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猫コミュニティの『暗黙のルール』5つ 無用な争いを避けるための賢いやり方


猫コミュニティの「暗黙のルール」

出会って挨拶を交わす猫

人と一緒に暮らしてきた長い歴史を持つ猫は、同じような歴史を持つ犬とよく比較されます。そして、群れを作らずに単独で暮らすため、猫には社会性がないと思われてきました。

しかし、実は猫も社会性を備えています。

そもそも猫に社会性がなければ、人と一緒に暮らすことはできなかったはずです。単頭飼育されている猫であっても、その猫の縄張りは自分だけの領域ではなく、飼い主さんと共有している領域です。

外で暮らす猫についても同じです。猫は単独で縄張りを守りながら暮らしますが、自分だけが専有できる縄張りを持てるほど、猫の生息密度は低くありません。必ず、他の猫たちも混在しているような状況で、縄張りを共有しているのです。

縄張りを他者と共有できるということは、猫にも猫なりの社会性があり、ルールに従って暮らしているということを意味しています。そしてこのことは、実は昔からさまざまな研究者によって研究されてきているのです。

今回は、猫の社会において、猫たちが無用な争いを避けるための賢いやり方として確立され、現在にも受け継がれている、猫のコミュニティにおける「暗黙のルール」についてご紹介します。

1.ニオイによる行動履歴情報の発信

猫たちは、ニオイを使って自分の縄張りを主張します。と同時に、自分がいつどこを通ったかという行動履歴を逐一残していきます。それが、いわゆる猫のマーキングです。

発情期のオス猫がニオイの強いおしっこを高い場所に撒き散らすこともマーキングのひとつです。しかし、それだけではありません。縄張りの境界付近にある木の幹や塀、室内なら家具などに、爪とぎや頭などをこすりつけて自分のニオイを残すのも、すべてマーキングです。

そしてマーキングによって残されたニオイを手がかりとして、このエリアにはどんな猫が暮らしていて、この場所を何時頃に通過したのかといったことを知るのです。

2.時間による棲み分け

マーキングで残された臭いにより情報を得た猫たちは、できるだけ他の猫と遭遇しないように、時間をずらして行動するようになります。

たとえ自分のお気に入りの場所であっても、他の猫がいつも午前中をここで過ごしていることが分かれば、その猫はその場所には午後にだけ訪れるようになるというような具合です。

猫は案外保守的で、比較的1日の過ごし方がルーティーン化しているため、こういう棲み分けも可能なのかもしれません。

3.夜間に行われる猫の集会によるお互いの認知

いくらニオイで情報を得ることができると言っても、同じエリアにどのような猫がいるのかということは、実際に顔を合わせなければ正確にはわかりません。

多くの猫たちが同じ場所に集まり、静かに過ごす猫の集会という行動が知られていますが、その理由は明確になっていません。

しかし、集会で顔を合わせることで、同じエリアで暮らしている猫同士が顔を合わせ、お互いを認識し合っているのではないかと言われています。

4.視線を合わせない

視線を合わせない2匹の猫

多くの動物にとって、視線を合わせて見つめ合うということは、戦闘意欲があることの証であり、そのまま見つめ合い続けると、ケンカに発展してしまうことが多いです。しかし猫たちは、基本的にはお互いを見つめ合うということをしません。

同じ場所で出会ってしまった猫たちは、少し離れた場所で立ち止まります。そして特に力の弱い猫、もしくは自信のない猫は、あたりをキョロキョロと眺めるように見渡します。ただし、相手の顔をはっきりと見ることはせず、相手に視線を合わせません。

それが強い猫、もしくは強気の猫に対して敵意がないことのサインとなり、無用な争いを回避することができるのだと考えられています。

5.その場所に先に着いていた方の猫が優位に立てる

争いを回避する暗黙のルールは、視線だけではありません。同じ場所で2匹の猫が遭遇してしまった場合、縄張り争いとしては力の強い猫が勝つと考えるのが普通でしょう。

しかし顔見知りの猫の場合、縄張りの境界地帯では、先にその場に着いていた猫が優位に立つケースが多く観察されています。

これも無用な争いを避け、平和的に猫たちが同じエリアを共有しながら過ごすための賢いやり方のひとつだと言えるでしょう。

まとめ

警戒し合う猫

猫は、ニオイで自分の行動履歴を残し、その情報を基に他の猫と時間をずらすことで、できるだけ他の猫と遭遇する機会を減らします。

また、たとえ万が一遭遇してしまった場合も、視線を合わせないことで争いに発展させないようにしたり、先に着いていた方の猫を自動的に優位に立たせたりして無用な争いを避け、平和的に暮らしています。

このような猫同士の「暗黙のルール」を見ていると、実際の猫の腕力や度胸に関係なく、とても民主的で平等に猫たちが縄張りを守り、繁殖機会を得られるようなシステムが出来上がっているように思えます。

もしかしたら人間も、猫の社会性を見習った方が良い部分があるのかもしれません。


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