このクロスカブ50を実際に目にして、跨って、走り出してみると、どうにも妄想が膨らんでしまう。「こいつで山を走ったら最高だな」と。
ここからは、そんな筆者の妄想の世界である。悪しからずお付き合いいただきたい。
明日から一週間はちょっと人里離れた高原にある隠れ家に籠もる。ワンボックスを駆ってこの"相棒"を搬送し自然散策三昧。まさに夢のような気ままなひと時を過ごしたい。当然山小屋の周辺は舗装路ばかりとは限らない。山坂、林道、砂利、土、冬時は霜が降りて昼までの凍土が午後には泥濘化する。小屋のまわりは何かしらの悪条件がごく普通に散りばめられている。そんな場所柄でも、鼻唄混じりの気軽さで、山奥や渓流等、様々な場所や好みの場面へのアクセスを容易にしてくれるのが、このクロスカブである。
「気ままな自然散策」こればっかりは、クルマじゃダメ。バイク、それもトコトコ気軽に走れる軽量級の車体がいい。普通自動車免許でも乗ることができることも含めて、乗り手を選ばず誰にも身近な存在を考えると、まさにクロスカブの、50ccモデルがうってつけなのである。山小屋に1台置いておくと、とても重宝する。これ一台あるだけで、山小屋での生活がとても豊かになれる。最寄りのコンビニが数キロは離れていようとも問題はない。小屋を訪れた仲間が買い出しに行く場合でもクロスカブ50なら安心して貸せるし、実際バイク初体験の人でも無難に乗りこなし、バイクの楽しさに目覚めてくれる格好のチャンスになってしまう。夕食後は異口同音に「こいつは良いね」!という話題でひとしきり盛り上がることは間違いないのである。
撮影したのはいつものように都心からそう遠くない郊外の市街地だが、走りながらも筆者の頭の中には、そんな素敵なシーンが浮かんでいた。
■主要諸元■
・車名・型式:ホンダ・2BH-AA06
・全長×全幅×全高(mm):1,840×720×1,050
・軸距(mm):1,225
・最低地上高(mm):131
・シート高(mm):740
・車両重量(kg):100
・乗車定員(人):1
・最小回転半径(m):1.9
・エンジン:空冷4ストロークOHC単気筒
・総排気量(cc):49
・内径×行程(mm):37.8×44.0
・圧縮比:10.0
・最高出力(kW[PS]/rpm):2.7[3.7]/7,500
・最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):3.8[0.39]/5,500
・燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
・始動方式:セルフ式(キック式併設)
・点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
・潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):4.3
・クラッチ形式:湿式多板ダイヤフラムスプリング式
・変速機形式:常時噛合式4段リターン
・減速比(1次★/2次):4.058/3.307
・キャスター角(度)/トレール量(mm):26°30´/57
・タイヤ 前:70/100-14M/C 37P
・タイヤ 後:80/100-14M/C 49P
・ブレーキ形式 前/後:機械式リーディング・トレーリング
・懸架方式 前:テレスコピック式
・懸架方式 後:スイングアーム式
・フレーム形式:バックボーン
・価格:291,600円