ホンダは1987年に限定発売されたV型4気筒エンジン搭載のスポーツモデル「VFR750R(RC30)」を対象とした、ベストコンディションに維持するプログラム「VFR750R(RC30)リフレッシュプラン」を2020年6月より開始予定。このプランは「ユーザーに貢献したい」というホンダ社員の熱い思いが発端となった、これまでにない新たなサービス。整備のために再生産する純正部品は、リフレッシュプランだけでなく、販売も予定されている。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

新設立の「モーターサイクルリフレッシュセンター」に愛車を預ける→熟練の整備士がベストコンディションに!

『リフレッシュプラン』対象車の第一弾は、名車「VFR750R(RC30)」。

 ホンダは愛車をベストコンディションに維持するプログラム『リフレッシュプラン』という新しいサービスを、2020年6月より開始する。対象車両は、1987年に発売された、V型4気筒エンジン搭載の高性能スーパースポーツモデル「VFR750R(RC30)」。




 『リフレッシュプラン』は、「いつまでも最高の状態で乗りたい!」というユーザーからの熱い想いに対し、ホンダが持っている技術&ノウハウを上手に活かしたサービス。ユーザーとともに築き上げてきた、「オートバイ文化に貢献したい!」というホンダの想いが重なり、今回、新たなプロジェクトとして発足した。




 リフレッシュプランの整備メニューや、再生産する純正部品の検討には、当時の開発メンバー、また自らRC30オーナーであるメンバーたちが中心となって進行。再生産する純正部品は、30余年の経過で劣化が見込まれる部品や定期交換部品などに加え、一般ユーザーや販売店からの要望を踏まえ、必要な部品を厳選。多数の取引先や、社内関係部門の協力を得て、製造の検討が行われてきた。




 このプランを希望するユーザーは、新たに設立される「モーターサイクルリフレッシュセンター」に車両を預ける → 熟練の整備士が、ベストコンディションに仕上げてくれる、という流れだ。整備のために再生産する純正部品は、リフレッシュプランだけではなく、ユーザーへの販売も予定されている(※注)。




 リフレッシュプランのメニュー・再販売部品リスト・価格・申し込みから納車までの流れなどのプログラム詳細は、2020年5月下旬頃より、下記オフィシャルページにて順次案内される。RC30ユーザーは要チェック!




※注:ホンダでは、「これからも永く安心して乗っていただきたい」「ユーザーとともに築き上げてきたバイク文化を新しい世代に受け継いでいただきたい」という思いから、『Honda Heritage Parts』として、CB750F、DREAM CB750FOUR、NSR250Rの純正部品を再販売中。

VFR750R(RC30)の リフレッシュプラン オフィシャルページ


https://www.honda.co.jp/motorcycle-refresh-plan/

「ホンダ VFR750R(RC30)」って、こんなモデル

当時のホンダ製レーサーの定番だった、片持ち式のリアフォーク(プロアーム)を採用。

チタン合金製のコンロッドやクロームモリブデン浸炭鋼製カムシャフトなど豪華な装備。

アルミ製燃料タンクを装備。フェアリングも繊維強化プラスチック(FRP)製とするなど軽量化を推進。

吸排気系や燃焼室形状、クラッチやミッションなどの駆動系に至るまで、レースで得た技術をフル投入。

 ’86と’87年、鈴鹿8耐に出場したホンダワークスマシン「RVF750(NW1C)」をベースに誕生したのが「VFR750R(RC30)」。市販車ながら、’86年型RVF750の技術を、そのままフィードバック。400cc並の軽量コンパクトな車体、チタン合金製コンロッドやクロームモリブデン浸炭鋼製カムシャフトなどが盛り込まれたV型エンジンなど、当時の最先端技術がフル投入。’88年以降のワークスRVFも、RC30をベースに開発された。




 手作業のため、生産台数は1日20台程度。148万円という、当時の750ccクラスとしては破格の値段だったが、予約の段階で完売した。




 エンジンは、新設計の水冷4サイクルDOHC 4バルブV型4気筒748ccで、チタン合金製のコンロッドや、クロームモリブデン浸炭鋼製のカムシャフトを採用。また、吸排気系や燃焼室形状、さらにクラッチやミッションなどの駆動系に至るまで、レースで得た技術を幅広く投入。




 フレームは、極太の異形5角形断面材を使用した、ホンダ独自のアルミ・ツインチューブ・バックボーンフレームを採用。また、アルミ製燃料タンクを装備し、フェアリングも繊維強化プラスチック(FRP)製とするなど軽量化。外装の4色塗装とあいまって、軽快ななかにも、力強い仕上がりとなっている。

VFR750R(RC30)当時のカタログより

・上下二連式の大容量ラジエーターは、形状を弓形に湾曲させ、空気流入量を増し、冷却効率を高めている。


・ピストンの軽量化と、ピストンリングを2本とすることによる摺動抵抗の減少をはかると同時に、11対1の高圧縮比を実現、高い燃焼効率を得ている。


・ホンダ独自のカムギアトレーンは、コンパクトで精度の高い構造とし、高回転時におけるカムシャフトへの動力伝達効率を高めている。

VFR750R(RC30)当時のカタログより

・フレームはシートレール部をコンパクトにした上、別体式とし、軽量化と整備性の向上を実現。


・直径43mmの大径フロントフォーク、片持ち式リアフォーク(プロアーム)を採用、高剛性とすぐれた整備性を実現。


・ブレーキは、フロントに大径(310mm)のフローティング(浮動式)ダブルディスクを採用。リアディスクブレーキは、リンク機構を介したトルクロッドにより、ブレーキキャリパーをフローティング式とするなど、よりグレードの高い装備としている。

VFR750R(RC30)当時のカタログより

型式:RC30


全長(m):2.045


全幅(m):0.700


全高(m):1.100


軸距(m):1.410


最低地上高(m):0.130


シート高(m):0.785


車両重量(kg):201


乾燥重量(kg):180


乗車定員(人):1


燃費(km/L):32.2(60km/h定地走行テスト値)


最小回転半径(m):3.3


エンジン型式:RC07E(水冷4サイクルDOHC4バルブV型4気筒カムギアトレーン)


総排気量(cm3):748


内径×行程(mm):70.0×48.6


圧縮比:11.0


最高出力(PS/rpm):77/9,500


最大トルク(kg-m/rpm):7.1/7,000


始動方式:セルフ


キャブレター型式:VDHO


点火方式:CDI式バッテリー点火


潤滑方式:圧送飛沫併用式


潤滑油容量(L):3.8


燃料タンク容量(L):18


クラッチ形式:湿式多板ダイヤフラムスプリング


変速機形式:常時噛合式6段リターン


変速比:


1速 2.400


2速 1.941


3速 1.631


4速 1.434


5速 1.291


6速 1.192


減速比(1次/2次):1.939/2.500


キャスター(度):24°50′


トレール(mm):91


タイヤサイズ:


前120/70-17-58H(バイアス)


後170/60R18 73H(ラジアル)


ブレーキ形式:


前 油圧式ダブルディスク(フローティングディスクプレート)


後 油圧式ディスク(フローティングキャリバー)


懸架方式:


前 テレスコピック


後 スイング・アーム(プロアーム)


フレーム形式:


バックボーン(ツインチューブ)


発売当時の価格:148万円
情報提供元: MotorFan
記事名:「 CB750F、CB750FOUR、NSR250Rに続き、 VFR750R(RC30)純正部品を再生産!|ホンダ リフレッシュプラン