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里親や保育士が子供の目線からバーチャルな育児放棄や虐待を体験して、その痛みを知るVR動画がリリース


海外メディアGuardianは、子供の目線を体験できるVR動画サービスを紹介した。


バーチャルに子供の目線を体験できるVR動画サービスのロゴ


子供の気持ちを知るには子供の目線に立つこと


同メディアによると、イギリスで里親を募集したり保育士を採用・訓練することを基幹業務としているCornerstone Partnershipは、里親と保育士を教育・訓練するためのVR動画を制作した。


里親や保育士にとって、子供の気持ちを理解することは死活問題である。しかし、里親や保育士は世話をする子供を生まれた時から知っているわけではない。こうした状況では、生みの親と同じように世話するというのは難しい。子供に接する難しさに心が折れて、時として育児放棄や幼児虐待が発生してしまうこともある。


同社が制作したVR動画は、里親や保育士がバーチャルに子供の立場になって育児放棄や幼児虐待の恐ろしさを体験する、というものだ。同動画を制作した目的は、子供の立場から育児放棄や幼児虐待をバーチャル体験することによって、里親または保育士がそのようなことをしないように予防することにある。


「子供の立場になって」制作された同動画は、VRヘッドセットを装着して動画を視聴すると、文字通り子供の目線になるように作られている。つまり、目線の高さは低く、いつも大人を見上げている状態になる。こうした目線から、置き去りにされたり、暴力を振るわれたりする体験を味わうのだ。


自身も二人の子供の里親である同社CEOのHelen Costa女史は、同動画に関して次のようにコメントしている。


なぜ子供が時として大人には理解しがたい行動をするのか、さらには子供の理解しがたい行動が子供自身にとってどのような意味を持っているか、ということを理解するのはとても難しいことです。


…もし私が(子供の目線になれるVR動画を視聴して)子供の立場になってものを見れていたならば、私は過去に犯した子供に対して誤った態度をとることを避けていたでしょう。


以上のような同動画は、BracknellやBerkshireといったイギリス各地の里親と保育士を対象に試験的に視聴してもらい、大きな反響をえている。同女史は、その反響について以下のように言っている。


里親や保育士を対象として私が講演するような通常のイベントでは、講演後に私に直接話しかけるようなヒトはいませんでした。


しかし、わが社が制作した子供の目線になれるVR動画を体験したヒトは、私と話をしたくて列に並び、そうしたヒトとは子供をどのように世話すべきかについて有意義な会話ができるのです。


同社は、子供の目線をバーチャルに体験できる新しいVR動画の制作も計画している。その計画中のVR動画は、里子に出された子供が生みの親と対面する状況をリアルに体験できる内容となっている。この新しいVR動画制作のねらいは、里子が生みの親と対面するという心理的葛藤を生みやすい体験に対して、VR動画視聴を一種のセラピーとして機能させることにある。


新しいVR動画の制作に関わっている心理学者のMatt Woolgar氏は、VR動画をセラピーに使うことに関して、以下のように述べている。


若いヒトや子供は、進んでセラピーには通いたがらないものです。


しかし、VR動画をセラピーに使うと言うアイデアは、セラピーを親しみやすいものにして、若いヒトや子供にセラピーに興味をもってもらうことができるのではないでしょうか。


VRが引き起こす「共感」によってヒトを正しく導く研究事例


子供の目線から育児放棄や虐待をバーチャル体験するVR動画は、そのVR動画によって体験者に何かを伝えることがねらいではなく、VR動画の視聴体験によって体験者は正しい方向に導くこと(育児放棄や虐待をしない)にこそ真のねらいがある。


こうしたVR動画によってヒトを正しい方向に導く研究は、アメリカ・スタンフォード大学で精力的に行われている。


Fish Avatars



同大学が発表した「Fish Avaters」は、海洋汚染についてヒトの感情に訴えることを目的として制作されたVRコンテンツだ。


「ヒトに対する思いやり」とは何かと問われたとき、多くのヒトは「相手の立場になって考えること」と答えるのではなかろうか。


「Fish Avaters」は、こうした「思いやり」を魚に対しても抱かせようとするのである。その方法とは、「実際に魚の目線で海底を体験する」だ。そして、魚の体験をするためにVRテクノロジーを使うのだ(上の動画参照)。


Racism with Virtual Reality


バーチャルな人種差別を受けて、その痛みを知る事例の解説画像


「人種差別」もまた、その当事者になってみないと、その痛みがわかりずらい体験である。


同大学では、人種差別を受けた時に感じる痛みを「実際に」体験するために、VRコンテンツ「Racism with Virtual Reality」(VRによるレイシズム=人種差別)を制作した。


このVRコンテンツを使うと、ユーザーはまるで現実に人種差別を受けたかのような体験ができる。同コンテンツのねらいは、人種差別を体験すること自体にあるのではなく、人種差別をバーチャルに体験することによってその痛みを知り、人種差別をしないよう体験者を導くことになる。


VRコンテンツは、過去のどのメディア・コンテンツも持っていなかった強い心理的影響力をヒトを与えることはもはや明白である。VRが「当たり前」のものになる過程で、VRを開発・利用する際の倫理的ガイドラインが整備されることが望ましいだろう。


ソース:Guardian

https://www.theguardian.com/social-care-network/2017/nov/13/virtual-reality-neglect-abuse-adoption-fostering


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