はじめに


台北市の北部にそびえる陽明山。その一帯は国家公園となっていて、季節の花々を眺めたり、温泉でゆるんだり……と、台北ローカルが気軽に出掛ける行楽地として人気のスポットです。山の東側には、特色ある温泉リゾートが続々。このあたりのホテルに滞在しつつ、北海岸に足を伸ばして奇石が連なる人気スポット・野柳地質公園を観光するのがオススメです。こじんまりした隠れ家的温泉ホテル「陽明山 出霧溫泉」を紹介します。

陽明山と北海岸、豊かな自然に包まれる場所


「陽明山 出霧溫泉」がある陽明山の東側・金山区は、清代に商業が栄えた地域で、現在は金山老街と呼ばれる観光商店街として賑わいを見せています。周辺には、東海岸をのぞむ獅頭山公園、硫黄採掘期をしのぶ四磺坪と焿子坪、台湾の彫刻家・朱銘氏の私設野外ミュージアム「朱銘美術館」といった観光スポットがあり、週末には多くの人が訪れるエリアです。

不思議なフォルムの秘密は機能性にもある


“出霧”とは、その文字通り、年間を通して霧が立ちこむ土地柄にちなんだもの。ホテルは木材と石を中心にした自然志向の建物で、“63度”の角度にこだわったガラスの壁面が斬新です。こうして角度をつけたことで、雲間から差す太陽の光を遮るひさしの役割を果たすのだそう。

建物の中に入ると、今度はスタッフが“63度”のおじぎでお出迎え。チェックイン時には、夏は自家製の梅ジュース、冬はアツアツの生姜茶でおもてなし。

夏のお肌もすっきり! 乳白色の硫黄泉を堪能




小規模なホテルとあって、客室は全28室。最小でも13坪以上の広さがあり、全室ともフローリングで、木製家具を多用した爽やかなインテリア。そして窓の外の緑を眺められる場所に内風呂を配しています。泉質はpH値8.8のアルカリ性硫黄泉。蛇口をひねって源泉のお湯を浴槽に入れると、始めは無色透明に見えるものの、微量のミネラル成分などが含まれていて、半分ほど入れると黄緑がかった乳白色に。このお湯は、化粧品や石鹸、軟膏の基材となるベントナイトに近い成分で、お肌の余分な脂がすっきりと洗い流され、湯上がりはさっぱりした肌触りに。秋冬は55℃、春夏は32℃に設定されています。

石造りの露天風呂は秘境の雰囲気たっぷり


露天風呂を求めるなら、スイートルーム「河谷」へ。山からのそよ風に吹かれながら、石造りの露天風呂で開放感あふれるひとときが過ごせます。

また、サウナ好きなら、大浴場がオススメ(別料金)。20℃、37℃、42℃の3種類の浴槽があり、サウナで新陳代謝を高めながら、温泉効果をじっくり体感できるはず。

ブックカフェならぬ“ブックレストラン”は絶景も自慢。




“ずっとここにいたい!”と思わせる場所は、湯船だけではありません。最上階にあるレストラン「出霧書房」は、天井に届かんばかりの書棚と、パノラマビューが自慢の空間。霧が立ちのぼる山景色を眺めながら、丁寧に淹れたお茶、地元で採れた旬の食材を使った料理をどうぞ。調理に関しても“63”の数字が鍵に。調理に最も適した温度が63℃とのポリシーで、季節感あふれる料理を供しています。例えば、からすみ、山芋、チェリーダックの胸肉の前菜、新鮮で甘みのある海鮮を添えたパンプキンスープ、メインはブランド牛のステーキ、ウシエビ。デザートのアイスクリームまで、目にも鮮やかな、多彩な料理が並ぶコース料理を堪能してください。

晴れの日は穏やかな山の緑を、雨の日は窓に当たっては流れる雨水を……臨場感ある自然の姿を感じながら、アフタヌーンティーを楽しんだり、1人静かに本を読んだり……いつ訪れても魅力あるブックカフェ的レストラン。滞在中に一度は足を運びたいですね。

おわりに


台北市内から訪れるなら、MRTの國父紀念館駅4番出口から出発する送迎バスを予約すると、とっても便利。約50分の乗車で、別世界にトリップできます(片道200元)。8月末までは、夏休みキャンペーンを実施中で、児童の宿泊は無料に。また「出霧書房」の朝食2人分と書籍の閲覧、大浴場の利用券がセットになった、土曜日限定のお得なプランも。この機会にぜひ、陽明山でのバカンスを計画してみてはいかが。

◆陽明山出霧溫泉
住所:新北市金山區山城路82-3號
電話:+886-2-2408-0666
情報提供元: 旅色プラス