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痛風の原因は、食事2割・体質8割。西アフリカで、タラコもどきを堪能します。


12年間にわたり世界中をめぐっている著者が、現地の健康&食べもの情報を毎週お届けします。


 


軽自動車で世界半周中のアウトドア・バガボンドです。

昨年の暮れに、南アフリカのケープタウンにたどり着き、ちょっと一休み。全力で脱力中です。


今年から日本を目指しますが、少々気になっているのはクラッチが奏でる異音。

今際の際の爺さんが、喉に魚の骨をひっかけたようなひーひー感。どんな故障であろうと、アフリカに軽自動車の部品なんて売ってないので、断末魔になりませぬように!


 


ケープタウンで出会った謎の食物の正体は…


 


ケープタウンに居座って6週間。


脱力にも飽きたので、ビーチ沿いの蚤の市へ出かけました。


路上に広げられたレコードやおもちゃや大工道具。気分次第では骨董品に見えなくもない陶磁器や、その道のプロですら買うことのなさそうなガラクタ類。ぐねぐねのコードやスイッチやプラスチックの欠片の存在価値をまさぐるのは、楽しいものです。


 


ブリキのオブジェ。廃屋から拾ってきたような侘び錆び。ひとつ3,000円。高くて買えない。

 


会場の奥に、ひときわ賑わっている出店を発見しました。

車を改良した屋台です。


 


何が売られているのか、さっぱりわかりません。

 


看板メニューは、Snoek Roe(スノーク ロー)。

ガラスケースに積まれているのは、正体不明の薄茶色のフライ。

なんにしろ食べて死ぬような毒ではないでしょうから、よくわからないのに3本も買いました。

全部で200g、276円です。


 


直径2cm、長さおよそ25cm。

 


なんですかね、これ?

形からすると、蛇とかうなぎ。

それともソーセージフライ?

ちょっと硬いので、ヤギとかの男根とかだったりして……。


一口齧ってみたら


 


この舌触りは、もしかして……

 


小さなブツブツが隙間なく凝縮された、むっちり感。


日本人の尊厳を賭けて断言します、たらこです。たらこのフライ。


懐かしい味ですが、塩のかけすぎじゃないですかね。衣に絡んだ塩辛さが鼻にグイグイ食い込みます。

その攻撃的な塩味を主張の足りないたらこの味で薄めれば、絶妙な配合です。


 


魚の卵なんて薄気味悪いものを食べるのは日本人だけだと聞いていましたが、この旅を振り返ればロシアではイクラが売られていたし、そもそもイクラはロシア語だし、アフリカ人がたらこを食べても不思議じゃないです。


和英辞典を調べると、たらこはPollock Roe。

Pollockが「スケトウダラ」で、Roeは「魚の卵」。


お店の看板は、Snoek Roe。ちょと違う。

「Snoek」をググったら、学名は「Thyrsites atun」とのことですが、どちらの単語も英語辞書にはなくて、「Atun」はどうやらスペイン語の「atún」っぽい。


とすると、マグロ。


えっ、これってマグロなの?


自信たっぷり、たらこですって宣言したのに。


 


濁点ひとつ間違えると毒!


 


いや、しかし、どう考えてもマグロはないだろと他の検索結果に相談したら、「バラクータ」とありました。

バラクーダを調べると「オニカマス」とありまして、どうやら体長1.5メートル以上にもなる大型魚。そして、ここで悶絶級のコメントを発見。


「オニカマスは毒があるので食べられません」って……。


いま食べてるんですけど。

っていうか、すでに食べ終わって、歯につぶつぶが挟まってるんですけど。


 


えーとですね、えーと……、えーと、落ち着け、おじさん。どこでどう間違って毒を食べてしまったのか……、心持ち手を震わせがらバラクーダの毒について調べたら、さらなる事実を発見しました。


 


バラクーダじゃなくて、バラクータだったのです。


 


濁点違い。

いま歯に挟まっている疑惑の毒はバラクータで、その正体は「オキサワラ」でした。


魚図鑑に「南アフリカの沿岸に分布。照り焼き、粕漬けなどに」とありますから、九死に一生を得ました。

危うくプラシーボ効果で死ぬところでしたよ。


 


ビールもイクラも禁止…痛風予防のため、悪魔の食事制限。


 


冤罪が晴れた、タラコ風味のバラクータの卵。


毎日食べたいのですが、痛風が心配です。


実は昔、東京で働いていた現役時代、3年連続で「尿酸値が高い」と言われた不健康診断です。

このままじゃ痛風になるから、尿酸値を減らすためにプリン体を多く含む食品を食べるなと言われ、禁断食にノミネートされたのが、魚のカマ焼きとか、イクラやタラコ、ウニ、エビ、カニ……。


そしてビール。


好きなものほど食べてはいけないという意地悪な食事制限は、



プリン体の多い食品をたくさん食べる→体内でプリン体が分解され尿酸がつくられる→血液中の尿酸が増える→増えすぎた尿酸が結晶化→尿酸の結晶を白血球が攻撃→激痛。



というシナリオのためです。


 


尿酸が増える原因は、体質8割。


 


痛風予備軍に指名されてからしばらくは、ビールをワインにし、居酒屋でも「拙者はプリンですから」って粗食に甘んじていたのに、いつも間にか忘却の彼方。気がつけば、南アフリカで正体不明の魚卵を貪り食っていたわけですが、毒騒動のさなかに朗報を発見しました。


 


食事でプリン体を減らしても、ごくわずかしか尿酸値を落とせず、尿酸が増える原因は、食事2割・体質8割。ほとんどが体質によるものだと判明したのです。


 


体質8割!


都合の良い言葉しか読まない早合点の筆者です。


じゃ、何を食べてもいいじゃん!と喜び勇んで、悪魔の食事制限から自分勝手に解放されたわけです。


しかし忘れてはならない、食事2割。


痛風発作前の高尿酸血症ほど、食事療法の効果も大きいようです。


読者のみなさんは、くれぐれもお食事にご留意を!


 


プリン体が多いのは、ビールよりツマミ?


 


またビール会社の宣伝「プリン体ゼロ」によって、ビールは痛風の主犯みたいな印象ですが、ビールはアルコールの中ではプリン体が多いというだけで、食べ物全般からすると目くじらをたてるほどではないようです。(ただし、飲み過ぎには注意が必要!)


 


どちらかというと、ツマミのほうが真犯人。


しかしツマミだって、体質という黒幕には及ばないようなのです。


 


ということなので、なんの根拠もなく体質に自信のある筆者は、遠慮なくバラクーダを堪能いたしましょう。


濁点にさえ気をつければ、すぐに死ぬこともないですから。


 


ケープタウンは今日も晴れ。


石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。


<参考資料>

「痛風治療のうそ?ほんと!ビールはダメでも焼酎ならOK?」(両国東口クリニック)

「高尿酸血症・痛風」(株式会社三和化学研究所)


※当記事は参考資料に基づき個人の見解を述べたものです。高尿酸血症・痛風の疑いがある方は医師の判断に従ってください。

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