starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

フライドポテトで心にダメージ?!揚げ物の食べ過ぎは「不安症・うつ病」のリスクを増大する


揚げ物の食べ過ぎが、肥満や高血圧、心臓病のリスクを高めることはよく知られています。

しかし悪影響が及ぶのは身体の健康だけではないかもしれません。

中国・浙江大学はこのほど、14万人以上を11年にわたり追跡した大規模調査から、揚げ物の食べ過ぎが不安やうつ症状のリスクを増大させることを発見しました。

中でもフライドポテトをよく食べていた人ほど、うつ病の発症リスクが高くなっていたという。

一体、揚げ物の何が心にダメージを与えているのでしょうか?

研究の詳細は、2023年4月24日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

目次

  • 揚げ物の食べ過ぎで「不安症・うつ病」のリスク増
  • 心のダメージを引き起こす原因物質とは?

揚げ物の食べ過ぎで「不安症・うつ病」のリスク増

研究チームは今回、UKバイオバンクに登録されている14万728人を平均11.3年にわたり追跡した大規模調査データを対象に、揚げ物の消費量と不安・うつ病の発症率の関連性を調べました。

揚げ物の長期摂取の影響を調べるため、追跡開始から2年以内に不安症やうつ病と診断された人は除外しています。

追跡期間の終わりには、合計で不安症が8294件、うつ病が1万2735件見つかりました。

そして分析の結果、1日に1食以上の揚げ物を食べていた人は、摂取していない人に比べて、不安症のリスクが12%、うつ病のリスクが7%高いことが示されたのです。

揚げ物を頻繁に食べる人は、特に男性や若年層、喫煙者の割合が最も高く、精神疾患の発症率も高くなっていました。

揚げ物の食べ過ぎで不安やうつ症状が起こりやすくなるかも
Credit: canva

また興味深いことに、フライドポテトを好んで食べていた人は、ささみフライを食べていた人に比べて、うつ病の発症リスクが2%高くなっていたそうです。

これらの結果は、揚げ物を頻繁に食べることで不安やうつ症状のリスクが高まることを示唆しています。

それでは、なぜ揚げ物の食べ過ぎが「心へのダメージ」を引き起こすのでしょうか?

チームはその原因物質についても調べてみました。

心のダメージを引き起こす原因物質とは?

チームは精神疾患を引き起こす原因物質として、揚げ物に多分に含まれる「アクリルアミド」に着目しました。

アクリルアミドは、タンパク質と炭水化物が120℃以上で高温加熱されたときに化学反応を起こして発生する有機化合物です。

パンやクッキー、クラッカー、コーヒーに多く含まれ、特に炭水化物の豊富なジャガイモを揚げたフライドポテトやポテトチップスには高濃度に含まれることが分かっています。

つまり、フライドポテトの食べ過ぎでうつ病リスクが増加したという先の結果も、アクリルアミドが原因である可能性が予想できるのです。

先行研究では、アクリルアミドを過剰に摂取した場合、神経系がダメージを受けて、筋力低下・感覚異常・知覚麻痺・歩行異常などが起きる可能性が示唆されていました。

これはアクリルアミドが神経系のタンパク質と結合することで神経毒性を示すためです。

また動物実験では、多量摂取が発がんリスクの増加と関連していることも示されています。

しかし、アクリルアミドが不安やうつ病に関連することを調べた研究はほぼありませんでした。

フライドポテトには「アクリルアミド」が高濃度に含まれる
Credit: canva

そこでチームは実験として、社会性の高いモデル生物として知られる「ゼブラフィッシュ」を対象に、アクリルアミドを長期にわたって投与し続けました。

すると、アクリルアミドに晒され続けた個体は水槽内を探索する能力が大幅に低下し、水槽の暗い区画に棲みつくようになったのです。

加えて、ゼブラフィッシュには群れを作る習性があるのですが、ここにも加わらず、単独で行動することが多くなっていました。

これはアクリルアミドが不安やうつ症状を誘発し、社会性を低下させていることを示すものです。

アクリルアミドへの長期曝露で不安やうつ行動が増加
Credit: canva

ただし以上の結果はまだ予備的な段階にあり、揚げ物が精神疾患のリスク増加にダイレクトに繋がっているとは断定できません

たとえば、英レディング大学の栄養・食品科学の専門家であるグンター・クーヌル(Gunter Kuhnle)氏は「揚げ物の過剰摂取者は喫煙や肥満、低所得、低学歴の割合が高く、これらは揚げ物の摂取以前に、メンタルヘルスに影響を与える可能性が十分にある要因である」と指摘しました。

また、揚げ物を食べるから心に問題が起きたのか、それとも心に問題を抱えているから揚げ物を頻繁に食べるようになったのかもはっきりしていません。

それでも浙江大学の食品科学者で研究主任のチャン・ユー(Zhang Yu)氏は「揚げ物の悪影響について今すぐパニックになる必要はありませんが、揚げ物の消費量を減らすことでメンタルヘルスを管理するのには役立つでしょう」と話しました。

揚げ物があまり健康に良くないということを自覚している人は多いでしょう。

揚げ物は提供も手軽でさまざまな場所で食べる機会があるため、多少はこのアドバイスを心に留めておいても損にならないはずです。

食後に眠くなるのはなぜ?SNSで話題の「ドカ食い気絶部」の危険性とは

全ての画像を見る

参考文献

Frequent fried food consumption linked to anxiety and depression https://medicalxpress.com/news/2023-04-frequent-fried-food-consumption-linked.html Eating French fries and other fried foods linked to higher risk of anxiety and depression https://www.medicalnewstoday.com/articles/fried-foods-french-fries-linked-to-anxiety-depression 食品に含まれているアクリルアミド(農林水産省) https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/syokuhin.html

元論文

High fried food consumption impacts anxiety and depression due to lipid metabolism disturbance and neuroinflammation https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2221097120
    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.