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「可愛い女の子を前に我ながらよくぞガマンしていることよ」仲良く添い寝? 一線超えない微妙なソフレ関係と台風がもたらすラッキースケベ! ~ツッコみたくなる源氏物語の残念な男女~



セクハラは困るけど……義父に抱く親愛の情


頭の中将のもとに近江の君が来てからと言うもの、世間は彼女のゴシップでもちきり。何かにつけてやらかす人なので、最近の話題には近江の君の名前ばかりが出てきます。


源氏は「大騒ぎして引きとった娘を、わざわざ人目の多い(弘徽殿)女御のもとに出仕させて、笑いものにするとは解せぬなあ。内大臣(頭の中将)の性格だと、こんな風になってしまうのだろうか。何やらその子が気の毒だ」。


玉鬘も、妹のウワサを聞いて複雑な気持ちでした。(こちらに引き取って頂いて本当によかった。もし実のお父様の方に行っていたら、私も彼女のような思いをしたかもしれない)。


右近も繰り返し「実の親でもなかなかここまで行き届いたお世話はできないものですよ」と言っていましたが、玉鬘もそのことが身にしみて理解できます。


迷惑なセクハラ行為はあるものの、無理強いする様子はなく、表向きにはとても大事にしてくれる源氏に、玉鬘も親愛の情を強めます。まだ男女の愛として、受け入れるところまではいきませんが……。


仲良く添い寝?一線超えない微妙なソフレ関係


魚心あれば水心。秋風が吹く頃になると、源氏はいよいよ玉鬘の部屋に入り浸るようになります。日暮れの早くなったある夕べ、2人は琴を枕に添い寝していました。庭の萩の葉が風に揺れる音がしんみりと聞こえてきます。


ただ横たわっているだけですから、今で言うなら添い寝だけの相手『ソフレ』でしょうかね。なんでも、添い寝で止めておくことで、恋愛ムードやドキドキ感が楽しめるのがソフレのメリット、だそうです。


しかしお互いが合意の上で行うならともかく、玉鬘はやっぱり(まただわ)と思っていますし、源氏の方は(可愛い女の子を前に我ながらよくぞガマンしていることよ)と、ここで終わるつもりはさらさらない。良いソフレ関係(?)とは言えなさそうですね。


日が落ちると庭には篝火が焚かれ、室内を照らします。ほの灯りの中の玉鬘は見るほどに美しく、手に触れる髪はひんやりと冷たい。とてもこのまま帰りたくありません。


しかし、あまり長居しても怪しまれる。源氏は帰りたくなさそうに、庭で篝火を絶やさぬよう命じながら、「あの篝火のように、私の想いはいつまでも消えないよ。本当にいつまでオアズケを食わされるのだろう」とまで言います。


玉鬘は困りながら「火は消えるものですわ。人に不審がられますから、どうか消して下さい」。これは彼女に技アリ有効。源氏は「やれやれ」と観念して部屋を出ます。


同じ夏の御殿の夕霧の部屋からは音楽が聞こえてきます。夕霧が頭の中将の息子たちと一緒にセッションをしていたのでした。源氏は長男の柏木の見事な笛の音に感服し、玉鬘に兄弟の音色を聞かせてあげようと、若者たちをこちらに呼び寄せました。


柏木は笛と和琴が上手く、紅梅は美声の持ち主。特に柏木の和琴は、名人の父・頭の中将にも劣らない腕前です。柏木は前から玉鬘に気があるので、こんなチャンスはないとばかりに思いっきり和琴をかき鳴らしたいのですが、態度には出さず、落ち着いた風を装っています。男だねえ。


玉鬘は感慨深く、兄弟の奏でる音色と思って聞いているのですが、柏木も紅梅もそんなことは夢にも思いません。彼らが真実を知る日はまだ遠そうです。


台風シーズン到来!秋風がもたらすラッキースケベ


六条院にも本格的な秋がやってきました。特に今年は秋の庭がひときわ見事です。里下がりしていた秋好中宮はこの絶景を大変気に入り、長居してなかなか宮中に戻りません。しかし残念なことに、例年よりも強い野分(台風)やってきて、庭を無残に荒らしていきます。


中宮は愛する秋の草花がめちゃくちゃにされるのに堪えられず、風の音に怯えながらひたすらお庭の心配ばかり。この感じ、田畑のある人や、園芸好きな人はきっと共感出来るはず。でも外に様子を見に行ってはダメですよ!


春の御殿でも、源氏がちい姫の部屋へ様子を見に行っていました。そこへ夕霧がやってきます。夕霧はとにかく真面目なので、毎日おばあちゃんの家と、源氏の春の御殿へ欠かさず挨拶にくるのです。今日は特に「台風の被害が心配なので、大宮のおばあ様のところへ行きます」と伝えに来たのですが……。


ふと渡り廊下を見れば、普段は厳重に戸締まりをしてある戸口が空いたまま、女房たちがバタバタしているのが見えます。吹き込む風に気を取られ、屏風をたたんだり、几帳を寄せたり、御簾を抑えたり大騒ぎ。


おかげで部屋の中がよく見渡せた夕霧は、1人の女性に目が釘付けになります。明らかに女房とは違う、気高く清らかな、見たこともないような美しい女性に。


その女性は心配そうに庭を眺めていましたが、大わらわの女房たちを見て、どういうわけかにっこりと微笑みました。その笑顔の魅力的なこと。見ているこちらにも、ぱあっと明るい光が降り注がれるようです。女房たちもみな美人ではありますが、夕霧の眼にはその女性しか映りませんでした。


ああ!あれが紫の上さまだ!なんて綺麗な人だろう。まるで春の曙に樺桜*が咲き乱れたようだ。……父上が僕を遠ざけているのは、僕がこんな美しい人を見て、変な気をおこしてはいけないと思ったからなんだな)。夕霧、ビンゴ!


*白い花の桜


そう思うとなんとなく父に知れるのが怖くなって、こっそり立ち去ろうとしたその時、源氏が別の戸口から戻ってきました。「本当に落ち着かない日だね。格子戸をおろしなさい。男たちもそこら辺にいるだろうに、これじゃ丸見えだ」。


紫の上は源氏に何か返事をしながら微笑んでいる様子。内容はわかりませんが、美男美女の大人のカップルは息子の目から見てもお似合いです。ところが、今度は風向きが変わり、夕霧が隠れていた側が丸見えに。間一髪で避けた夕霧は、たった今到着したかのように咳払いをして、事なきを得ました。ふぅ~。


「あんな綺麗な人と結婚できたら」絶世の美女にうっとり


夕霧は源氏に連絡したあと、おばあちゃんの大宮の元へ急ぎました。道すがら、木の枝が折れる音、瓦屋根の飛ぶ音なども聞こえます。なんとか辿り着くと、大宮はとても喜んで「長生きしているけれど、こんなものすごい台風には遭ったことがないわ」。今でも台風中継で、たまにお年寄りから聞けるコメントですね。


大宮は危険を顧みず来てくれた孫息子に心から感謝していました。というのも息子の頭の中将は、親孝行も目立つことをパァーッとやるのが好きらしく、こういう時にお母さんを心配して来てくれたりはしない人。今の大宮にとって頼りがいがあるのは、息子より孫でした。


夕霧は激しい風雨にまんじりともせず、ただひたすら紫の上の面影ばかりを想っていました。(風っていうのは本当にすごいなあ。暴風は岩をも吹き飛ばすというけれど、普段はお部屋の奥深くにいらっしゃる方を、台風のおかげで見ることができた。


過去にも未来にも2人といないような美女だったなぁ。あの紫の上さまと一緒に暮らしているのに、父上は花散里の母上をよく見捨てないでいるものだ。ああ、あんな綺麗な人と結婚できたらどんなに幸せだろう!)その人、実は君の父方のおばあちゃん(桐壺更衣)と、冷泉帝の母后(藤壺の宮)のそっくりさんなんですよ!


真面目な夕霧は父とは違い、紫の上を実際にどうこうしようとは思いません。が、彼女の美貌が胸の内を占めてしまい、雲居雁や藤典侍のことも忘れそうです。


そのまま夜が明け、今度は湿っぽい風と雨が断続的に続きます。「六条院では離れの建物が何棟か倒れたそうです」という報告もあり、夕霧は花散里を心配して、まだ早いうちから六条院へ向かいます。


まだ不安定な空模様が続く中、夕霧は(ああ、なんだか僕の心のようだ。こんなことを思ってはいけないのに……)。気もそぞろに夏の御殿の花散里を見舞い、壊れた箇所の確認と指示を行うと、早々に春の御殿にやってきてしまいます。


”顔を見る=裸を見る”くらいの意味合いを持っていたこの時代、紫の上を垣間見られた夕霧としては、またとないラッキースケベでした。さっさと春の御殿に来たのもどこかで(ワンちゃんあるかも)と思うからですね。柳の下のどじょうを狙う夕霧をかき乱す、秋風のイタズラが続きます。


簡単なあらすじや相関図はこちらのサイトが参考になります。

3分で読む源氏物語 http://genji.choice8989.info/index.html

源氏物語の世界 再編集版 http://www.genji-monogatari.net/


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(執筆者: 相澤マイコ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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