「なんでこんないいクルマが日本で普通に買えないんだ!?」




そのブランドのファンや関係者ならずとも、そう憤慨したくなるような日本未導入モデルは、グローバル化がこれだけ進んだ今なお、数え切れないほど存在する。




そんな、日本市場でも売れるorクルマ好きに喜ばれそうなのになぜか日本では正規販売されていないクルマの魅力を紹介し、メーカーに日本導入のラブコールを送る当企画。今回は、欧州におけるミニバンの元祖、ルノー・エスパスを紹介したい。




TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●ルノー

1984年に誕生した初代ルノー・エスパス

日本では日産プレーリー、北米ではダッジ・キャラバンがミニバンの元祖と言われているが、欧州ではルノー・エスパスがそれにあたる。




初代エスパスが誕生したのは1984年。居住性を最重視したその斬新なコンセプトに加え、樹脂を多用した軽量ボディがもたらす軽快なハンドリングも相まって、たちまちヒット作となった。

1991年に誕生した二代目ルノー・エスパス
F1用エンジンをミッドシップしたことで話題になったルノー・エスパスF1

1994年のパリサロンで初公開されたコンセプトカー「エスパスF1」は、1991年デビューの二代目エスパスをベースとしながら当時のウィリアムズ・ルノーF1のV10ユニットをミッドに搭載し、3列シートの代わりに4脚のフルバケットシートを装着したことで、日本でも話題になったと記憶している。

1996年に誕生した三代目ルノー・エスパス
2002年に誕生した四代目ルノー・エスパス
現行五代目ルノー・エスパス(前期型)のフロントまわり

だが、1996年デビューの三代目、2002年デビューの四代目、そして2014年のパリサロンで世界初公開された現行五代目エスパスに至るまで、日本に正規輸入されたことは一度もない。

【ルノー・エスパス(後期型)】全長×全幅×全高:4857×1888×1677mm ホイールベース:2884mm トレッド前/後:1630/1621mm 最低地上高:160mm 最小回転半径:5.55m

そんな現行五代目エスパスは、かつて日本でも販売されていたCセグメントSUV・カジャーと同様にルノー日産アライアンス(当時)のCMF-Cプラットフォームをベースとしているが、その性格はカジャーとも過去のエスパスとも大きく異なる。

現行五代目ルノー・エスパス(後期型)の運転席まわり

端的に言えば、買い物や家族の送迎、アウトドアに役立つ日常の足というよりもむしろ、富裕層が長距離長時間を快適に移動するための高級車と言っていいだろう。とりわけ、五代目エスパスを示唆したコンセプトカーからその名を受け継いだ、最上級にして最量販グレード「イニシャルパリ」には、そうしたキャラクターが色濃く反映されている。

現行五代目ルノー・エスパス(後期型)のインテリア

「4コントロール」の逆位相制御イメージ
「LEDマトリクスビジョン」の作動イメージ

しかも、2019年11月のマイナーチェンジで、内外装をより一層洗練させるとともに、後輪操舵システム「4コントロール」と電子制御ダンパーを新たに設定。アダプティブハイビーム「LEDマトリクスビジョン」に全車速追従アダプティブクルーズコントロール「ハイウェイ&トラフィックジャムコンパニオン」といった最新のADAS(先進運転支援システム)や、コネクテッドシステム「ルノーイージーリンク」も用意された。




なお、現在のパワートレインは、225ps&300Nmの1.8L直4ガソリンターボ+7速DCTのほか、160ps&360Nmまたは200ps&400Nmの2.0L直4ディーゼルターボ+6速DCTの3種類となっている。

間もなくマイナーチェンジを予定しているホンダ・オデッセイ

日本で販売されているミニバンの中で、エスパスと最もボディサイズや性格が近いのは、ホンダ・オデッセイだろう。いずれも中国市場での展開を見据えて開発されたと思われるが、こと内外装の質感とデザインの洗練度においては、エスパスの圧勝と言わざるを得ない。




価格も相応に高めではあるが、「オデッセイでは物足りないが、トヨタ・アルファード/ヴェルファイアはどうしてもイヤだ!」という高級ミニバンユーザーのためにも、ぜひ日本導入を!

■ルノー・エスパス イニシャルパリ TCe 225 EDC FAP(FF)*フランス仕様


全長×全幅×全高:4857×1888×1677mm


ホイールベース:2884mm


車両重量:1679kg


エンジン形式:直列4気筒DOHCガソリンターボ


総排気量:1798cc


最高出力:165kW(225ps)/5600rpm


最大トルク:300Nm/2000rpm


トランスミッション:7速DCT


サスペンション形式 前/後:ストラット/トーションビーム


ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク


タイヤサイズ 前後:235/55R19 101W


乗車定員:7名


車両価格:5万3300ユーロ(約665万円)
ルノー・エスパス

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ルノー・エスパス | 2019年11月のマイナーチェンジで最新のADASとシャシー技術を積極的に投入