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「昼は美少女、夜は可愛いお姉さんと…」13歳帝のうらやまけしからんライフ!ゴリ押し結婚の影に未練タラタラ ~ツッコみたくなる源氏物語の残念な男女~



未練タラタラ、朱雀院からの結婚の贈り物


時は流れ、源氏31歳の春。養女として引き取った六条御息所の娘、斎宮がついに女御として入内することになりました(斎宮女御)。源氏と藤壺の宮が無理矢理に息子の嫁に決めた手前、「やたらに父親面してる、みたいに思われるのも」という遠慮から、自宅の二条院に引き取っての宮中入りを中止します。


各方面からお祝いの品が届く中、入内当日に、朱雀院から格別なプレゼントが送られてきました。衣装にお香など、世話役の源氏が見るだろうと想定したらしい、肝いりの品ばかりです。


源氏がふと櫛の箱に目を留めると、飾り紐のあたりにメッセージが書かれています。「あなたが伊勢に行かれる時、別れの小櫛を差し上げましたが、それを理由に遠い縁であれ、と神様はおっしゃるのでしょうか」


長年忘れられなかった想いを引き裂いたのは、神ではなく源氏と藤壺の宮。さすがの源氏もこの一言に「申し訳ないことをしてしまった」と罪悪感を禁じえません。しかし今更どうすることもできない。彼女は今日から女御なのです。


源氏は女御に直接返事を書くよう促します。女御もかの日のことはよく覚えていました。「お別れの時、櫛を挿して下さった優しそうなお顔、涙を流して別れを惜しんでくださったご様子、忘れない…」。帰らぬ日の感慨を込めて「お別れの時のお言葉が、帰った今は悲しいばかりです」としたためました。もしかしたら結婚したかもしれない相手への、独身最後の手紙。愛し合ってたわけじゃないけど、ご縁がなかったと思うと、それも切ないですね。


未練があるのは源氏も同じ。相変わらず斎宮への下心は消えておらず、(お返事はなんて書いたんだろう?みたい……)とモヤモヤ。でも「見せてください」とは言えず、粛々と入内は進行していきました。


昼は美少女、夜はお姉さんと…うらやましい理想の生活


宮中では自ら斎宮女御を推した藤壺の宮と、帝が待っていました。「今度の方は大人のお姉さまですから、そのおつもりでね」。現在、後宮には頭の中将の娘の弘徽殿女御しかいないので、やっと2人目のお妃ということになります。


13歳の帝は大人の女性という響きに緊張していました。「お姉さんなんてなんだか照れくさいな…」。気恥ずかしさも手伝い、夜遅くなってようやっと対面。フタを開けてみれば、華奢でおっとりした可愛いお姉さんでした!やったね!


葵上のような気難しいタイプの姉さん女房だと前途多難ですが、優しく落ち着いた斎宮女御に帝もご満足。賢い冷泉帝は、どちらかを極端に贔屓するということはなく、2人の女御を公平に遇します。ただ、同じ年頃の弘徽殿女御とは昼間一緒が多く、夜はもっぱら斎宮女御と、というパターンでした。


昼は可愛い幼馴染の美少女と遊び、夜はしっとりしたお姉さんのもとで優しくしてもらう…。なんともうらやましい、けしからん生活ですね。後宮ライフは、どの人も気苦労が多く大変そうですが、この冷泉帝にだけは一瞬なってみたい気がします!


こうして、美少女と可愛いお姉さんに挟まれる理想的な(?)後宮体制がスタート。バックにはそれぞれ源氏と頭の中将がついており、ガッチリ2大勢力争いに発展。後発で割り込んでいくのは大変です。


出遅れた兵部卿宮はつくづく「源氏に手のひらを返したのは失敗だった」と嘆いています。それでも娘の出世を諦めることはなく、「帝がもう少し大人になられたら…」と考えてはため息ばかりついていました。


ゴリ押し結婚?に文句も言わず…ただ喋らされる拷問


この時点で、朱雀院34歳、源氏31歳、斎宮22歳、冷泉帝13歳。結果的に、おっとりした可愛い斎宮を冷泉帝は気に入った様子ですが、やっぱり年齢的に釣り合うのは朱雀院か、源氏です。藤壺の宮の「私の代わりになる年上の子がいると安心」という即採用で決まった結婚ですが、「ちょっと無理がある縁組、ゴリ押しだな」と思われても仕方がない感じも。


源氏もそのあたりのことは気になっており、源氏はことが落ち着いた頃、朱雀院にご機嫌伺いに行きます。返事をもらったことで、院はいっそう斎宮への想いが募っていました。別れの挨拶、逆効果。


2人の話は自然と斎宮の件になります。朱雀院は出会った日の事を懐かしそうに語りますが、「私が最初に彼女との結婚を申し込んでいたのに!」とは決して言いません。源氏もそこには触れないようにしつつ、それとなく水を向けて、斎宮の情報をなんとか引き出そうとします。


今日ここに来たのは、表向きはお礼やご機嫌伺いですが、源氏は本当は斎宮のことが詳しく知りたくてしょうがない。父親代わりでお世話はしているものの、斎宮のガードは固く、顔をチラ見するチャンスが全然ないので、妄想だけがたくましくなっている状態が続いています。


源氏にのせられて語るうち、朱雀院には時折、失恋の苦悶の表情が浮かびます。源氏も「申し訳ないな」と思うものの、傷に塩を塗ってることに変わりない。ヤな弟ですね。とにかく、失恋したてで相手についてアレコレ喋らされるなんて拷問だよ!


平安時代、絶対に見られてはいけない女の顔事情


隠されれば見たくなるのが人情。現代では女性のスカートの中などを見たがる人が跡を絶ちませんが、当時は直接、顔が見たかった。当時の男女にとって、初めて相手の顔を見るのは初セックスの時が圧倒的(それも暗くて、くっきりはっきり見えないけど)なので、それ以外で顔が見られたら、ラッキーどころの話ではありません。


そのため特に高貴な女性方は、年頃になると親兄弟でも几帳や屏風を隔てて会話するのが当たり前。そういったものがない場合は、扇や長い衣の袖も活用して隠す。朱雀院は立場上例外的に斎宮の顔を見ましたが、それも何年も前にたった1度。源氏は六条の臨終の際に、暗い部屋で横顔をちょっと見たことがあるだけ。それでこんなに盛り上がれる(?)わけです。


源氏としては斎宮の顔が見られないのは悔しいですが、一方では「高貴な女性の振る舞いとして適切だし、理想的だ」とも思っています。”顔を見られる=男にとって相当なラッキースケベ”である以上、義理の父親にやすやすと顔を見られるようではお姫様失格。「すごく見たいが、そんなに簡単に見られるようじゃ幻滅だ」というところでしょうか、難しい。


今までのところ、高貴な女性たちがうっかり顔を見られるシーンはほとんどありませんが、話が子世代に移っていくに連れ、アクシデントや不注意により、高貴な女性の顔チラ(?)シーンが登場します。何を隠そう、顔を迂闊に見せたことで大きな不幸を呼び込むのは、朱雀院の娘なのです。


簡単なあらすじや相関図はこちらのサイトが参考になります。

3分で読む源氏物語 http://genji.choice8989.info/index.html

源氏物語の世界 再編集版 http://www.genji-monogatari.net/


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(執筆者: 相澤マイコ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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