両備ホールディングスの小嶋光信代表兼最高経営責任者(CEO)は、両備バスと岡電バスが赤字のバス路線31路線の廃止を中国運輸局に申請したことについて、ウェブサイト上で経緯を説明した。



競合会社である八晃運輸が「めぐりん益野線(仮称)」として参入することで、繁忙時は5分に1本、閑散時は10分に1本の運行を行う路線に対して供給が3割増え、運賃が3割から5割安くなることで、両備ホールディングスの路線バス事業が大幅に赤字化し、路線を維持することができないとしている。中国運輸局は両備ホールディングスが廃止届を提出した同日夜に、新規参入を認可した。



八晃運輸の「めぐりん」は岡山市市街地を循環するコミュニティバスで、2012年より運行を開始した。現在運行する5路線の運賃は路線により一律100円もしくは200円となっている。



両備バスでは3割の黒字路線で7割の赤字路線、岡電バスでは4割の黒字路線で6割の赤字路線を支えているとしている。小嶋光信代表兼CEOは、「地方公共交通事業に携わる者として、当局が地域公共交通を破壊させかねない前例を作ろうとされている理由が知りたいと思います。」として、これを前例とする日本全国規模での地域公共交通網の破壊という最も懸念すべき事態を阻止するため、また地域公共交通の実態を知ってもらうため、敢えて、赤字路線の廃止届を提出したという。



さらに、「これを機に、全国の路線バス事業者が抱える窮境を知ってもらいたいと思います。このことで地域公共交通の実態が分かれば、全国で路線維持に苦しんでいる交通事業者や地方自治体も必ず呼応してくれるものと信じています。そして、その声が全国であがることによって、地域公共交通をサステイナブルに維持することができるよう、正常化に向かう機運が高まることを願っています。」(同)としている。



「道路運送法で需給調整規制が廃止され、路線バス事業の申請が許可制になって以降、バス路線の申請は、過去の訴訟を踏まえた紛争リスクから許可条件のみを形式的に審査することにより許可されてきた。」(同)として、結果として重大死亡事故や乗務員不足などの弊害が発生したと主張。「事業者間の競争による利用者利益の確保」の考え方から「地域公共交通の維持による利用者利益の確保」を主軸とする方向への転換が必要とされており、社会通念上、大きな変革が求められるとした。



両備ホールディングスでは、2017年6月に国土交通省宛に問題点を検証し、指摘した文書「仮称「めぐりん益野線」の申請が地域公共交通網に与える影響についての検証」を提出していた。



(写真:両備ホールディングスウェブサイトから)

情報提供元: Traicy
記事名:「 両備ホールディングス小嶋代表、路線バス31路線廃止届提出の経緯説明