ふきのとう、たらの芽、うど…。春は山菜のシーズンです。里山には、地面からニョキニョキと生える山菜の若い芽。先端がクルッと丸まっているこれは、わらび? ぜんまい? こごみ? 若芽を見る限りどれも同じように見えます。そこで今回は、わらび、ぜんまい、こごみ、これら三種類の違いを見てみましょう。

地面から「魔法の杖」のような山菜がニョキニョキ


「わらび」の先端は分かれている。山菜そばに欠かせない

山菜そばなどでおなじみのわらびはコバノイシカグマ科ワラビ属。日本のどの地方にも自生し、成長すると1mほどになりますが、食べるのは春に出る若い芽の部分です。日本では古くから食されていて、万葉集にも登場します。山菜とはいえ、明治時代にはすでに栽培が始まっていました。

ぜんまいとこごみは、先端が大きくグルッと巻いていますが、わらびは先端が小さめで、二つ~三つに枝分かれしているのが特徴です。分かれた先端はこぶし状になっていて、ツヤがありません。茎の断面は円形。

アク抜きに手間がかかりますが、下処理したものが販売されているので、手軽におひたしや漬け物、みそ汁や和え物として食べることができます。

〈参考:旬の食材百科「わらび」〉

〈参考:オリーブオイルをひとまわし「ワラビは食感が特徴の春が旬の山菜」〉

漢字で書くと「蕨」。


「ぜんまい」には綿毛がある。ビビンバのナムルでおなじみ

ぜんまいは、韓国料理のビビンバにのっているナムルですっかりおなじみになりました。ゼンマイ科ゼンマイ属。わらびと同様に日本全国に自生し、春に出る若芽の部分を食べます。

若い芽の先端はわらびと違い、まるで魔法の杖のようにクルクルと渦巻き状になっています。全体的に茶色っぽい綿毛に覆われているのが特徴です。成長すると渦巻きの中に収納されている葉が大きく開き、綿毛がなくなります。

若芽の収穫後は先端の渦巻きの部分と綿毛を取り除き、アク抜きをして、乾燥させたり塩漬けにしたりします。乾燥させたぜんまいは水で戻し、ナムルのほか、和え物や煮物、おひたしや炒め物などにして食します。

〈参考:旬の食材百科「ゼンマイ」〉

漢字で書くと「薇」。


「こごみ」はアク抜き不要。天ぷらや和え物で

こごみはイワデンダ科クサソテツ属。先端がクルクルと渦巻き状になっているのはぜんまいと同じですが、色はぜんまいよりも鮮やかな緑色をしていて、ぜんまいのような綿毛はありません。

わらび、ぜんまいと大きく違うのは、アク抜きをしなくてもいいところです。ふきのとうやたらの芽のように天ぷらにすると美味。サッと茹でると独特なぬめりが出ますが、おひたしや和え物にして食べることができます。

〈参考:旬の食材百科「コゴミ」〉

〈参考:『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店〉

〈参考:『日本の食材帖』主婦と生活社〉

わらびも、ぜんまいも、こごみも、シダ類の山菜です。若い芽だけを見ると、ニョキニョキと地面から生えていて、先っぽがクルクルとなっていて、慣れないと見分けがつきませんが、それぞれに特徴があって、独特のおいしさがあります。山菜がおいしいのは6月くらいまで。春ならではのおいしさを楽しみたいですね。

漢字で書くと「屈」。

見た目も味もわらびじゃないのに「わらびもち」

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 よく似た山菜。わらび、ぜんまい、こごみの見分け方は?