この夏も多くの展覧会が各地で行われ、次々と幕を閉じ秋の展覧会の準備をはじめています。東京都庭園美術館で開催中の「ブラジル先住民の椅子」も今月17日までです。遠くブラジルのベイコレクションからやってきた椅子たちはどんな意味を、魅力を持っているのでしょうか?

新館ギャラリー1展示風景・写真は筆者撮影


伝統の継承としての椅子

ラテンアメリカでは、約4000年前から共同体の高位にある長老やシャーマンが椅子を使用していた記録が残っています。人間界と精霊の住む異界を繋ぐシャーマンは、精霊からのメッセージを受け取るために椅子に腰かけることから、聖なるものと考えられていたとか…椅子は実用性だけでなく、共同体において地位や身分を表すシンボルでもあったのですね。こういった伝統的な椅子は、堅くて害虫に強い木を選んで丸太から必要な分を削って作られています。座面には模様が描かれることもあり、文様は共同体のボディペインティングと共通して共同体内部の装飾体系を表すものでもありました。

カマルヘ作(メイナク)《サル》 ⓒ BEĨ collection/ by Andreas Heininger


ベイ・コレクションが日本へ初上陸!

このように4000年の時を超えて伝わってきた「先住民の椅子」は、工業製品・大量生産の現代においても、シングー川上流域に住む複数の共同体の人々によって守り伝えられています。今回の展示では、それらが収集されているベイ・コレクションの中から厳選された約90点の作品が世界でも初めて日本へ上陸しました。鳥をはじめ動物をデザインした椅子を作る様子も、新館・ギャラリー2で2種類の映像が上映されています。作品を見て、先住民のインタビューを聞いて、コレクションの重要性を確認することができる貴重な機会です。

カマリ作(クイクロ)《ホウカンチョウ》 ⓒ BEĨ collection / by Rafael Costa


空間芸術とイマジネーション

庭園美術館の展示はその空間との調和が注目されますが、今回は建築家・伊東豊雄氏の構成によるものです。住居であった本館・旧朝香宮邸では、部屋のテイストと作品の個性をつなぐために、抽象的で浮遊感のある台を置いた展示が中心となりました。また、新館・ホワイトキューブのギャラリー1では、ビーズクッションに身をゆだねながら自由に椅子たちとコミュニケーションすることができます!広い真っ白な空間でふわふわのクッションに埋もれしばしイマジネーションの世界に浸るのは気持ちの良いものです。鑑賞後は新館ショップ・カフェ・レストランで余韻に浸るのも楽しいですね。会期は17日までです、お見逃しなく!

制作者不詳(カヤビ)《バク》 ⓒ BEĨ collection / by Rafael Costa


展覧会概要他

展覧会タイトル ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力

英文タイトル Benches of the Brazilian Indigenous Peoples: Human Imagination and Wildlife

会期 2018年6月30日(土)–9月17日(祝・月)

開館時間 10:00–18:00 (入館は閉館の30分前まで)

※第2・第4水曜日(9/12)

一般=1,200(960)円/大学生(専修・各種専門学校含む)=960(760)円 中・高校生=600(480)円/65歳以上=600(480)円

※( )内は20名以上の団体料金。



《参考・出典》

東京都庭園美術館 展覧会プレスリリース

緑に囲まれた レストランは居心地抜群!

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 日本初!ベイ・コレクション「ブラジル先住民の椅子」展は17日まで