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すべて液体状!火星の大地震から「火星コアの実態」をついに解明!


火星の心臓部には何が隠されているのか、その秘密がついに明かされました。

米メリーランド大学(University of Maryland)、英ブリストル大学(Bristol University)らは今回、火星で発生した地震波がどのように火星のコアを伝播するかを調査。

その結果、火星の中心部は地球とは違い、すべて液体状の鉄合金からなることが初めて突き止められました。

さらにそこには軽い元素で知られる「硫黄」が大量に含まれていたとのこと。

これらは火星に生命の存在を可能にする”磁場シールド”がない理由を説明するヒントとなります。

研究の詳細は、2023年4月24日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されました。

目次

  • 地震波の伝わり方からコアの組成を解き明かす
  • なぜ火星には「磁場シールド」がないのか?

地震波の伝わり方からコアの組成を解き明かす

地震は単に地表面を揺らすだけの振動ではありません。

専門家らは100年以上前から、地震波が惑星に対する一種の音響X線(acoustic X-ray)として利用できることを知っていました。

地震波が発生地点から地球の内部に伝わると、液体を通過するのか固体を通過するのかで伝播の仕方が大きく変わります。

その伝播や反射データをもとに、内部の組成マップを作ることができるのです。

この手法は1906年に実際に使われ、地球のコアが固体の内核と液体の外核(どちらも主成分は鉄)からなることを明らかにしました。

地球内部の構造
Credit: ja.wikipedia

メリーランド大学の地質学者で研究主任のヴェドラン・レキッチ(Vedran Lekic)氏は「それから100年以上経った今、私たちは同じ手法を火星に適用することにしたのです」と話します。

今回使用されたのは、NASAの火星探査機・インサイト(InSight)が過去4年間にわたり収集した地震データです。

インサイトによる火星内部の観測イメージ
Credit: ja.wikipedia

インサイトはこれまでに火星表面で数百回の火山性地震を検出し、火星の内部に関する詳細な情報を得ています。

さらに2021年に、インサイトがいる地点のほぼ反対側で起きた2つの途方もない巨大地震のおかげで、これまでにない詳細な火星内部のデータが得られました。

火星コアを間に挟んで地震波が得られたのはこれが初めてでした(下図)。

2つの巨大地震が発生した地点(青星と赤丸)
Credit: Vedran Lekić et al., PNAS(2023)

そしてインサイトは火星の表面と内部を伝播する衝撃波を分析することで、ついに火星コアの実態を解き明かしたのです。

結果、火星コアは地球とは違い、すべてが液体状の鉄合金でできていることが判明しました。

地球は先述したように、内核が固体で外核が液体です。

地球・月・火星を伝播する地震波からコアの実態を調査
Credit: Vedran Lekić et al., PNAS(2023)

さらに火星はコアに含まれる軽い元素の割合が非常に高く、コア重量の約5分の1が硫黄を中心とした軽元素で、その他に酸素や炭素が存在していました。

これは地球コアに含まれる軽元素の割合が比較的少ないのとは異なり、地球コアよりも密度が低く、圧縮性が高いことを意味します。

そしてこの違いから、生命の存在にとって重要な”磁場シールド”が火星にない理由が説明できるかもしれません。

なぜ火星には「磁場シールド」がないのか?

地球には、その表面を覆うようにして磁場のシールドが幾重にも張られています。

磁場は太陽風が地上に直接降り注ぐのを防ぎ、大気や水を守ってくれています。

もし磁場シールドがなくなると、太陽風が直接惑星に当たることで大気は宇宙空間に飛散し水も失われてしまいます。

そうなれば生命は生きられない星になってしまうでしょう。

地球を保護する磁場シールド
Credit: canva

この生命の存在にとって重要な磁場は、地球内部の大規模な流体運動によって生成します。

内核(固体)の熱が外核(液体)に移動することで循環流が発生し、さらに自転の影響を受けて、現在の放射状のパターンに広がるのです。

これを「ダイナモ理論(geodynamo)」と呼びます。

一方で、火星には地球のような磁場シールドがないことが知られています。

今回判明した火星コアにもとづくと、軽元素の多さや密度の低さが、火星における磁場の発生および維持を阻害している可能性があるようです。

地震波データから判明した火星コアのイメージ
Credit: NASA/JPL and Nicholas Schmerr –University of Maryland(2023)

しかし過去の研究では、約40億年前の火星には磁場が存在していたことが示されています。

それがなぜ現在のような火星コアになり、磁場が消えてしまったのかはまだ分かりません。

レキッチ氏は「まるで穴埋めパズルのようなものだ」と話します。

「本研究では、火星コアに水素の痕跡がわずかに見つかっており、火星にはかつて水素が豊富に存在できるような環境があったことが窺えます。

火星がどのような変遷をたどって今日の姿になったかを理解するには、更なる研究が必要です」

その穴埋めをする上で、今回判明した火星コアの実態は貴重なヒントとなるでしょう。

全ての画像を見る

参考文献

In an Incredible First, Scientists Have Discovered What’s at The Core of Mars https://www.sciencealert.com/in-an-incredible-first-scientists-have-discovered-whats-at-the-core-of-mars Scientists Detect Seismic Waves Traveling Through Martian Core for the First Time https://cmns.umd.edu/news-events/news/scientists-detect-seismic-waves-traveling-through-martian-core-first-time

元論文

First observations of core-transiting seismic phases on Mars https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2217090120
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