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史上最古の「木材構造物」を発見!研究者「この時代はまだ現生人類は誕生していません」


古代人類の手による史上最古の木材構造物の証拠が発見されました。

ただし、その人類とは私たちホモ・サピエンス(現生人類)ではなかったようです。

英リバプール大学(University of Liverpool)によると、アフリカ南部・ザンビアの遺跡で見つかった木材構造物は約50万年前のもので、当時はまだホモサピエンスは登場していなかったといいます。

では、一体何者が木造建築を可能としたのでしょうか?

研究の詳細は、2023年9月20日付で科学雑誌『Nature』に掲載されています。

目次

  • 木の組み合わせに高度な技術を使っていた!
  • 建築物を作ったのは誰?

木の組み合わせに高度な技術を使っていた!

今回、木材構造物が見つかったのはザンビア北部の「カランボの滝(Kalambo Falls)」付近にある遺跡です。

遺跡は高さ221メートルに及ぶ荘厳なカランボの滝の上部に位置し、1950年代に発見されて以来、継続的な考古学調査が行われてきました。

実際、同遺跡からは人の手によって掘られたと見られる約11万年前の木製品も見つかっています。

カランボの滝
Credit: University of Liverpool –Archaeologists discover world’s oldest wooden structure(2023)

単体の木を加工した例なら他にもっと古いものが別の場所で発見されていますが、今回は木材同士を組み合わせた構造物の証拠として最古と見られています。

2019年に発見されたこの構造物は、一対の丸太が組み合わされた状態で出土しました。

2本の丸太はともにアフリカ南部の川岸に自生する「ブッシュウィロー(学名:Combretum erythrophyllum)」という中〜大型の広葉樹と特定されており、いずれも長さは1メートルを大きく超えています。

発見された一対の丸太の組み合わせ
Credit: L. Barham et al., Nature(2023)

丸太の表面には、彫り込みや切り傷、摩擦など、無数の加工跡が見られました。

そして最も注目すべきは、上側の丸太の中央部に意図的な窪み加工が施されていたことです。

この窪み部分を下側の丸太にピッタリと嵌め込むことで、安定した組み合わせが可能になっていました。

中央部に窪みの加工(用途は不明だが左右に意図的な割れ目も掘られている)
Credit: L. Barham et al., Nature(2023)

これは木材の半分を削り取って、ペアとなる木材に嵌め込む現代の接合方法にも通じます(下図)。

さらに年代測定の結果、丸太は約47万6000年前にまで遡り、木材構造物として最古の証拠となることが判明しました。

その時点ですでに木材の高度な接合技術が習得されていたことを意味します。

丸太は片方だけが削られていたが、この接合方法は現代の「相欠き継ぎ」に通じる
Credit: en.wikipedia

しかし最も気になる点は「誰がこの建築物を作ったのか」でしょう。

こんな高度な技術が使えるのはヒト以外ありえませんが、47万年前というと現生種のホモ・サピエンスも近縁のネアンデルタール人もまだ存在していません。

ホモ・サピエンスが登場するのは約20〜30万年前、ネアンデルタールは早くて40万年前です。

では、丸太を組み合わせたのは誰なのでしょうか?

建築物を作ったのは誰?

カランボの滝の遺跡では残念ながら、ヒトの遺骨は発見されていません。

しかし有力候補として最も可能性が高いのは、約40〜60万年前に存在した「ホモ・ハイデルベルゲンシスです。

実際、ザンビアの別の遺跡では約30万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスの頭蓋骨が出土しており、この地域に彼らが住んでいたことが分かっています。

さらに彼らはそれ以前にいたホモ・エレクトスに比べて脳容量が大きく、より人間的な行動を取ることができました。

加えて、ホモ・ハイデルベルゲンシスは大柄で、大人の男性では身長180センチ、体重100キロに達していたと見られています。

頭がよくて体格も大きかったことは、重い木材を運んで加工し、組み合わせる作業をする上で有利に働いたでしょう。

ホモ・ハイデルベルゲンシスの頭部の復元図(ロンドン自然史博物館)
Credit: ja.wikipedia

一方で、今回の2本の丸太がどのような用途で使われたのかは未解明です。

研究者らは「何らかの建物の土台の一部である可能性が高い」と推測しています。

もしそれが確かなら、有史以前の原始人たちは単に洞窟だけを住処とするのでなく、木造の一軒家を建てたり、あるいは狩猟の移動先での仮住まいを一時的に建てていたかもしれないのです。

研究主任のラリー・バーハム(Larry Barham)氏は、今回の発見について「初期人類の生活スタイルに関する従来の理解を一新するものだ」と指摘します。

「彼らは知性や技術、想像力を駆使して、それ以前には見たことのないもの、存在すらしていなかったものを自分たちの手で作り出したのです」と話しました。

私たちホモ・サピエンスが誕生する遥か昔から、人類は木を使った豊かな暮らしを送っていたのかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

Archaeologists discover world’s oldest wooden structure https://news.liverpool.ac.uk/2023/09/20/archaeologists-discover-worlds-oldest-wooden-structure/ Evidence of a Wooden Structure That Predates Our Species Uncovered https://www.sciencealert.com/evidence-of-a-wooden-structure-that-predates-our-species-uncovered These ancient whittled logs could be the earliest known wooden structure https://www.nature.com/articles/d41586-023-02928-4

元論文

Evidence for the earliest structural use of wood at least 476,000 years ago https://www.nature.com/articles/s41586-023-06557-9
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