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カンガルーは人類よりも進化的に先を行く存在だった⁈


カンガルーは人類よりも進化の先を行く存在なのかもしれません。

イギリス自然史博物館(NHM)の研究チームは、カンガルーやコアラを代表とする「有袋類(ゆうたいるい)」が、ヒトを含む他の哺乳類よりも進化的に先を行っている可能性があることを発表しました。

専門家らはこれまで、袋の中で子を育てる有袋類を”卵生の哺乳類(カモノハシやハリモグラ)”と”胎生の哺乳類”の中間に位置づけ、「人類よりも原始的(primitive)な存在だ」と考えてきました。

しかし今回の研究では、哺乳類の共通祖先から最も進化幅が大きかったのは有袋類であることが判明したのです。

研究の詳細は、2023年4月28日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。

目次

  • 哺乳類の中で「有袋類」はどんな立ち位置にある?
  • 人類よりカンガルーの方が共通祖先より大きく進化していた

哺乳類の中で「有袋類」はどんな立ち位置にある?

本題に入る前に、哺乳類の中における「有袋類」の立ち位置や、彼らがヒトよりも原始的だと考えられてきた理由について見ておきましょう。

今日存在する哺乳類は、有胎盤類・有袋類・単孔類の3つのグループに分類されます。

これらを分けるのは”生殖の仕方の違い”です。

有胎盤類は哺乳類全体の95%を占める大所帯であり、胎盤の中で子供を育て、ある程度成熟した状態で体外に産み落とします。

私たちヒトを含む大半の哺乳類がこれに属し、妊娠期間が長いので、産まれた子の中には割とすぐに歩ける種もいます。

牛や馬、シカなどがそうですね。

有胎盤類は哺乳類の95%を占める
Credit: canva

一方で、有袋類は妊娠期間が短く、子供がかなり未熟な状態で産まれるため、育児嚢(いくじのう)と呼ばれる腹部のポケットの中で子を育てます。

子供を育てるための袋を持っているから「有袋類」です。

有胎盤類は、胎盤を通して子供に栄養を与えられますが、有袋類は胎盤がないか、あっても十分な栄養が与えられません。

それゆえ、未成熟な状態で早々に産んで、袋の中で乳を与えながら育てなければならないのです。

代表的な種はカンガルー・コアラ・オポッサム・ウォンバット・ワラビーなどで、ほとんどがオーストラリアに生息しています。

有袋類は子供を未熟な状態で産んで、袋の中で育てる
Credit: canva

3つ目の単孔類は、哺乳類なのに卵を産む(卵生)という珍しいグループです。

哺乳類の中で最も原始的かつ最も小さいグループであり、カモノハシハリモグラの2科しか存在しません。

そしてこれまでの研究により、現生する哺乳類はすべて約1億8000万年前に卵を産む共通祖先から派生した子孫であることが分かっています。

そのため、今でも卵を産む単孔類が最も原始的で、成熟した子供を産む有胎盤類が最も進化的には進んでいると考えられてきました。

そして「未熟な状態で赤ちゃんを産む有袋類は、進化上両者の中間に位置付けられる」というのが長年の定説となっていたのです。

単孔類はカモノハシとハリモグラの2科のみ現生
Credit: canva

しかし、研究主任の進化生物学者であるアンジャリ・ゴスワミ(Anjali Goswami)氏はこう話します。

「生物学者は長い間、有袋類を卵生の哺乳類と胎生の哺乳類の間に位置する劣った存在と見なしてきました。

ところが私たちの新たな研究で、有袋類こそ、共通祖先から最も先に進化した存在である可能性が浮上したのです」

人類よりカンガルーの方が共通祖先より大きく進化していた

研究チームは今回、現生する有袋類と有胎盤類22種を対象に、胚〜成体にいたる発達段階を理解すべく、頭蓋骨の標本165個をマイクロCTスキャンで分析。

共通祖先の発達段階と比較した頭蓋骨の変化が、有袋類と有胎盤類のどちらでより共通祖先に近いかを調べました。

その結果、有袋類の発達過程は有胎盤類に比べて、共通祖先の発達過程から大きく変化していることが判明したのです。

反対に、私たち有胎盤類の方が、共通祖先の発達プロセスと近い関係にありました。

有袋類は共通祖先から大きく進化していた
Credit: canva

ゴスワミ氏はこう述べました。

「私たちが明確に示すことができたのは、現在の有袋類の発達方法が共通祖先から大きくかけ離れたものであるということです。

よって有袋類の生殖は、卵生の哺乳類と胎生の哺乳類の中間形態とは考えられません。

それは有袋類が進化させた全く異なる発達方法なのです」

では、カンガルーたちの方法が私たちより進化しているというなら、子供が未熟な状態で生まれることにどんなメリットがあったのでしょうか?

柔軟な生殖システムで長距離の大陸移動ができた?

この点について、ゴスワミ氏は「有袋類の発達戦略は、環境が不安定な状態で生きている場合に適している」と指摘します。

「有胎盤類は妊娠期間が長く、母体と赤ちゃんが密接に結びついているので母体の負担が大きくなります。そのためもし妊娠中に資源が枯渇するようなことがあれば、母子ともに死んでしまう可能性が高くなります。

しかし有袋類の場合、母親が非常に早い段階で子供を外に産んでしまうので、資源が枯渇しても、少なくとも母親だけは生き残る確率が高くなり、後で資源が得られるときに再び出産に挑戦することができるのです」

このことは大陸が地続きだった時代に、有袋類たちが北米からオーストラリアに移動できたことを説明するかもしれないといいます。

大陸移動に向いていた?
Credit: canva

最も古い有袋類は北米が起源となっていますが、そこから南米に広がり、今日の南極大陸を経由してオーストラリアにたどり着きました。

しかし同時代の南米には多くの有胎盤類も生息していましたが、彼らはオーストラリアに移住していません。

そのためゴスワミ氏は「有袋類はより柔軟な生殖システムを持っていたために、長旅をするのに適していたのではないか」と考えています。

お腹のポケットで子どもを育てるというカンガルーなどの有袋類は、非常に不思議な生き物に見えます。

そんな彼らが我々人類よりも進化的に先を行く生殖システムを持っているというのは非常に興味深い報告です。

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参考文献

Marsupials Are ‘Far More Evolved’Than Other Mammals, Even Humans https://www.sciencealert.com/marsupials-are-far-more-evolved-than-other-mammals-even-humans Marsupials might be the more evolved mammals https://www.nhm.ac.uk/discover/news/2023/may/marsupials-might-be-the-more-evolved-mammals.html Mammals with pouches are ‘more evolved’than humans — sort of https://www.livescience.com/mammals-with-pouches-are-more-evolved-than-humans-sort-of

元論文

Pedomorphosis in the ancestry of marsupial mammals https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(23)00457-8
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