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プロジェクション・マッピングARデバイス「Lightform」、2億9,000万円の資金調達に成功


スタートアップのLightformは、2017年3月27日、ARデバイス「Lightform」開発の資金調達に成功したことを発表した。


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ARデバイス「Lightform」とは何か


スタートアップのLightformは、同社サイトに以下の内容を伝えるニュース記事を掲載した。



  • ・同社が開発中のARデバイス「Lightform」に関して、260万ドル(約2億9,000万円)の資金調達に成功し、出資者のなかにはOculus社の前主席研究員がいること。

  • ・同社および同デバイスが今まで知られていなかったのは、現在までの3年間、秘密裡に開発していたから。

  • ・同デバイスは、今年の夏から予約を受けつけること。


同社が開発する「Lightform」は、既存のARデバイスとその開発コンセプトが著しく異なる。


現在のARテクノロジーは、スマホを利用したものであれ、Hololensを使ったものであれ、ユーザーの目とリアルな世界のあいだにARテクノロジーが駆動するデバイスを物理的に介在される点において、共通した仕組みを採用している。


対して、「Lightform」はプロジェクション・マッピングを活用することで、リアルな世界に対するAR表示を実現する。プロジェクション・マッピングを活用しているので、ユーザーは何らかのデバイスを保持あるいは装着する必要がない。というのも、AR表示を実行するプロジェクターは、ユーザーから離れた場所に存在しているからだ(以下の画像を参照)。




ちなみに、「プロジェクション・マッピング」とは、プロジェクターから投影する画像をスクリーン以外のモノに映し出す技術のことである。現在では、主に大規模なイベントにおいて、不特定多数のヒトを対象に画像を見せる時に使われている(下の動画参照)。



ARテクノロジーとしてのプロジェクション・マッピング


既存のプロジェクション・マッピングの問題


確かに、プロジェクション・マッピングは、リアルなモノに画像を重ねて表示(投影)する点において、ARテクノロジーと共通した特徴を持っている。


とは言え、同テクノロジーが今までARに活用されなかった理由として、3点ほど挙げられる。


1. プロジェクターが、スマホやHololensほどモビリティー(運搬性)に優れていないこと

2. プロジェクション・マッピングを実行するために必要な手順が、多数の専門家でなければ実行できないこと

3. 投影した画像とユーザーが相互作用できないこと


以上の理由のなかで、とくに致命的なものは3つ目の「相互作用の不能性」である。同テクノロジーにおいては、ユーザーは投影された画像を操作できないでのである。さらに言えば、画像が投影されたモノが少しでも動いてしまうと、画像が崩れてしまうという欠点もある。


既存のプロジェクション・マッピングは、「止まったモノをキレイに見せる」技術に過ぎないのだ。


Lightformが克服したこと


Lightformは、以上に挙げた3つの弱点をすべて克服したデバイスである。


まず、大きさは本記事トップ画像を見ればわかるように、ひとりのヒトで持ち運べる程度の大きさだ。また、投影する画像の設定も、専門知識が不要になるくらい多くの手順を自動化した。


動くモノへの画像投影については、AIを応用することでこの問題を解決した。具体的には、AIを活用して高速で空間認識することによって、動くモノの位置をトラッキングし続けて、常に適切な位置に画像を投影するのだ。


以上の仕組みは、ちょうど平面ディスプレイが画面を高速で描画し続けることで、表示物が動いているように見える構造と似ている。Lightformは、平面ディスプレイに内蔵された画素ではなく、投影する画像を高速で描画することで「動的なプロジェクション・マッピング」を実現したのだ。


Lightformを活用する時のメリット


同デバイスを活用する利点は明らかである。それは、ユーザーが何も保持あるいは装着しなくても、AR体験ができることだ。


最初に同デバイスを部屋のどこかにセッティングさえすれば、画像が投影される範囲内であれば、「手ぶらで」AR体験を味わえる


さらには、長時間AR体験をしても、目を痛める心配がない。というのも、ユーザーの目を痛める原因となる強い光源は、ユーザーからは離れたところに存在するからだ。


Lightformが描く未来


Lightformは、プロジェクターが画像を投影する範囲でしかAR体験できない。しかし、将来的にデバイスのコストが下がって、現在の照明器具程度になったら?


同デバイスが安価となり、生活のあらゆるところに目立たないかたちで遍在するようになったら、ヒトはいつでもどこでも「手ぶら」でAR体験できるようになるだろう。


かりに以上のような未来が実現したら、未来のヒトは「過去」となった現在を振り返ったとき、ディスプレイやバイザーを使ってAR体験を可能としていたことを非常に奇異に感じるだろう。ちょうど、現代人が外出時に電話ボックスを利用するのが「奇異な」行動に感じるように。


Lightformに対する疑問


既存のARテクノロジーとはかなり性質の異なるLightformに関して、ふたつほど疑問点を指摘できる。


ひとつめの疑問は、どの程度動くモノに対して対応できる性能があるのか、という疑問である。もっとはっきり言えば、Lightformを使って、キーボードアプリを開発することができるのか、という疑問である。高速でタイプする指の動きを認識して、投影されたキーボードからの文字入力が可能でなければ、汎用性に欠ける技術と言わざるを得ない。


もうひとつの疑問は、立体感のある画像を投影できるのか、という疑問である。


あるゆるARテクノロジーが目指すべき目標は、まるでリアルなモノがあるかのようにARオブジェクトを表示することである。スマホによるAR体験は、ディスプレイに閉じ込められたオブジェクトしか表示できないが、Hololensでは立体感のあるホログラムを見せることができている。


Lightformが、Hololensと同等な存在感のあるARオブジェクトを表示できるのであれば、同デバイスはHololensの強力なライバルとなるだろう。


もっとも、リリースされてもいなければ、デモ動画もない現状でLightformの可能性について有意義な判断をくだすことはできない。とりあえず、夏まで待とう。


ARデバイス「Lightform」開発の資金調達に成功したことを発表したLightformのニュース記事

https://news.lightform.com/hi-there/


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