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「世間ではウワサされていますが真相は?」芸能リポーター顔負け!? 息子の鋭いツッコミにタジタジ! 実の姉弟でもぎこちない微妙な会話 ~ツッコみたくなる源氏物語の残念な男女~



父の言い訳が怪しい……息子の鋭いツッコミにタジタジ


思い余って義理の姉・玉鬘に告白してみたものの「気分が悪い」と逃げられた夕霧は、失敗したな~……と思いながら父・源氏の元へ戻ってきました。


源氏は「まだ宮仕えには乗り気でないようだね。蛍宮の口説き文句に気持ちが動いていたようだから無理もない。でも行幸の際に帝を拝見して、内心は満更でもないと思っているようだし、このまま事を進めたい」と、もっともらしく言います。源氏が単にそうしたいだけなんですけどね。


対して夕霧は「中宮と弘徽殿女御の2強体制が盤石なのに、そこへ割り込むのは難しいでしょう。それに、無理に宮仕えに出ると父上と蛍宮の兄弟仲が悪くなりませんか」とツッコミ。ですよね~。最初、あれだけいい雰囲気を作ったりして釣り上げていたのにね……。


「そこがねえ。求婚者たち……髭黒あたりも私を恨んでいるらしい。玉鬘が誰かと結ばれれば、それ以外の男は全員失恋することになるからな。何にせよ、彼女は蛍宮の妻としても立派に役目を果たすだろうし、尚侍としても適任だと思う。清く明るく美しく、そして賢い人だからね」


源氏はついでに玉鬘を引き取った経緯も説明。「私は玉鬘の母親の遺言を聞いていて、遠い田舎で寂しく暮らしているというのも知っていたのだが、内大臣(頭の中将)が実娘と認めてくれないと泣きつかれたので、まずは私の娘ということにしたんだよ」。ちょっとまった!これはまったくの捏造だ!


聞いてもないのにわざわざこんなことを言い出すなんて、ますます怪しい……。夕霧は更にツッコみます。いいぞ!もっと聞いて!


「でも世間ではあれこれウワサしているみたいですよ。父上には既に立派なご夫人方がたくさんいらっしゃるから、玉鬘の姉上を愛人にするには都合が悪い。だから表向きは宮仕えということにして、裏では絶対に手放さないつもりなのだろう……と。


伯父上(頭の中将)も、なるほど賢いやり方だ、と仰ったとか。確かなソースのある情報です」。おお、芸能リポーター顔負けの鋭いツッコミ!


源氏は内心ギクッとしながら「ずいぶんひどい想像をされたもんだ。私は内大臣(頭の中将)の意向を無にするつもりは毛頭ないし、善意で今までお世話をしてきたのだけどね。とにかく、ウワサが潔白であることはそのうち証明されるだろう」と逃げ口上。そう言われても、夕霧は父の言い分を素直に信じられません。あれだけイチャイチャしてたのを見たもんね!


この夕霧のツッコミに釘を刺された格好となり、源氏の宮仕え愛人作戦を実行するのは非常に難しくなりました。まあ、世間の人の多くは怪しいなと思ってるわけですからね。(それにしてもなんで頭の中将にバレたんだろう?)と、源氏は親友のカンの良さが少し怖くなります。まあ、付き合い長いですからねえ。


いよいよ宮仕え決定!追い込みをかける求婚者たち


ほどなく大宮の喪が明け、玉鬘の宮仕えは10月からに決定。帝はその日を待ち遠しくお思いになり、求婚者達は最後の抵抗を試みます。尚侍はあくまでも女官なので、夫がいてもOK。でも宮中に上がってしまえば帝のお手つきになるだろうし、婚活の追い込み(?)なら9月中です。


髭黒は夕霧の職場(右近衛府)の上司にあたるので、彼を呼び出してはあれこれ相談。また、実父の頭の中将にも働きかけ、結婚相手として認めて欲しいと訴えます。頭の中将は「育ての親・源氏の判断に任せる」と回答しますが、真面目一徹な人柄や、皇太子の伯父で将来が約束されている髭黒との縁組にはわりと賛成です。


髭黒は「10月からご出仕ですね。私はこの恋に命をかけていますが、それも今月まででしょう。儚いものです」。裏を返せば「今月中ならまだチャンスがあるからそこへ賭ける」ともとれる内容です。


一方、蛍宮はあきらめムード。「朝日のように輝かしい陛下のご寵愛を受けても、私のことを忘れないで下さい。私の想いを受け止めてくださったら、それだけを慰めに生きていきます」。まだお手つきになったわけでもないのに、髭黒とはずいぶん対照的です。


しかし玉鬘は蛍宮のお涙ちょうだい的な手紙に同情を寄せ「自分からすすんで宮仕えに行くわけではないのに、どうしてあなたを忘れることがあるでしょう」。宮にはありがたい返信でした。


これだけモテモテでありながら、誰になびくわけでもなく、源氏と頭の中将の意向を汲んだスマートな対応をする玉鬘。源氏は「姫君の理想。お手本にすべきだ」と思うのでした。


本当の姉弟とわかっても…なんだか微妙なぎこちない会話


その頃、弟たちもまた玉鬘の宮仕えにさまざまな思いを抱えていました。夕霧はあの告白以来、一切迫るようなことはしていません。ただひたすら弟として、姉の出仕の準備を手伝います。せめて”いい弟”と思ってもらえれば、という思いを込めて……。


他方、実は姉弟だとわかった頭の中将の息子たちも「姉上の力になりたい」と思うのですが、いろいろな事情も絡み、連絡等もこっそりやる程度で、実際は玉鬘とはあまり親しくなれていません。


ある月夜の晩、実父・頭の中将の意向を伝えるために柏木がやってきました。玉鬘におネツだった頃は熱心にラブレターを送ってきたのに、身内とわかってからはパッタリ止めた彼。「極端すぎるわね」と、玉鬘の女房たちはその豹変ぶりをおかしく思っていました。


本来なら夕霧と話すように応対してもいいのですが、玉鬘にはまだ遠慮があって、女房に言葉を取り次がせます。柏木は「父が私を使いに出したのは、直接お話すべき内容だからです。なのにこうよそよそしくされては……私たちは本当の家族ではありませんか」。ブーブー言います。


玉鬘は「仰るとおりですね。私も長い間、離れていたときのことなどをお話したく思うのですが、最近少し気分の悪いことが多くて、ろくに起き上がれませんの。今のように仰られますと、かえって他人行儀な気がいたしますわ」。この人もクソ真面目だなあ。


柏木もなんだか落ち着かず「ご気分がお悪いのなら、お近くの几帳の側にでも通して下さいませんか。ああ、こんなふうに言うのもおかしいかな。すみません、やっぱりいいです」。と、その場で父の言葉を伝えます。どういう距離感ならいいのか、お互いに手探り状態。


「宮仕えは源氏任せなので何も出来ないが、必要なものがあれば何でも言って欲しい。人目をはばかって自由に会えないことがとても残念だ。あなたのことをいつも気にかけています」というのが、頭の中将からのメッセージでした。


柏木は続けて「私も、実の姉上と知らない頃は恥ずかしいお手紙をあれこれ差し上げましたが……、真実がわかった今は、女房たちも含めてもっと打ち解けて親しくしていただければ。今日のようなご対応は何とも、首を傾げてしまう」。まだ言ってる。


玉鬘は「ご存じなかったとは知らず、当時はお手紙をどう受けて止めてよいか困惑しました。それに真相を知ったからと言って、あまり急に態度を変えても世間の目がうるさいかと思いまして。こちらこそお話したいことはたくさんありますのに、本当に残念です」と、女房を通じて返答します。


さらにこの女房は「玉鬘さまは柏木さまだけでなく、あの頃は本当にどの殿方にもお返事をなさいませんでした。でもこれからはご家族として、少しずつご対応も変わられるでしょう」とフォロー。


こうまで言われちゃしょうがない。さすがの柏木も粘るのをやめます。「わかりました。あまり長居をするのも気が早いでしょうから、本日の所はこれで。これからは弟として一生懸命お手伝いしますから、どうか仲良くしていただけますように」。


柏木としては以前の思慕や、内心の焦りもあり、何とか玉鬘との距離をもっと詰めたかったのですが、空回りになってしまいました。本当の家族だとわかったとは言え、全体にとてもぎこちない会話です。


源氏の世話になっている手前、なかなか急に仲良くもできないため仕方ないのですが、読んでいる側もなんだかもどかしい気持ちになります。こういう時、どう関係を作っていけばいいのか、なかなか難しいですね。


こうして誰もが玉鬘の宮仕えを信じて疑わなかった矢先、突然の事態が彼女を襲います。


簡単なあらすじや相関図はこちらのサイトが参考になります。

3分で読む源氏物語 http://genji.choice8989.info/index.html

源氏物語の世界 再編集版 http://www.genji-monogatari.net/


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(執筆者: .ユウ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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