はじめに
愛犬の鼻に触れると、ひんやり冷たく濡れているのがわかりますよね。犬の鼻は濡れているのが普通だと言われていますが、乾いていると何か問題でもあるのでしょうか?鼻が濡れているか乾いているかは健康のバロメーターだとも言われることがあるので、乾いていると心配になってしまいますね。
まず犬の鼻が濡れているのはなぜなのかについて解説します。それから犬の鼻が乾く原因や対処法について説明します。
犬の鼻が乾いているからと言って必ずしも病気であるわけではないので安心してくださいね。それでも犬にとって大切な体の部分なのでしっかり観察してケアしましょう。
犬の鼻が濡れているのはなぜ?
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触るとひんやり冷たい犬の鼻ですが、どうして濡れているのでしょうか?鼻水だと思っている人もいるようですが、犬の鼻が濡れているのは鼻水が原因ではありません。ここでは犬の鼻が濡れている主な理由として考えられる2つの点について説明します。
嗅覚を鋭くするため
犬の鼻は嗅覚を鋭くするために常に湿った状態になっているとされています。鼻にある腺から分泌液が出ているのです。鼻水だと思っていた人もいるかもしれませんがそうではありません。
犬の嗅覚は非常に優れていて、個体差もありますが人間の嗅覚に比べて1000倍から1億倍もあると言われています。この鋭い嗅覚を使えば、人間には嗅ぎ分けることのできないものでも犬は嗅ぎ分けることができます。
犬の嗅覚が優れているのは、ニオイを探知する細胞の数が多いからだとされています。人間にはこの細胞が5,000,000個ほどありますが、犬はそれよりもはるかに多くの細胞を持っています。
例えば、ダックスフントはニオイを探知する細胞を125,000,000個、ビーグルは225,000,000個も持っているとされています。また嗅覚におけるエキスパートと言われているブラッドハウンドはニオイを探知する細胞を300,000,000個も持っているとされています。
他にも麻薬探知犬など優れた嗅覚を活用して活躍している犬たちがたくさんいます。鼻を湿らせることによって嗅覚を鋭くしているんですね。なかには自分で鼻を舐めて湿らせる子もいるようです。指先を舐めて濡らしてから風向きを確かめる人がいますが、それと同じような感覚なのかもしれませんね。
パグやブルドッグのような鼻が短い個体もいますが、これらの短頭種と呼ばれる犬種は他の犬種に比べてニオイを探知する細胞が少ないようです。それでも人間よりははるかに優れた嗅覚を持っていることには変わりありません。鼻ペチャではありますが鼻を濡らして嗅覚を鋭くしていることが分ります。
体温調節をしている
汗腺が少なくて汗をかきにくい犬は体温調節が上手にできません。暑い日に犬がハアハアと呼吸しますが、これをパンティングと言います。パンティングをすることによって体にたまった熱を外に出しているのです。そして肉球や鼻に汗腺があるのでそこから汗をかいて体温調節をしています。
日本の夏は高温多湿なので多くの犬にとって過ごしにくいかもしれません。室内でも温度調節をしないとかなり高温になってしまいます。家の中でもハアハアとパンティングをする子もいることでしょう。熱中症にならないように常に室内温度の調整をする必要があります。
体温調節があまり上手に行うことができない犬にとって、鼻は数少ない汗腺がある箇所なのでケアする必要があると言えます。デリケートな箇所でもあるので飼い主としては日ごろから観察して健康チェックをしたいですね。
犬の鼻が乾く原因
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犬の健康のバロメーターとさえ言われる鼻ですが、乾いていることがあると飼い主さんは心配になってしまいますよね。しかし犬の鼻が乾いているからと言って必ずしも病気であるわけではありません。まずは考えられる原因をいくつか見てみましょう。
睡眠中または寝起きだから
犬が寝ている時は鼻が乾きやすいと言われています。鼻を濡らす粘液の分泌量は睡眠中に減少しますが、これは体が休んでいるので当然のことだと言えるでしょう。しかも寝ている間は嗅覚を鋭くする必要がありません。愛犬の鼻が乾いていることに気づくのは主に犬が寝ている時かもしれませんね。寝起きの際にも鼻はまだ乾いていることでしょう。
睡眠中や寝起きの時に愛犬の鼻が乾いているのは普通のことなので心配する必要はありません。愛犬が起きてから少し時間が経てばいつものようにひんやりと冷たい濡れた鼻になっていることでしょう。
運動をした直後だから
運動をした直後には体内の水分が少なくなっているため、鼻が乾燥していることがあります。これも犬の体にとっては正常なことなので心配する必要はありません。散歩から帰ってきたときやドッグランに連れて行った後に愛犬の鼻が乾燥気味になっているかもしれませんが、時間が経てばいつもの湿った鼻に戻っていることでしょう。
加齢のため
人間と同じように犬も加齢によって代謝が落ちてしまいます。鼻の粘液の分泌量も減ってしまいますが、これも自然なことなので心配し過ぎることはありません。
老犬の場合は普通の時でも鼻が乾きがちになります。いつも以上に鼻のケアを意識的にしてあげる必要があるでしょう。老犬の体をいたわるようにし、年齢にあわせた健康管理をする必要があります。
水分が不足しているから
体の水分が不足していると鼻が乾くことがあります。個体にもよりますが、中には水をあまり飲みたがらない子もいるので、積極的に水分補給をさせないと脱水状態になってしまうことがあります。
軽い脱水であれば心配し過ぎることはないでしょう。水分補給をして様子を見れば元通りの湿った鼻になりますよ。
日焼けをしたから
日焼けが原因で鼻が乾いていることがあります。日焼けの場合は鼻が赤く腫れたり皮がむけたりすることがあります。日焼けをするのも通常の生活をしていると仕方がないことかもしれませんね。夏は特に日差しが強いので、短時間の散歩でも簡単に日焼けをしてしまいます。
ただし日焼けを繰り返すと皮膚ガンになるリスクが高くなるとも言われています。できれば日差しがそれほど強くない時間帯を選んで外出するようにしましょう。特に鼻の色が薄い犬種は鼻の日焼けに気をつけてしっかりとケアすることが大切です。