はじめに


飛行機に乗ればどこにでも行けてしまう現代において、いまだに世間から閉ざされた秘境の地とは!? 元秘境ツアーコンダクターで現在は旅作家のとまこさんが、人生で特に印象に残った秘境を教えてくれました。

Text:竹田亜矢
Interview Photo:中川文作

秘境は意外と楽にいけるところもある


――もともと秘境ツアーコンダクターをされていたとのことですが、読者におすすめしたい秘境を5つ教えていただけますでしょうか?

秘境というだけあって、現在はツアーなどを行っていなかったり、現地にたどり着くのは至難の業という場所も多いのですが、そういったところ以外にも比較的気軽に行けそうなおすすめも多いので、今回はその両方から特に印象に残った場所を選ばせていただきますね。

シルクロードで繁栄した都市 楼蘭遺跡(新疆ウイグル自治区)


Photo:とまこ

秘境といえばまずは何をおいても楼蘭(ろうらん)遺跡! かつて新疆ウイグル自治区のシルクロードで一瞬だけ栄えた王国なのですが、いまも遺跡として残っており、ツアーコンダクター時代に運よく仕事で同行することができました。現地スタッフと日本人客総勢30人くらいで、5日間テントで野営しながらタクラマカン砂漠を進むという壮絶な体験でした。現在はツアーなどもなかなか出ていない場所のため、ここに行けたことは私の人生でも一番の自慢と言ってもいいかもしれません!

――とまこさん憧れの作家、椎名誠さんも紀行文で舞台にした場所ですね。お仕事でたまたま行くことができたとは、とてもうらやましいです! それでは、逆に日本から最も行きやすい秘境はどこでしょうか?

高美湿地のウユニ塩湖(台湾)


Photo:とまこ

お隣台湾の、台中駅から電車で30分、バスで小1時間弱で行ける高美湿地です。ウユニ塩湖などに見られる“鏡張り”という現象で人気の湿地帯で、旅人たちの間でひそかに流行中なんです。私が出向いた春先は、夜が近づくにつれ水面が紫がかることが多く、風車の姿と相まって神秘的な空間が広がっていました。ベストシーズンの夏の夕暮れ時には湿地全体が美しく赤色に染まりやすいそうですよ。ちなみに、地元の方にとっては夏恒例のおでかけスポットなんだそうです。

――私たちにとっての秘境が地元の方にとっては定番の行楽地だなんて面白いですね!

神の啓示が下りてきた!? ティカル(グアテマラ)


Photo:とまこ

そして、忘れてはいけないのが薄暗いジャングルを進んだ先に突如現れるピラミッドの遺跡、ティカルです。そこに辿りつくまではフローレスという街からバスで2時間ほどかけて行きます。ピラミッドに掛かる小さなはしごを恐る恐る登っていくと突然視界がひらけ、一面ジャングルの海が現れます。ピラミッドは神殿として建てられたもの。この神様の視点から地上を見下ろすことで、この世の真理がわかった気がして思わず涙しちゃいました。

――自分が神様の位置に立ってみることで、見えてくるものがあるのですね。ぜひとも体験してみたいです。

幻想的な真っ白の空間 白砂漠(インド)


そして4つ目はインドの白砂漠。通りすがりの旅人からもらった地図に「white desert」の文字を見つけて、いてもたってもいられず出発しちゃいました。パキスタンの国境近くにあり、ブージという街からオートリキシャという三輪タクシーで約5時間かかりました。着いた砂漠は一面白く見える幻想的な世界。とても暑くて日の照射が強いなか光が大地に反射すると、目には自分が取り囲む天球ごと真っ白に映るようで、夢見心地な空間でした。オートリキシャの運転手やその友人とも仲良くなり、3人でわいわい楽しく過ごした思い出の地でもありますね。

――どこでも友達を作ってしまうとまこさん! 素敵な光景も皆で眺めることでより深く心に刻まれそうですね。

水路をハウスボートで進む バックウォーター(インド)


Photo:とまこ

そして最後は南インド・ケララ州の水郷地帯、バックウォーター。日本からデリーを経由しトリバンドラムまで約16~20時間かけて移動すると到着です。ヤシが生い茂る運河を、その合間を縫うようにボートで進みます。朝日と夕日の美しさは特筆ものですよ! 日本ではあまりメジャーではないのですが、海外では大人気の観光クルーズなので、時間はかかりますがここも比較的行きやすい秘境だと思います。安価なボートツアーから宿泊付きのハウスボートクルーズまであるので予算に合わせて選ぶことができますよ。

おわりに


――まさしく秘境というところから、誰もが気軽に行けそうなプチ秘境まで紹介してくださったとまこさん。どれも魅力的でぜひ行ってみたいですね!こちらのお話やとまこさんの旅先での工夫にあふれた旅グッズなどを「旅色Seasonal Style」の「旅のワードローブ」ページで読むことができます! “おしゃれパッカー”とまこさんの総量25kg以上もある旅グッズの中身を詳しく紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
情報提供元: 旅色プラス