犬を多頭飼いをする前に
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犬を飼っていると「もう1匹欲しいな」と思うことがありますよね。犬好きであれば犬に囲まれて生活できるのは憧れでもあります。
でも多頭飼いをするためには、前もって考えておくべきポイントがいくつかあります。犬は大切な家族の一員になるわけですから、前もってしておくべき必要な準備もあります。多頭飼いをするかどうかはよく考えて決めないといけないのです。
今回は多頭飼いをする前に考えておくべきポイントや、多頭飼いのメリットデメリット、多頭飼いに必要な準備について解説していきます。
よく考えてから多頭飼いをするかどうかを決定し、そうすると決めたら必要な準備に取り掛かりましょう。しっかりと準備してから新しい犬を迎えるなら、多頭飼いをスムーズに始めることができます。
ではまず初めに、犬を多頭飼いをする前に考えておくべきポイントをいくつか挙げていきましょう。スーパーでスイカを買ってくるようにして、もう1匹新しい犬を買ってくるわけにはいきません。大切な一つの命を預かるわけですから、前もって考えておくべきことがあります。
その①十分な飼育スペースを確保できるか
もう1匹新しい犬が家族になるということは、そのための飼育スペースも必要になるということです。
2匹を同じケージの中に一緒にまとめることはできないので、もう1つ新しいケージが必要になりますし、そのためのスペースも確保しなければならなくなります。今ケージを置いている場所にもう1つケージを置くことができるかどうかを考えなければなりません。
また犬同士の相性によっては、ケージを別々の部屋に設置する必要が出てくる可能性もあります。その場合のことも考えて、「うちにはもう1匹新しい犬を迎え入れるだけの飼育スペースがあるだろうか」と考えるようにしましょう。
トイレの場所やご飯を食べる場所、ひなたぼっこをする場所など、犬が生活するために必要な場所が2倍になると考えてください。
その②十分な時間を確保できるか
犬を1匹飼育するだけでもかなりの時間を確保しなければなりません。もう1匹を飼育するということは、さらに多くの時間を確保する必要があることを意味します。
散歩を2匹同時に行えればいいですが、犬の大きさが違ったり犬同士の相性が悪かったりしたら、別々に散歩をさせなければならなくなります。散歩時間が2倍になるので、その時間を確保できるかどうか考えておきましょう。
シャンプーの時間や遊ぶ時間、トリミングサロンや動物病院に連れて行く時間など、他にも愛犬のために使わなければならない時間があります。これらの時間は2匹同時に使うこともできますが、そうできない事情が生じる可能性もあります。
あらゆる状況にも対処できるように、家族みんなの協力が得られるかどうか考えておきましょう。
その③多頭飼いをする経済的余裕はあるか
犬の飼育には費用が掛かります。毎日ご飯を食べさせるわけですからドッグフード代がかかりますし、愛犬と仲良くなるためにおやつも買ってあげたいですよね。
おもちゃやリードなども必要ですが、消耗してしまうと買い替えなくてはなりません。その他狂犬病の予防注射やワクチン接種、健康診断なども定期的に行う必要があります。
ペットフード協会が行った「全国犬猫飼育実態調査2018」によると、小型犬(平均寿命13.91歳)の生涯飼育費用は約174万円、中型犬から大型犬(平均寿命13.36歳)だと約148万円かかるだろうということです。このほかにも病気やケガのための治療費、去勢・避妊手術、トリミング、しつけ教室などの費用が必要に応じて加算されます。
1匹の犬を飼育するだけで生涯飼育費用が100万円を軽く超えるわけですから、もう1匹を新しく迎える前に経済的な余裕があるかどうかを考えなければなりません。
ちなみに1年ごとの飼育費用は大型犬のほうが高額ですが、小型犬のほうが大型犬に比べると平均寿命が長いので、生涯費用を計算すると小型犬のほうが大型犬よりも高額になります。
その④先住犬は多頭飼いを問題としないだろうか
多頭飼いをする前に、先住犬の特徴や性格についても考えなければなりません。先住犬があまりにもデリケートな性格だと、新しい犬を迎えた時にストレスになってしまうことがあります。
中には嫉妬深い犬もいて、新しい犬に家族みんなの注意が行ったことで嫉妬して、攻撃的になったり問題行動を起こしたりする先住犬もいるようです。
また、普通なら先住犬が上下関係の上になりますが、新しく迎えた犬が元気過ぎて先住犬を追いかけ回したり、じゃれついたりすることがあります。そうなると先住犬は居心地が悪くストレスを溜めてしまいます。新しい犬を迎え入れることによって先住犬に与える影響もあるので、慎重に考える必要があります。
さらに、新しい犬を迎え入れる前に先住犬のしつけがしっかりとできていないといけません。先住犬は先輩として新しい犬にしつけや家族のルールを教えます。
しかし先住犬が無駄吠えをするようだと、相乗効果で新しい犬も無駄吠えをするようになってしまいます。先住犬の問題行動を新しい犬が真似するようになると大変です。
他の犬とうまくやっていけるかどうかを確かめるために、散歩中やドッグランで他の犬にどんな接し方をしているか観察してみましょう。
他の犬とも仲良くできていれば、新しい犬を迎えても大丈夫でしょう。激しく吠えたり喧嘩腰になったりするようだと、新しい犬とはうまくいかないかもしれません。散歩中やドッグランでの態度を一つのバロメーターにできるでしょう。
その⑤性別はどうするか
多頭飼いの時は性別の組み合わせをどうするかについても考えておく必要があります。オスとメスを組み合わせるなら、予定外の妊娠をしてしまう可能性があります。繁殖をする予定がなければ、去勢・避妊手術について考えておく必要があるでしょう。
オス同士、メス同士で多頭飼いをする場合は、同姓ゆえの争いが生じる可能性があります。しかしメス同士はオス同士に比べて飼育しやすいと言われています。オス同士の場合は縄張り争いや順位付けなどによる喧嘩がおこることがあります。しかし去勢すれば、喧嘩をすることは少なくなるでしょう。
その⑥新しく迎える犬のサイズはどうするか
多頭飼いの場合は犬のサイズをどうするかについても考えておきましょう。サイズに違いがあると一緒に散歩をすることができず、1匹ずつ別々に散歩をさせなければならないことがあります。また、サイズ違いの犬がじゃれあうと、思わぬケガをさせてしまうこともあります。
同じサイズ同士の犬を飼うなら一緒に散歩に連れて行けますし、じゃれあった時のケガなどのリスクが小さくなります。チワワとチワワ、マルチーズとマルチーズなど、同じ犬種同士の多頭飼いをするとうまくいくことが多いようです。
多頭飼いするメリットデメリット
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多頭飼いに憧れる飼い主は多いことでしょう。では、多頭飼いにはどんなメリットとデメリットがあるでしょうか?
多頭飼いのメリット
犬はもともと群れになって集団生活をしてきた動物です。1匹でいるよりも他の犬と一緒にいるほうがストレスを感じることが少ないと言われています。
1匹だと留守番が苦手なのに、他の犬がいると大丈夫だということも多いようです。犬同士で仲良く過ごすことができれば、留守番で寂しいということがないのでメリットになります。
さらに、他の犬と接することによって社会性を身に着けることができます。1匹だけだと飼い主に依存してしまったり、自分を人間だと勘違いしてしまったりすることがあります。他の犬と仲良くできない性格に育ってしまうこともあります。
同じ犬種の多頭飼いをすると、その犬種に関する知識をたくさん増やすことができますし、異なる犬種の多頭飼いをすると、それぞれの犬種の違いを楽しむことができます。犬にも個性があるので、楽しみながら愛犬たちをかわいがることができるのも多頭飼いのメリットだと言えるでしょう。
多頭飼いのデメリット
多頭飼いがうまくいくかどうかは犬同士の相性次第です。相性が悪いと喧嘩ばかりするようになり、飼い主としても目が離せなくなるでしょう。同じ空間で飼育するのが難しくなることさえあります。
それぞれの犬に対する扱いが違うと、嫉妬の原因になってストレスを溜めてしまうことがあります。愛情の注ぎ方をコントロールするのはそれほど簡単なことではありません。
どちらかの犬がストレスを感じるようになると、食欲不振や大腸炎などの病気にかかることがありますし、問題行動を起こすこともあります。相性のいい犬同士の多頭飼いはとても楽しいですが、相性が悪いと飼い主にとってもストレスの原因になってしまうというデメリットがあります。