分野であるプロジェクションマッピングを、存分にやってもらったほうが良いと思ったんですね。『虚無の声』の現実が崩壊していくありさま、をどの様にプロジェクションマッピングにしていくのか。2人でたくさん話をしながら作りました。


――『虚無の声』はネットの反響が大きかったですよね。


「虚無の声」MV

https://youtu.be/tYs_-BWwMkI [リンク]


田中:反響があったことはすごくありがたいですね。昔からのファンの方にはもしかしたら、「えっ」って内容だったかもしれないですが、例えどのような評価であっても反応していただけることが大切だと思っていて。


和嶋:僕は「ニコファーレ」を借りられた時点で良い映像が撮れると思ってたんですよ。あの場所はすごいですね、最先端の映像が撮れる。


――2017年年末に開催されたライブでも、プロジェクションマッピングの演出が行われました。


「異端者の悲しみ -Live at Zepp DiverCity Tokyo-」

https://youtu.be/OgAUT4Y7Dp8 [リンク]


田中:通常ああいった演出をライブでする際、楽曲と映像を同期させて作る事が多いのですが、バンドなのでズレてしまうと思い、リアルタイムで演出しました。MVでは一部しか見れなかった映像も、ライブではしっかり見せることが出来ましたし、特にねぷたの映像が出た時には盛り上がりを感じましたね。


和嶋:ねぷたは元々大きな絵ですからね。すごく映えるんですよね。


田中:これまでは「こう作ってください」という物を作る仕事が多かったのですが、『虚無の声』はアイデア出しから撮影まで全て関わらせていただいたので、その映像を見て歓声があがったことがすごく嬉しかったです。


和嶋:ライブは演奏を聴いてもらうことが一番なのですが、もう一つ何か持って帰って欲しいというか、楽しい演出があったほうがお客さんは喜んでくださいますよね。



――一方で最新曲『命売ります』のMVは全編モノクロとなりました。そのギャップも面白くて。


和嶋:ドラマのタイアップということで、多くの皆さんに届くであろう楽曲だと思いました。そこで、『虚無の声』で素晴らしいMVを作ってくださったA+plus田中監督に、再びお願いすることにしました。そして、今度はプロジェクションマッピングとは全然違うアプローチにしたいと。


田中:モノクロは以前よりやりたいと思っていたのですが、楽曲が生と死をイメージした曲だったので、白黒で表現しようと。


――素人な質問で恐縮なのですが、モノクロで撮る難しさってカラーよりも多い気がするのですがいかがですか?


田中:カラーで撮ったものをモノクロにするのですが、ただ白黒にすれば良いというわけでは無く、顔が黒くつぶれない様にしないといけないので照明に関しては結構シビアです。鈴木さんの衣装は黒なので普通に撮るだけだと、真っ暗になってしまうので、服のシワがよく出る様に明かりを工夫して。


和嶋:色々なモノクロのMVを見せてもらったのですが、同じモノクロでも色味が全然違うんですよね。その中で自分が良いなと思ったのは、洋楽でしたが、昔の映画風のアナログっぽいモノクロで。人工的なモノクロにはしたくないとお願いしました。


あとは最近のMVの傾向として、歌詞がテロップで出てきますよね。色々見た中で、サカナクションの『アルクアラウンド』の文字の出し方にすごく驚いて。凝ってますよね。あのMVでは、文字が実物で登場しますが、そのまま真似るわけにもいかないし、予算や時間の都合もあるし、ということでモノクロにあった映画風のテロップを入れていただきました。


田中:以前から、人間椅子の歌詞は、独特でユニーク。音だけじゃなく歌詞もしっかり知って欲しいと思ってましたので、今回、私から和嶋さんにリクエストしました。海外の人間椅子ファンも多いので、今後は、英語字幕も入れるのもありですね。


「命売ります」MUSIC VIDEO (Short ver.)

https://youtu.be/GNlntg-jmhk [リンク]


――過去のMVを振り返って、特に印象的な映像はどれですか?


田中:『りんごの泪』ですね。高校生の時に見たライブを思い出しました。


和嶋:これも映画風ですよね。『りんごの泪』を含む最初の2本は、当時の事務所の社長さんがこだわって撮ったものなんですよ。世界観もしっかりと出ていますよね。『ギリギリハイウェイ』『ダイナマイト』『浪漫派宣言』なんかはレア映像です。特に浪漫派は、作ったものの出す場所がなかった映像なんですが、手作り感が生々しさを与えていて、今見返すと新鮮ですね。


和嶋:あとは『幽霊列車』(1999)から『洗礼』(2004)あたりまでは芝居やってるんですよね。俳優さんを使わずに自分たちで小芝居を…。そうやって見返していくと全てに思い出があるんですが、順番に見ると技術の進歩にも驚きますね。


田中:僕も趣味半分、仕事の資料半分でMV 集はよく買うのですが、ライブ映像と違う、お金のかけ方やその時代のエッセンスみたいなものがつまっていて、面白いですよね。日本のバンドで28年分の映像がまとまっている作品集って無いですよね。


和嶋:メジャーな人は出したとしても10年区切りとかですもんね。


田中:だから濃縮度がすごいんですよね(笑)。


――次はいよいよドローンですかね!


田中:今回の2作品は、屋内(スタジオ)撮影、演奏メインのモノだったので

次回は、ドローンやレーザーなどの最先端技術を用いた演出、屋外撮影、昔の楽曲のMVみたいな演技やストーリー展開もあるMVに挑戦したいですね。


和嶋:我々年なので野外はキツイと思っているんですが、季節がちょうど良い感じに整えばぜひ挑戦してみたいと思います(笑)。


「おどろ曼荼羅 ~ミュージックビデオ集~」ダイジェストムービー

https://youtu.be/8MHN4T-brog [リンク]


―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』
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