2019年春、JAIA(日本自動車輸入組合)が主催する輸入車試乗会が恒例の大磯プリンスホテルで開催された。海外ブランドのバイクが一堂に会すこのイベントで、モーターファン.JPでは既報の原付2種特集に続き、今回は選りすぐりの6車についてレポート。




REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

⚫️ドゥカティ・SCRAMBLER Sixty2……899,000円

程よいパフォーマンスと軽い車重、ミドルクラスへの入門機としてもお薦め。

普通自動二輪免許で乗れる、海外ブランドの貴重な存在

 ドゥカティはイタリアのスポーツバイクを象徴するブランド。中でも最近人気のスクランブラーに中免(普通自動二輪)で乗れる注目の一台がこれだ。シート高は770mm。乾燥重量は167kgと親しみやすい。跨がった瞬間に自然と手に馴染む感じがとても心地良いのである。ダブルシートとアップハンドル、足つき性も良い上体の起きたライディングポジションは肩の力が抜けた自然体で気ままに走れる。全体にオーソドッスクなスタイリングの中にLEDライトガイドや折れ曲がったスチール製スイングアームの採用等、個性的な仕上がりも見逃せない。同シリーズの末弟だけに決してパワフルではないが、400ccらしく軽快に走れる楽しさは気分爽快で魅力的である。

オレンジとブラックのコントラストが渋い。
足は楽々と地面を捉え、バイクを支えるのも楽


エンジン:4ストローク 空冷L型2気筒


バルブ機構:デスモドロミック 2バルブ


総排気量:399cc


ボア・ストローク:72×49mm


最高出力:30kW(40ps)/8,750rpm


最大トルク:34Nm (3.5kgm)/8,000rpm


燃料供給方式:電子制御燃料噴射 式 φ50mmスロットルボディ


トランスミッション:6速リターン


クラッチ:湿式多板クラッチ


タイヤサイズ:110/80R-18(前)/160/60R-17(後)


全長/全幅/全高:2150/860/1165mm


軸距:1460mm


シート高:790mm


車両重量:183kg


燃料タンク容量:14.0L

⚫️ドゥカティ・SCRAMBLER Cafe Racer……1,425,000円

異端のフォルムは往年のカフェレーサーをイメージ

軽合金スポークホイールには、ピレリ製ディアブロロッソIIIを履く。

 豊富なバリエーショ展開を誇るスクランブラーの中において、かなり異色な存在と言えるのがこれだ。なんとスクランブラーをベースにカフェレーサーのテイストで仕上げられている超個性派モデルである。ブルーに仕上げられたトレリスフレームを始め往年の125 GPデスモに由来するカラーリングを採用。前後17インチの軽合金スポークホイール、そしてトップブリッジの下にクリップオンされたアルミ製のセパレートハンドル&シングルシート風パッセンジャーカバーの装備等が印象深い。それは跨がった瞬間から60年代のレーサーを彷彿とさせる独特な雰囲気に包まれ、エキサイティングな乗り味が楽しめる。オーナーの個性を主張できる1台として魅力的である。

同シリーズの中で唯一趣の異なるカフェレーサー。サイドのゼッケンプレートも勇ましい。
バックステップとセパハンで、ライディングポジションは低く前傾に身構える。


エンジン:4ストローク 空冷L型2気筒


バルブ機構:デスモドロミック2バルブ


総排気量:803cc


ボア・ストローク:88×66mm


最高出力:54kW(73ps)/8,250rpm


最大トルク:67Nm (6.8kgm)/5,750rpm


燃料供給方式:電子制御燃料噴射 式 φ50mmスロットルボディ


トランスミッション:6速リターン


クラッチ: 油圧 湿式多板/セルフサーボ/スリッパークラッチ


タイヤサイズ:120/70ZR-17(前)/180/55ZR-17(後)


全長/全幅/全高:2090/875/1066mm


軸距:1436mm


シート高:805mm


車両重量:196kg


燃料タンク容量:13.5L

⚫️ドゥカティ・SCRAMBLER 1100 Sport……1,843,000円

豪快な加速力を発揮、Lツインらしい軽快な吹き上がりも魅力

ドゥカティが誇るスクランブラーの最高峰モデル

 多彩なバリエーション展開の中で最高峰に位置づけられたモデルがこれだ。もともとスクランブラーは800 を中心に先行発売されていたが、満を持して1100を追加投入。そんな上級モデルの中でも最もスポーティなモデルである。アジャスタブルな前後サスペンションはオーリンズ製が奢られ、搭載エンジンは電子デバイスを投入した最新の空冷1079ccL型ツイン。黄色いステッチの入ったシートや斬新なデザインが印象深いデュアルエレメントLCDメーターの採用など、豪華で新しくかつ逞しい逸品に仕上げられている。いつでも図太い豪快なレスポンスを発揮しながら吹き上がりは軽快。ロングツーリングから峠道まで柔軟な走りが楽しめ、総合性能の高い贅沢な乗り味が魅力的だ。



立派なボリューム感を覚えるも、車重は206kgと重すぎないレベルにある
標準的な姿勢で楽に乗れるが、下半身の一体感はスポーツバイクとして絶妙である


エンジン:4ストローク 空冷L型2気筒


バルブ機構:デスモドロミック2バルブ


総排気量:1079cc


ボア・ストローク:98×71mm


最高出力:63kW(86ps)/7,500rpm


最大トルク:88Nm(9.0kgm) /4,750rpm


燃料供給方式:電子制御燃料噴射 式 φ55mmスロットルボディ/フルライドバイワイヤ


トランスミッション:6速リターン


クラッチ:油圧 湿式多板/セルフサーボ/スリッパークラッチ


タイヤサイズ:120/70ZR-18(前)/180/55R-17(後)


全長/全幅/全高:2190/920/1290mm


軸距:1514mm


シート高:810mm


車両重量:206kg


燃料タンク容量:15.0L

⚫️トライアンフ・ストリートスクランブラー 900……1,280,100円

往年のトライアンフを彷彿とさせる重量感とツインエンジンの逞しい乗り味を発揮

アクティブな走りが楽しめるビッグツイン

 トライアンフは英国を代表するブランド。今や多くのバリエーション展開を誇り、順調な人気復活ぶりを物語っている。中でもバーチカルツインエンジンを搭載するボンネビルが有名だが、スクランブラーの投入も話題を集めている。基本的にはロードスポーツだが不整地にも対応するタイヤ&アップマフラーやワイドなアップハンドルの装備等、走る場所を選ばないワイルドな雰囲気が懐かしくも新鮮。しかもエンジンを始め各装備内容は最新かつ上質なアイテムが選択されており、贅沢な仕上がりだ。水冷のツインエンジンは270度クランクを採用。軽やかなリズム感の中に逞しいトルクが乗って来る豪快な加速感が気持ち良い。冒険してみたくなる乗り味が魅力である。

スタンダードフォルムには、どこか懐かしさを覚える
オーソドックスなライディングポジション。ご覧の通り足着き性も問題ない。


エンジン:4ストローク 水冷並列2気筒 270度クランク


バルブ機構:SOHC 8バルブ


総排気量:900cc


ボア・ストローク:84.6×80mm


最高出力:47.8kW(65ps)/7,500rpm


最大トルク:80Nm /3,200rpm


燃料供給方式:電子制御燃料噴射 式 ライドバイワイヤ


トランスミッション:5速リターン


クラッチ:湿式多板クラッチ/アシスト付


タイヤサイズ:100/90-19(前)/150/70R-17(後)


/全幅/全高:/835/1180mm


軸距:1445mm


シート高:790mm


車両重量:221kg


燃料タンク容量:12.0L

⚫️トライアンフ・SCRAMBLER 1200 XC……1,887,000円

ダート走行を意識したフロント21インチホイールを採用

ボンネビル1200のツインエンジンを搭載、ダートにも踏み出せるワイルドなモデル

 スクランブラーの最高峰として投入されたモデル。ちなみに本格的なアドベンチャーも考慮されてより贅沢なサスペンションを装備したモデルに1200XE(2,019,000円)もある。跨がるとずっしりとした手応えと重量感を覚え、塊感のあるデザインも相まって“鉄馬”と呼ぶに相応しい雰囲気だ。どの回転域からも鋭くレスポンスして豪快な加速力を発揮するハイパフォーマンスも流石。最大トルクは4000rpm 弱で発揮されてしまう。前後スポークホイールを採用しフロント21、リヤ17インチのチューブレスタイヤを装着。豪快かつ大きなゆとりがある乗り味が快適。温泉巡りツーリングでも、あえて秘境の地を訪ねてみたい気にさせてくれる点が見逃せない魅力である。

堂々たる立派なフォルム。アップマフラーやアンダーガードの装備が本格的である。
足着き性は踵が少し浮く程度。車重があるので支えるのはやや慎重になるが、ワイドなハンドルで扱いやすい。


エンジン:4ストローク 水冷並列2気筒 270度クランク


バルブ機構:SOHC 8バルブ


総排気量:1200cc


ボア・ストローク:97.6×80mm


最高出力:66.2kW(90ps)/7,400rpm


最大トルク:110Nm /3,950rpm


燃料供給方式:電子制御燃料噴射 式


トランスミッション:6速リターン


クラッチ:湿式多板クラッチ/アシスト付


タイヤサイズ:90/90-21(前)/150/70R-17(後)


/全幅/全高:/840/1200mm


軸距:1530mm


シート高:840mm


車両重量:225kg


燃料タンク容量:16.0L

⚫️モトグッチ・V9 BOBBER SPORT ……1,317,600円

個性を主張できる孤高の存在感と独特な乗り味が気持ち良い

シングルシーターの割り切りがとっても贅沢!

 空冷OHV の90度Vツインエンジンを縦置き搭載。乾式単板クラッチとシャフトドライブを採用している。細い高張力鋼管を活用した直線的ツインチューブクレードル・フレームを始めブレンボ製前後ブレーキやオーリンズ製ツインショック、削り出し部品の多用等、贅沢な仕上がりも魅力的である。そして何よりもリズムの違う乗り味が見逃せない。常にゆったりとおおらか。高トルクがクランクにしたためられるエネリギーの太さは抜群。高めのギヤリングでもレスポンスが頼もしい。シフトアップした時もググッと前へ出る独特な加速感を発揮、あたかも大船に乗ったような走りは快適。トルクリアクションも愛嬌の内。個性派を象徴できる貴重な存在である。

縦置きエンジンとクランクマスの重さが快適な乗り味に貢献する
どっしりと落ち着いた乗り味、長く付き合える個性的な存在感も見逃せない。


エンジン:4ストローク 空冷縦置き90度V型2気筒


バルブ機構:OHV 2バルブ


総排気量:853cc


ボア・ストローク:84×77mm


最高出力:40.44kW(55HP)/6,250rpm


最大トルク:62Nm /3,000rpm


燃料供給方式:マレリ製電子制御燃料噴射 式 シングルスロットルボディ


トランスミッション:6速リターン


クラッチ:φ170mm 乾式単板クラッチ


タイヤサイズ:130/90-16(前)/150/80-16(後)


全長/全幅/全高:2185/840/1160mm


軸距:1465mm


シート高:785mm


車両重量:210kg


燃料タンク容量:15.0L
情報提供元: MotorFan
記事名:「 【 話題の外車バイク6台】ドゥカティスクランブラー &トライアンフスクランブラーをインプレッション