1958年(昭和33年)8月に初代スーパーカブ「C100」が登場以来、時代に合わせて進化してきたスーパーカブシリーズ。2000年代は、吸気系をキャブレターからフューエルインジェクションに変更。また、新設計の109ccエンジン等を搭載した「スーパーカブ110」が登場するなど、21世紀にふさわしい機構が導入された。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

2001年(平成13年) スーパーカブ50

ファッション性の高いカラーリングを追加

ブーンシルバーメタリック

プラズマイエロー

 前後14インチホイールのリトルカブに採用されていた、「ブーンシルバーメタリック」と「プラズマイエロー」の2タイプを追加。




 リヤキャリアは、大型キャリアから、リトルカブのキャリアに変更。レッグシールド、サイドカバー、フロントカバー、ステッカーを車体色に合わせてカラーリング変更することなどで、ファッション性の高いモデルとしている。

●2001年スーパーカブ50(スタンダード)の主要諸元


エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最高出力:4.0ps/7,000rpm/最大トルク:0.48kgm/4,500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ3速/乾燥重量:75kg/価格:16万4000円(発売当時)

2002年(平成14年) スーパーカブ50

「アラームキット」が装着可能なプレワイヤリングを装備

スーパーカブ50 スタンダード(アバグリーン)

 トップカバーエンブレム、ボディーステッカーを一新。また、盗難抑止システムとして、別売の「ホンダアクセス製アラームキット(当時の価格は5980円)」が装着できる、プレワイヤリングを新たに装備。




 「アラームキット」は、車体の揺れや移動等があれば、アラーム音で警告する盗難抑止システム。従来から販売しているイモビアラームのような点火制御システムは備えていないものの、リーズナブルな価格を実現。

●2002年スーパーカブ50(スタンダード)の主要諸元


エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最高出力:4.0ps/7,000rpm/最大トルク:0.48kgm/4,500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ3速/乾燥重量:75kg/価格:15万9000円(発売当時)

2007年(平成19年) スーパーカブ50

キャブレターからフューエルインジェクション(電子制御燃料噴射式/PGM-FI)に変更

スーパーカブ50 スタンダード(コスミックブルー)

スーパーカブ50 スタンダード(アバグリーン)
スーパーカブ50 デラックス (ユニオンシティーブルーメタリック)


スーパーカブ50 デラックス (タスマニアグリーンメタリック)
スーパーカブ50 カスタム (アドベンチャーブルーメタリック)


 新しい排ガス規制に伴い、環境性能を向上。吸気系を従来のキャブレターから、優れた始動性&スムーズな走りなどに寄与する、電子制御燃料噴射システム「PGM-FI」を新たに搭載。


 このシステムは、様々な走行条件に対し、コンピューター制御で最適な燃料を供給。特に、アクセルの開閉頻度が多い市街地における燃費を向上。寒い朝などの始動を容易にし、スムーズな発進加速も実現している。


 また、排気ガスを浄化する触媒装置(キャタライザー)をエキゾーストパイプ内に装備することで、平成18年国内二輪車排出ガス規制に適合。最高出力は、キャブレター時代の前モデルに比べ、4.0psから3.4psにダウンしている。


 外観では、エンジンのクランクケースカバーを、シルバーからブラックに変更。マフラーガードの形状を変更することで、質感を高めているのもポイントだ。




※PGM-FI(Programmed Fuel Injection)は、ホンダの登録商標。

●2007年スーパーカブ50(スタンダード)の主要諸元


エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最高出力:3.4ps/7,000rpm/最大トルク:0.39kgm/5,000rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ3速/乾燥重量:75kg/価格:20万4750円(発売当時)

2008年(平成20年) スーパーカブ50/リトルカブ

生誕記念の限定車「スーパーカブ50・50周年スペシャル」と「リトルカブ・50周年スペシャル」を発売

スーパーカブ50・50周年スペシャル (グラファイトブラック)

リトルカブ・50周年スペシャル (パールコーラルリーフブルー)

 スーパーカブ50の50周年スペシャルは、ボディカラーに専用色の漆黒のグラファイトブラックを、シート表皮には高級感のある専用色のロイヤルブラウンを採用。


 ヘッドライト下部のフロントトップカバーには、ゴールドカラーのオーナメントを、サイドカバーには「50th ANNIVERSARY」の記念エンブレムを採用することで、特別感にあふれた仕様としている。




 リトルカブの50周年スペシャルは、ボディカラーに鮮やかな色調の専用色パールコーラルリーフブルーを、シート表皮には落ち着いたイメージのリードレッドを採用。また、スーパーカブ50・50周年スペシャルと同様に、サイドカバーに記念エンブレムをレイアウト。

●スーパーカブ50・50周年スペシャルの主要諸元(カッコ内はリトルカブ・50周年スペシャル)


エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最高出力:3.4ps/7,000rpm/最大トルク:0.39kgm/5,000rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ3速/重量:79kg/価格:20万4750円(21万円)※発売当時

2009年(平成21年) スーパーカブ110

すべてが新設計!新世代のスーパーカブが登場

スーパーカブ110(コスタブルー)

スーパーカブ110(アバグリーン)

 スーパーカブ110は、長年にわたり培ってきた信頼・耐久性を基に、環境性能と動力性能を高いレベルで実現する新世代のスーパーカブとして開発。エンジンの基本仕様は、グローバルモデルと統一を図りながら、海外生産拠点からも部品を調達。完成車生産は国内の熊本製作所で行うなど、調達から生産まで高効率化を図ることで、リーズナブルな価格を実現している。




 デザインは、スーパーカブの伝統的でオリジナリティあふれるスタイリングを踏襲しながらも、新世代のスーパーカブにふさわしい滑らかな曲面で構成した端正なスタイリングが特徴。




 エンジンは、低フリクション技術を採用した高効率な空冷・4ストローク・単気筒109ccを搭載。電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)の採用などで、燃費はスーパーカブ90を上回る、63.5km/L(60km/h定地走行テスト値)を達成。


 クラッチには、発進と変速にそれぞれ独立したクラッチ機構を備えた2段クラッチシステムを採用し、変速時のショックを軽減。4速ミッションの採用によって、巡航時の快適性の向上を図っているのもポイントだ。




 車体は、新設計のバックボーンタイプのパイプフレームを採用。剛性の向上に寄与するとともに、軽快な取り回しも実現している。







スーパーカブ110・高い環境性能と経済性を両立させた新開発の109ccエンジン







 新開発の空冷・4ストローク・単気筒109ccエンジンは、タイホンダマニュファクチュアリングで生産し、タイ国内で販売しているCZ-i110とWave110iにも採用され、力強い出力特性で好評を得ているエンジンがベース。電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を採用し、環境性能と力強い出力特性を両立。PGM-FIと、マフラー内に装備した触媒装置(キャタライザー)の採用によって、国内二輪車排出ガス規制に適合させている。




 このシステムは、様々な走行条件に対し、コンピュータ制御で最適な燃料を供給するもので、特にアクセルの開閉頻度が高い市街地における燃費の向上に寄与し、燃費はスーパーカブ90を3.5km/L上回る63.5km/L(60km/h定地走行テスト値)を達成。




 また、スムーズな発進加速を実現するとともに、バッテリーが完全に放電した場合でも、キックによって始動ができる先進のシステムを採用している。




 スロットルボディには、IACV(Idle Air Control Valve)を備えることで、空気吸入量をコントロールし、アイドリング時におけるエンジン回転数の安定化や始動性を向上させ、寒い朝などの始動を容易にしている。


 さらに、エンジン内部のフリクションを低減させるために、クランクシャフトに対してシリンダーをオフセット配置したオフセットシリンダーや、ローラーロッカーアームなどを採用。

スーパーカブ110・新開発のクラッチ

▲スーパーカブ110のクラッチの構造。
▲スーパーカブ90のクラッチの構造。


 クラッチシステムは、発進と変速にそれぞれ独立したクラッチ機構を備えた2段クラッチシステムを採用し、変速時のショックを軽減。また、4速ミッションの採用によって、4速巡航時のエンジン回転数を低く抑えることで快適性の向上を図っている。

スーパーカブ110・剛性に優れた新開発の車体







 新設計の角断面パイプを採用したバックボーンフレームとスイングアームは、高い剛性を確保し、荷物の積載時の走行安定性を実現。


 フロントサスペンションには、路面の追従性に優れたテレスコピック式を採用するなどして、取り回しの良い車体サイズとあいまって軽快な走行安定性を獲得している。


 シート高は、スーパーカブ90と同じ735mmとすることで、安心感のある足着き性を確保。

スーパーカブ110・機能性に優れ人にやさしいデザイン









 デザインは、スーパーカブのオリジナリティを活かしながら、新世代のスーパーカブにふさわしいモダンな曲面で構成。


 フロント回りは、大径で丸型のマルチリフレクターの新設計ヘッドライトを、リヤ回りは、メッキのキャリアと新デザインのテールランプなどを採用し、実用的でありながらたくましいイメージを演出。


 ボディカバーは、錆の心配がない樹脂製を採用。レッグシールドは、横幅と前後の形状を見直し、特に走行中に靴のつま先への泥はねを軽減させ、実用性と軽快なデザインを両立させている。



■その他の主な装備




・メインスイッチとハンドルロックを一体化し使い勝手を向上させるとともに、盗難抑止システムとして直結防止回路を採用。




・始動方式は、セルフ式(キック式併設)を採用。

●スーパーカブ110の主要諸元


エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC109cc/ボア×ストローク:50mm×55.6mm/最高出力:8.2ps/7,500rpm/最大トルク:0.86kgm/5,500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ4速/重量:93kg/価格:24万9900円(発売当時)
・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1960年~1969年編)・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1970年~1979年編)・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1980年~1989年編)・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1990年~1999年編)
情報提供元: MotorFan
記事名:「 キャブからFIへ!スーパーカブ60年の歴史を振り返る(2000年~2009年編)