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【まさに修羅場】裏社会ライター・丸野裕行が見た!信用情報センターで繰り広げられる借金地獄の現場!



借金癖がある人というのはいる!


法律は改正され、年収の3分の1しか借金ができなくなったとはいえ、消費者金融各社のテレビCMの影響で、お手軽にお金が借りられるようになった。

債務整理者、自己破産者の数は相変わらずうなぎ昇りである。


そんな中、自殺などの最悪の事態を回避するために使えるのが、国内に33ヶ所ある信用情報センター。ここは、ローン等に関する借り入れ状況を把握し、審査を迅速化、過剰な貸付を抑止する機関である。


銀行やクレジット会社、全国の貸金業協会会員などにオンラインでつながり、階下には貸金業協会が併設されている。見た感じはさながら、病院の待合室のようだ。手続きさえすれば、貸付自粛の手続きもとれるので重宝する。

しかし、このセンターというのは、待合いにいる人間といえば、恐ろしい借金地獄の行きつく連中ばかり。

家族や夫婦など、驚くような怒号が飛び交い、日々修羅場が繰り広げられる。今回は、裏社会ライター丸野裕行が、目の当たりにした借金地獄の現場をお話ししたいと思う。


30分単位で情報を開示


この場所を訪れる人間たちは、身内に隠していた借金が露呈して、家族や知人に強制的にセンターに連れてこられた自己破産者予備軍が非常に多い。



開所10:00~16:00閉所までの30分単位で個人情報を開示、しかも完全予約制だ。裏社会ライターのオレは、センターの待合ベンチに座り、耳をそばだてていた。耳をふさぎたくなるような借金問題の口論が毎日繰り広げられている。


だが、ここで確認できるのは、どうも協会員の金融会社のみのようで、登録していない闇金融業者の借り入れは把握しきれず、借金癖が矯正しきれない者の地獄はそこからスタートするそうだ。


PCで原稿を書きながら待っていると1組目がやってきた。50がらみの男はまさに年貢の納め時といった顔だった。そのそばに立ち、鼻息が荒いのが妻らしき女。夫婦なのだろうか?

予約番号を告げ、口論がはじまった。



[女]

ロシアンパブなんかの女にハマってどないするんよ!」


[男]

「自己破産したらええやろ」


[女]

「子供たちにはなんていうの? 家かて取られて!」


[男]

「子供たちは、子供たちや。俺は俺、おまえはおまえや」


[女]

なにをわけのわからんことぬかしてるんよ!


[男]

「俺はエレナに惚れとるんや! 体の悪い本国の親を救ってやりたいんや!」


[女]

「エレナって源氏名やろ! 親救うって、その前に北方領土返してもらえ! このドアホ!」


いきなり、ヒールを脱いで男をタコ殴りにしはじめた女。「お母ちゃん、堪忍!」という男の絶叫が所内に響き渡る。おいおい、これは先が思いやられるぞ…、というかディープゾーンやな!


振り込め詐欺で借金をつくった母親


待合いには次々に、身内の借金の清算を願う人間たちがやってくる。まさか暴力沙汰が1組目から起きるとは思っていなかったオレはジュースを飲んで少し気分を落ち着かせた。


2組目にやってきたのは、母と娘


[娘]

「なんでそんなもんにダマされんの!」


[母]

「だって、オレオレ詐欺っていうたら息子を騙るし、まさか娘を騙ってくるとは思ってなかったんやもん」


すぐにはじまった話の筋を読むと、どうも母親が還付金詐欺に遭って、亡くなった夫の貯金と年金を貯めた全財産を失ってしまったらしい。そのうえ、借金までしたそうだ。それにしても、娘を騙る振り込め詐欺があるとは思いもよらなかった。



[娘]

「なんで、借金まで…」


[母]

「私は高齢出産やったから、可愛いあんたが事故を起こして人にケガをさせたからって、心配で…、心配で…


泣きじゃくる母親の気持ちはわかる。事故を起こしたから示談金を今のうちに払えなどと詐欺集団に持ち掛けられたのだろう。娘も家を抵当に入れて借金をした母親の気持ちが分からないわけはないだろう。


[娘]

「…ごめんね、お母さん。私が家を飛び出してから独りで淋しい想いさせて…。もう家はそのまんまにして、一緒に住もう。狭いけど、私、仕事頑張るから」


[母]

「ごめんねぇ…、ありがとう…」


何があったのか知らないが、雨降って地固まる。よかったとは言わないが、何もかも失ったことで、神様は人は見放さないということなのか。これからの2人に幸あれ、と言いたい。


それからは海千山千の借金人間たちが勢ぞろい


3組目は、げに恐ろしいソ〇プ嬢の妹と兄のコンビ


[兄]

「おまえ、借金返すために店で働いてんのに、なにホストクラブなんて通ってるねん!!」


[妹]

妹に寄生してギャンブルやってる兄貴に言われたくないわ!」


[兄]

「誰が寄生してるねん! 一緒に住んでるだけやろ!」


[妹]

「毎日、パチンコ代せびってくるくせに!」



[兄]

「パチンコは俺の人生や! マル〇ンはワシのホームグラウンドや!


よく意味の分からない主張をした兄貴には正直ため息が出たが、こんな人間ばかりがやってくるのが、やはりこのセンターなんだと再認識。4組目は、警備会社に勤める男とその妻


[夫]

「なんぼ警備会社で頑張っても…、借金返せへんなぁ…


[妻]

「ごめんなぁ…、私が病気やから…。う~ん、どっか手ぇ組んで、盗みとか入れへんの?」


[夫]

「そうやなぁ…(笑)。ちょっと考えてみるわ


ニヤリと笑った夫の顔を今でも忘れられない。借金をした人間は、基本的に、①逃げる ②死ぬ ③犯罪に手を染める だそうだ。人間というのは追いつめられると恐ろしいものだ。


謎の人物の、謎の借金理由


5組目は、夏場なのになぜかロングのスプリングコートを羽織った男が入ってきた。その隣には、老鶏のような70がらみの男。ひそひそと話しているのだが、正直何者なのかまったくわからなかった。じっくりと容姿を舐めるように見定めてみるが何者なのか。話しに耳を澄ませる。


[老人]

「……でしょ?」


[男]

うん、うん



[老人]

「……で、結局いくらくらいあるの?」


[男]

「……おく、くらい


[老人]

「……は、はは、ん、なんて?」


[男]

だ・か・ら……7億円くらいじゃないかなぁって」


[老人]

「うそぉ、そんなにあの男につぎ込んだの?


[男]

「そう、お店出してあげて……。でも、あいつったら、他の男に乗り換えちゃって……。あ~、忘れられない、あいつのお尻!


えっ、オカマなの? って、7億も借りられるって、ナニモンだよ、こいつ!


借金癖というのはなかなか治ることのない病気だ。そんな家族を持ってしまったあなた、ぜひこのセンターを利用してみてはどうだろうか。今回のようなコアな人間模様にきっと出会えるはずだ。


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(執筆者: 丸野裕行) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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