2020年3月16日、日立製作所は、YAMAGATA株式会社、京都機械工具株式会社と共同で開発していたAR技術を利用した鉄道車両向けボルト締結作業管理システムの実用化に成功したことを発表しました。

今後はシステムの適用範囲を段階的に拡大し、鉄道車両の製造作業を効率化するとともに、品質のさらなる向上をめざすとしています。


ARボルト締結作業管理システムが実用化

ARボルト締結作業管理システムが実用化

今回実用化に成功したARボルト締結作業管理システムは、ヘッドマウント型スマート端末のディスプレイ上に、

・締めるべきボルトの位置

・ボルトを規定された力で締めたか

をチェックすることができるメーターを表示し、デジタル処理による作業記録の自動管理もできるものです。

日立、YAMAGATA、京都機械工具の3社は共同で2019年にARボルト締結作業管理システムを開発し実用化に向けて実証実験を重ねてきました。

ARによって作業の効率化と品質の向上を実現

ARによって作業の効率化と品質の向上を実現

鉄道車両の製造においては、機器類を固定するボルトが走行中に緩むことがないように、確実にボルトを締め、その結果を記録しなければなりません。

日立ではこれまで、デジタルトルクレンチシステムを使い、自動でボルトの締結力を判定するとともに、タブレットPCを用いてその結果を記録していました。

しかし、視線がボルトとタブレット画面を往復するため、タブレットPC上で指定されたボルトと、実際に締結したボルトが一致しているかを確認するのに手間がかかるという難点があります。

そこで、ヘッドマウントAR端末を利用することで締めるべきボルト上にボルトの3Dモデルが表示され、事前に入力した3Dモデルに付随する設計データを元に作業者を誘導できるようになりました。

デバイスに付属するカメラによって締結作業を常時監視でき、デジタルトルクレンチとの連携により、指定のボルトが規定の力で締められたかを自動判定が可能です。

そのため、実際に締めたボルトと指定されたボルトが一致するかを手間をかけてチェックする必要がなくなり、効率的に作業を進められるようになりました。



人材不足対策にも期待

また、ARボルト締結作業管理システムには、一般的にARシステムの運用に必要とされる三次元設計データやコンピュータグラフィックスなどを使わず、ボルトの位置座標と締結力からなる簡単な表形式データを利用するという特徴もあります。

さらに、熟練者の作業を記録したデータをAR作業指示データとして再利用することもでき、製造のみならず、メンテナンス、修繕の現場へも対応可能です。

そのため、日立ではARボルト締結作業管理システムについて、現在製造業で深刻になっている熟練作業員の不足という課題へのソリューションとしても大きな期待を寄せています。

まとめ

日立と他2社がかねてより進めてきたARボルト締結作業管理システムの実用化が成功しました。

鉄道車両の製造は、乗客の生命・安全に直結するために作業効率とともに高い品質が求められます。

ARを使うことによって、これら2つを両立させることができるようになりました。

さらに、高い技術を持った熟練作業員の引退によって日本の製造業が困難に直面しつつあるという問題も、ARによって解決することができると期待する向きもあるようです。

そうなると、私たちの日常生活だけでなく、日本の産業の未来にもARが欠かせない存在になっていきそうですね。

ソース:ARボルト締結作業管理システム実用化のプレスリリース

参考:ARボルト締結作業管理システム開発のプレスリリース








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情報提供元:VR Inside
記事名:「HMDで作業効率アップ!鉄道車両のAR作業管理システムが実用化