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幼児期の「楽しい読書体験」はその後の認知力と幸福感を支える


「楽しんだもの勝ち」というのは、人生に限らず、幼児期の読書にも当てはまるようです。

最近発表された研究によれば、幼児期に「楽しみのための読書」をした子供は、思春期において認知テストで高得点を得る傾向があり、精神的な健康状態も良好であるとのことです。

研究者らは、「私たちは、読書が子どもの重要な発達要因と関連していること、将来の学習と幸福の基礎となる認知能力、精神的健康、そして脳の構造を改善するという重要な証拠を発見した」と述べています。

研究の詳細は、2023年6月28日付の『Psychological Medicine』誌に掲載されました。

目次

  • 楽しく読むことは幼児の発達に良い影響を与える
  • 「楽しみのための読書」は子供の脳力を上げる
  • 最適な読書時間は「週12時間程度」

楽しく読むことは幼児の発達に良い影響を与える

読書は認知を豊かにする活動であり、知識習得の土台として、その後の学習を支えます。

教育分野には、読書の一形態として「楽しみのための読書(RfP: Reading for Pleasure)」があります

これは、子どもたちが自分のペースで、自分の選んだ相手と、自分のやり方で、自分のためにする読書のことです。

幼児期の学習形態の「楽しみのための読書」は、創造性を育む。
Credit: Canva

「楽しみのための読書」は、遊びの一部と位置付けられ、活字や読むプロセスを練習するだけでなく、読書に関連した活動と結びつけるなど、創造的なプロセスとして発達に良い影響があると考えられています。

読書は、脳の機能や構造に影響を与えることは、すでに先行研究で示されています。しかし、「楽しみのための読書」という特定の形態を用いた早期学習体験と、その後の脳、認知、精神的健康との関係については、まだ明らかにされていません。

そこで英国と中国の研究者らは、思春期の子らを対象に、幼児期の読書経験と思春期における彼らの状況についてについて調査を行いました。

結果、幼い頃から「楽しみのための読書」を始めた子供たちは、思春期における認知テストの成績が良く、脳の体積が大きくなるなどの変化があることがわかりました。

「楽しみのための読書」は子供の脳力を上げる

「楽しみのための読書」の影響を明らかにするため、英国ケンブリッジ大学およびウォーリック大学、ならびに中国の復旦大学の研究者らは、米国で実施された思春期の脳認知発達研究(ABCD: Adolescent Brain and Cognitive Development)のデータを整理・分析しました。

研究者らは、9〜10歳の子供10,243人を対象に、① 比較的早い時期(2歳から9歳)に自らの楽しみとして読書をした子供、② それ以降に楽しみとして読書をするようになった子供、③ 楽しむ読書を全くしなかった子供、の3つに分類しました。

そして、認知テスト、精神・行動評価、脳スキャンなどの広範なデータを比較しました。

対象となった子供の半数以上(約52%)が、早い時期に読書を楽しむようになったと回答し、残りの半数未満(約48%)がそれ以降に始めたか、まったく楽しむ読書をしなかったと回答していました。

結果、「楽しみのための読書」を早期に始めた子供は、思春期における語学学習、記憶、発話の発達などを測定する認知テストや学校での学業成績が良好であることがわかりました。

(a) 思春期の子の認知、行動、健康等の評価と早期RfPの関係。早期にRfPを始めた子は、身体の健康と認知(紫の枠線)は高い相関を、精神的・行動上の問題(黄色の枠線)は低い相関がみられた。
Credit:Sun, Y., Sahakian, et al. (2023) ナゾロジー編集部が枠線を追加

これらの子供は幸福感のスコアが良好で、ストレスや抑うつの兆候が少なく、注意力も向上し、攻撃性や規則違反などの行動上の問題も少ないことが明らかになりました。

また平日や週末のスクリーンタイム(テレビを観たり、スマートフォンやタブレットを使ったりする時間)が短く、睡眠時間は長い傾向がありました。

さらに、子供が幼い頃から読書をすると、脳の皮質(脳の表面部分)の領域や体積が全体的に大きくなることが、脳スキャンにより判明しました。特に、思考力や精神健康、集中力に関わる領域(側頭葉、前頭葉等)が大きくなる傾向がみられました。

最適な読書時間は「週12時間程度」

研究者らは、この結果を受け、「楽しみのための読書」は、思考力や創造力を刺激し、共感力を高め、ストレスを軽減する可能性があると述べています。

さらに「これらに加え、子供たちの認知力、精神衛生、脳の構造を改善して、学習能力と幸福感に影響することもわかりました」と付け加えました。

なお、研究者によれば、幼児期に読書を楽しむのに”最適な”時間は週12時間程度で、それ以上時間を費やしても、効果が上がり続けることはないとのことです。

週に12時間以上読書をしても効果が上り続けるわけではない。
Credit: Canva

実際、12時間以上読書をすると、思考力が下がることが分かっています。これは、座っている時間が長くなること、そして、運動や人との交流といった他の活動が減ってしまうことが影響するからかもしれないと言います。

研究に参加した復旦大学の馮建峰教授は、次のように述べています。

「私たちは、幼いうちから読書の喜びを子どもたちに目覚めさせるよう、親たちに最善を尽くすことを勧めます。

正しい方法で行えば、喜びや楽しみを与えるだけでなく、子供の発育を助け、長期的な読書習慣を促し、大人になってからも有益であることが証明されるでしょう」

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参考文献

Reading for pleasure early in childhood linked to better cognitive performance and mental wellbeing in adolescence —ScienceDaily https://www.sciencedaily.com/releases/2023/06/230627191516.htm

元論文

Early-initiated childhood reading for pleasure: associations with better cognitive performance, mental well-being and brain structure in young adolescence | Psychological Medicine | Cambridge Core https://www.cambridge.org/core/journals/psychological-medicine/article/earlyinitiated-childhood-reading-for-pleasure-associations-with-better-cognitive-performance-mental-wellbeing-and-brain-structure-in-young-adolescence/03FB342223A3896DB8C39F171659AE33
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