もはや恒例になりつつある全開(アクセルではなくドア)&計測シリーズ。大人気のロングセラー、フィアット500の登場である。

 いいなあ、チンクエチェント。そう思わせるに充分なこの色気。老若男女問わずに頬を緩ませるこのクルマのベースとなったのは、なんて野暮なことは抜き。「このクルマの元ネタとなったヌオーバチンクエチェントはRRで……」なんて無粋なことも言いっこなし。世界中で売れていて、デビューからだいぶ経っているのに大人気で、それでいいのだ。

フィアット500。全長3570×全幅1625×全高1515mm。ホイールベースは2300mm。

 左右ドアの開口寸法から。




 ドアハンドルはグリップ式。3ドアで4座(5名乗車ではないのだ)構造だけに、後席乗り込みのためのドア開口面積が必要なことから、小さなクルマながら大きく長いドアを備える。ドアチェックは1ノッチ式で、乗り越えポイントが非常にわかりづらかった。




 全開時の最外部は図中の矢印で示す、ドア中間部の膨らんだ部分。プロテクターの類がついていないので、先述のドアの長さとドアチェッカーのあいまいさと合わせて、狭いところで開くときには気をつけたほうがいい感想。ミラーtoミラーは1m87cmである。

 続いて前後フードの開口高さ。




 フロントフードの室内側ラッチ解除は(残念ながら)左側Aピラー根本に備わるレバー。赤い樹脂成形品なので場所はすぐにわかる。ワイヤー引きによる機械式だ。手動開きでダンパーの類はない。ステーはフードを開けたときの左側フェンダー沿いに備わり、ヒンジに引っかけて固定することから邪魔にならず、作業性に富んでいるのがうれしい。全開時の最高部はフード前端。




 リヤドアのラッチ解除はナンバー灯の間の電子式スイッチ。手動で開くタイプである。開放時の最高部はナンバープレートの下側。ユーロライセンスプレートの細長いスペースに日本のナンバープレートを押し込んでいることから下側が飛び出している格好で、その部分がいちばん高いところになっている。ボディが当たらないのは少々安心か。




 リヤドアを閉めるときのアシストグリップは備えず、内張りにナイロンのリボンが下がっているのを使う。

 開口部の寸法。小さいクルマだけに寸法も控えめ。荷室床高さはバンパーレベルより低い構造。ご覧のように中間部がいちばん広く、下側に向かって絞る形状となっている。




 開口部高さは91cmとしているものの、最上部から鉛直方向にはリヤシートの背面があるため、採寸はシートをたたんでの計測となった。

 後席は5:5分割式。ご覧のようにフルフラットにはならず、背面ヒンジの関係から荷室床との連続性もない。背面を倒したときに生地が表面に出るため汚損にも気をつけたほうがいいだろう。




 難儀だったのは、背面を倒すためのレバーの操作方向。室内側からだと背面をこちらに向かって引き寄せる格好になるのに、レバーは向こう側に押し込む構造となっている。つまり片手で倒すことができず、片方の手でレバーを押し込みながらもう片方の手で背面を倒すという動作が必要だ。なんとかならなかったのだろうか。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 公園で全開シリーズ:13回目 Fiat 500