犬にさんまを与えても問題ない?
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「秋刀魚」という漢字からも分かるように、さんまは秋が旬となる魚です。最近は冷凍技術も進歩しているので、秋だけでなく1年を通してさんまを味わうことはできますが、それでもやはり秋に穫れる脂がたっぷりのった生のさんまは格別ですよね。
飼い主が美味しく食べていると、さんまの香りに誘われて愛犬も食べたそうに近づいてくるかもしれません。こんなおいしい魚をぜひ愛犬にもおすそ分けしてあげたい!と思うことでしょう。
人間にはOKでも犬にとってNGな食べ物はいくつかありますが、さんまは犬にも安心して与えることができる食べ物です。犬にとって中毒となるような成分は含まれていないので、魚にアレルギーを持っていない限り食べさせることができます。
さんまにはさまざまな栄養素がバランスよく豊富に含まれています。与え方や量をきちんと守って与えさせえすれば、犬にとっても嬉しい健康効果を期待できる食べ物であると言えるでしょう。
犬にさんまを与えてもいい量
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犬にさんまを与える時は「量」に気を付ける必要があります。過剰摂取させてしまうと、健康効果どころか逆に健康被害を与えてしまうことになりかねないからです。特にさんまは見た目以上にカロリーが高い魚なので、きちんと量を守って与えるようにしたいものです。
犬にドッグフードを与えている場合、犬が1日に必要とする栄養素は基本的にドッグフードだけで十分摂取することができます。さんまも含め、他の食べ物をあげる時は「ごほうびとして」、あるいは「食欲を増進させる目的で」トッピングやおやつ程度に与えるだけで十分です。
犬に副食を与える時は、1日の食事量の10%程度で十分であると言われています。この計算を基にして、犬の体重別にどれくらいの量のさんまを与えてもいいのかを取り上げましょう。
超小型犬の場合
超小型犬とは体重が4kg未満の犬のことです。例えばトイプードルやチワワ、パピヨン、マルチーズやポメラニアン、豆柴といった犬種が超小型犬に入ります。
超小型犬(体重1~3kg)の1日の食事量は約100~200gです。副食を与える時はこの10%程度なので、超小型犬に与えていいさんまの量は10~20g程度といえます。ちなみに焼きさんまの可食部分は1尾およそ83g前後になるので、1/8から1/4程度を目安にできます。
小型犬の場合
小型犬とは体重が10kg以下の犬を指します。例えばシーズーやテリア、柴犬、パグ、狆やペキニーズ、ミニチュアダックスフンドなどが含まれます。
小型犬(体重5~10kg)の1日の食事量は約300~500gです。この10%である30~50g程度が小型犬の適正量となります。
中型犬の場合
中型犬は体重が25kg以下の犬のことです。バセットハウンドやパセンジー、ビーグル、ブルドッグやボーダーコリーといった犬種が含まれます。
中型犬(体重10~25kg)の1日の食事量は約500~1000gです。この10%は50~100gとなります。さんま1尾程度と覚えておけますね。
大型犬の場合
大型犬とは体重が25kg以上の犬のことをいいます。ラブラドルレトリバーやゴールデンレトリバー、セントバーナード、ドーベルマン、ロットワイラーといった犬種がいます。
大型犬(体重25~40kg)の1日の食事量は約1000~1450gです。100~140g程度を目安にさんまを与えることができます。
子犬の場合は注意が必要
子犬にさんまを与える時は、子犬の体重に関わらず「ほんの少し」程度にとどめて様子を見るようになさってください。子犬はまだ消化器官がきちんと発達していません。下痢や嘔吐など消化不良を起こしやすいので、たくさんの量を与えないようにしましょう。
犬にさんまを与えることで期待できる効果
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さんまにはたんぱく質やカルシウム、ビタミンB群やビタミンAなど、たくさんの栄養が含まれています。これらには体や筋肉を作ったり、白内障を予防するなど目の健康を保ったり、骨を丈夫にしたりする効果があります。
また、さんまにはEPAやDHAといった抗酸化作用がある不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。不飽和脂肪酸は適度に摂取することで皮膚や粘膜の健康を保ったり、脳の働きを活性化してくれたりする効果を期待できます。また、血栓の詰まりを防ぐ効果もあるので、心筋梗塞や脳梗塞になりにくい体作りにも役立ちます。
犬にさんまを与えるときの注意点
犬にさんまを与える時は「与え方」にも注意しましょう。さんまにはEPAやDHAが豊富に含まれているとお伝えしましたが、これら不飽和脂肪酸は大量に摂取しすぎると健康を害してしまう恐れもあります。
さんまはカロリーもとても高いので、いくら旬だからといって日常的に与えるのではなく、旬を楽しむ程度に時々与えるだけで十分といえるでしょう。
さらに、魚介類にはアニサキスなどの寄生虫がいる場合があります。アニサキスは加熱することで死滅するので、さんまは「生」ではなく「加熱したもの」を与えるようにしてください。
さんまは小骨が多いので、なるべく骨をすべて取り除いて与えましょう。万が一、愛犬の喉に骨が刺さってしまうと危険です。他にも塩やしょうゆなどで味付けしたものは犬にとって良くないので、何も味を加えずに加熱したものをあげるようにしましょう。
魚にアレルギーを持つ犬もいます。特に初めてさんまを与える時はほんの少しだけにして様子を見るようにし、もし愛犬の体調に少しでも異変を感じるようなら、すぐに獣医師の診断を仰ぐようになさってください。
さんまの内臓や頭も与えて問題ない?
さんまの内臓や頭にも栄養がたくさん含まれているので、内臓や頭ごと食べるという方もいることと思います。
犬にも内臓や頭も与えて問題はありませんが、食中毒の危険もあるので必ず加熱したものを与えてください。また、さんまの頭には骨がたくさんありますし、身の部分と比べると硬くて食べづらいので、圧力鍋などで柔らかくしてから与えた方が良いでしょう。