「フォルクワーゲンのいいところ、ぜんぶ」


をキャッチフレーズに、日本市場に投入されたのが、VWのフラッグシップ、アルテオンである。そのアルテオンに少しだけ乗ることができた。アルテオン、どんなクルマなのだろうか?

「art」と「eon」を組み合わせたネーミングで、今後、VWの上級車種は、「eon」を付けるのだそうだ。

全長×全幅×全高は4865×1875×1435mm ホイールベースは、2835mm

日本に導入されたアルテオンは、よりスポーティな「R-Line」仕様のみ。エンジンは、EA888型2.0ℓ直4ターボのハイパワー仕様(206kW(280ps)/350Nm)で、駆動方式は4MOTIONとなる。


欧州仕様には、R-Lineのほかにエレガンスというラインが存在し、エンジンも2.0TDI(2.0ℓ直4ディーゼルターボ:150ps+6MT)と1.5TSI(1.5ℓ直4ガソリンターボ:150ps 6MT)というモデルもある。

アルテオンも、MQBを採用している。VW-アウディグループの横置きエンジン用のモジュラープラットフォームで、小さい方はポロから大きい方は、パサート、そしてこのアルテオンが使う。

エクステリアデザインを担当したトビアス・シュールマンは、


「Arteon のアスリートのようなボディラインは、とても機能的な全体コンセプトを具現化したものです。ここでは形態と機能が先進的な方法で巧みに融合しています。伝統的なサルーンとは異なり、このグランドツーリングカーは、ロングホイールベース、クーペのようなファストバック・デザイン、大型リヤハッチによって、サルーンを上回る空間と柔軟性を提供します」


と広報資料にはある。


「5シーターのArteonは、洗練され、エレガントなデザインと先進技術を備えた5ドアファストバックを求める人々にとって、理想的な選択肢になるでしょう」


ともある。




5ドアファストバックのライバルをほぼ同じサイズで探すと


アルテオン 全長×全幅×全高は4865×1875×1435mm ホイールベースは、2835mm


(599万円 Rライン 4モーションアドバンス 549万円のRライン4モーションは受注生産)


BMW 3シリーズグランツーリスモ 全長×全幅×全高:4825×1830×1510mm ホイールベース:2920mm


(633万円)


アウディA5スポーツバック 全長×全幅×全高:4750×1845×1390mm ホイールベース:2825mm


(FFが546万円、クワトロスポーツになると686万円)


となる。

とまぁアウトラインは、横へ置いておいて、12月上旬に行なわれた試乗会へ向かった先で初めて対面したアルテオンのかっこよさに驚いた。もちろん、写真では見ていた。でも、正直言って、VWの上級モデル、とくに「かっこいい系」で、かつて日本で成功した例がない(と思う)。コラード、イオス、シロッコ、そしてCCという記憶があって、どうも「フラッグシップと言っても、パッとしないんじゃないの?」というような気持ちで試乗会場へ向かったのだ(スミマセン……)。




ところが、高速道路を下りた先の対向車線にいた、なにやらイエローのボディカラーをまとったカッコいいクルマが、当のアルテオンと知ってびっくりした。すみませんでした。カッコいいです。ライバルとは確実に違うデザインテストで写真より実車の方が何倍もスタイリッシュだった。

EA888型2.0ℓ直4DOHCターボ。最高出力:206kW(280ps)/5600-6500rpm 最大トルク:350Nm/1700-5600rpm

直噴/ポート噴射併用のデュアルインジェクション・システムを使う。直噴に必要な噴射圧はカムシャフトから駆動力を得た燃料ポンプで発生させ、ポート噴射とは別の燃料経路をとる。

運転席に乗り込んでも、そのかっこよさは変わらない。なかなか好印象。エンジンは、2.0ℓ直4ターボで最高出力は250ps/350Nmに抑えられている。ゴルフRにも同じEA888型が積まれるのだが、こちらは310ps/400Nmとさらにハイパワーに仕立ててある。と言っても、アルテオンに250ps/350Nmは十分。トランスミッションは、湿式の7速DCTである。駆動方式はVW得意の4MOTIONで、第5世代のハルデックスカップリングを使う。トルク配分は、前輪:後輪で100:0から50:50まで配分可能だ。

デジタルコックピットを標榜するVWアウディ。メーターはフル液晶でナビゲーション画面も表示できる。

HUD(ヘッドアップディスプレイ)は、コンバイナー式。フラッグシップならフロントガラスに直接映し出すタイプの方がうれしいのだが。

ゴルフGTIやゴルフRのような、タイムを削り取るような走りを目指したクルマではないと思う。どんなときも踏めば即座に踏んだだけ加速してくれる。どんなシチュエーションでも安心して走れる。フォーマルにも使える(色は選ぶと思うけれど)し、プライベートでも満足のいくスタイルとクオリティの内外装。


たしかに、「フォルクワーゲンのいいところ、ぜんぶ」


である。

あとは、並み居るライバルたちに打ち勝って「アルテオンがほしい」「VWのフラッグシップに乗りたい」とどう思わせるかだ。VWのカッコいい系の先輩モデルが辿ってきた道をアルテオンが続かずに成功できるだけの素質は十分以上ある。上級グレード1モデルというラインアップ戦略も、いい方に出る可能性は十分だ。そもそもたくさん売るモデルでもないだろう。


たまに、道ですれ違って「あれ、このカッコいいクルマはなに?」と見送って、「あれがVWのアルテオンか。カッコいいなぁ」と振り返らせたら大成功だろう。試乗会場へ向かう途中の僕らのように。






ボディカラーがとても美しいので、全部載せておきます。

オリックスホワイト マザーオブパールエフェクト
アトランティックブルーメタリック


ターメリックイエローメタリック
パイライトシルバーメタリック


ディープブラックパールエフェクト
チリレッドメタリック


アルテオン R-Line 4MOTION Advance


全長×全幅×全高:4865×1875×1435mm


ホイールベース:2635mm


車重:1700kg


エンジン:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ


排気量:1984cc


ボア×ストローク:82.5×92.8mm


圧縮比:9.6


最高出力:206kW(280ps)/5600-6500rpm


最大トルク:350Nm/1700-5600rpm


トランスミッション:湿式7速DCT


サスペンション:Fマクファーソンストラット/コイル R4リンク/コイル


ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク


タイヤ:245/35R20

情報提供元: MotorFan
記事名:「 599万円のフォルクスワーゲンは成功できるか? 新型アルテオンは文句なしにスタイリッシュ