毎日使う調味料ですが「ちょっといいものに変えてみたい」と思っても、購入する際にはたくさんの種類があってどれを選んで良いものか迷ってしまいます。素材の味を楽しめたり、体にとって優しい調味料ってどんなものなのでしょうか?調味料の製法についてや選ぶ際のヒント、調味料を活かして美味しくいただくレシピなどをご紹介します。


種類から知るお酢

お酢の食品表示基準は2種類。『合成酢』と『醸造酢』になります。JAS規格でラベル表示しなくてはならないので、簡単に確認することができます。

『合成酢』は氷酢酸や酢酸を水などで薄めて、砂糖やうま味などを加えて人工的に造った酢のことです。物が不足していた時代にはたくさん売られていましたが、最近ではほとんど見かけなくなりました。

『醸造酢』は氷酢酸や酢酸を使わずに農作物やはちみつ、砂糖、アルコールなどを原料として酢酸発酵させてできたものです。この醸造酢は農林水産省が定めた「食酢品質表示基準」で原料などからさらに下記のように分類されています。

◇穀物酢

米、小麦、酒かす、コーンなどの穀物を1種またはそれ以上使用したもので穀類、果実以外の農産物、はちみつを使用していないものに限られています。また原料が醸造酢1Lに対して40g以上使用されていることが条件になっています。

・穀物酢をさらに分類1『米酢』

米の使用量が穀物酢1Lに対して40g以上のもの。

・穀物酢をさらに分類2『米黒酢』

精白していない米、またはこれに小麦、大麦のみを加えたもののみ使用して、米の使用量が穀物酢1Lに対して180g以上であるもの。発酵や熟成により褐色・黒褐色に着色したもの。

・穀物酢をさらに分類3『大麦黒酢』

大麦のみを使用し、その量が穀物酢1Lに対して180g以上であるもの。発酵や熟成により褐色・黒褐色に着色したもの。

◇果実酢

果実を1種またはそれ以上使用したもので穀類、果実以外の農産物、はちみつを使用していないものに限られています。また原料が醸造酢1Lに対して300g以上使用されているもの。

果実酢の中でも『りんご酢』、『ぶどう酢』はそれぞれの搾汁の使用量が果実酢1Lに対して300g以上と決められています。


作り方から知るお酢。良質なものを簡単に選ぶには?

お酢のできるまでは、原料に酵素と酵母を混ぜて原料に含まれているでんぷん質を糖からアルコールへと変化させ、そこに酢酸菌を加えることでアルコール成分を酢酸に変えることで造られています。

スーパーなどでお酢を選ぶ際に「純」のついたお酢を見かけたことはありませんか?これは原料に追加してアルコールを加えていないものになります。たとえば1Lに対して40g以上の米が含まれているものが『米酢』となりますが、『純米酢』は米酢の5倍、200g以上の米が含まれていることがほとんど。そのために原料に含まれているでんぷん質を糖からアルコールへと変化させていく日数が、アルコールを追加していないことで、じっくりとおこなわれて有機酸も豊富な酢ができあがります。「純」のつくお酢には「長期熟成」や「有機」などが一緒に書かれている製品も多いかと思います。同じ種類のお酢を選ぶなら「純」がついたものがおすすめです。


「すし酢」は酢じゃない?

意外に思うかもしれませんが「すし酢」などは食酢とは区別されています。

『加工酢』や『調味酢』と呼ばれ、食酢にしょうゆや砂糖、香辛料などを加えたものになります。他にも漬物用の「らっきょう酢」や「三杯酢」なども加工酢になります。また「もろみ酢」も泡盛の製造過程でできるもろみ粕を原料としています。成分はクエン酸で酢酸発酵をしていないものになるので食酢からは外れます。

ちなみに「ポン酢」のほとんどは加工酢ではなく、『しょうゆ加工品』になります。


賢く使っておいしく!お酢を使い分ける

様々な種類があることがわかりましたが、使い分けが楽しいのも調味料の面白さのひとつですよね。常備しておきたいおすすめ順に、それぞれのお酢の特徴を簡単にまとめてみました。興味が出たものや、普段の食卓に足りない味などがあればいつもの調味料にプラスしてみるのも面白いかもしれませんね。

「米酢、純米酢」

マイルドでコクやうま味を感じられます。お米からできているのでご飯との相性はもちろん抜群。和食には欠かせない調味料です。サラダや洋食にはコクが少し気になる人もいるかもしれません。また香りが飛んでしまうので、火を通す料理には向いていません。

「りんご酢、純りんご酢」

健康志向の方に人気があります。果実の中でもりんごはとてもミネラルが豊富です。フルーティでマイルド、飲料やサラダにも向いています。

「玄米酢、黒酢」

原料や製法により米酢と比べてミネラルやビタミン、アミノ酸などが豊富なので健康が気になる人におすすめです。豊富なアミノ酸やミネラルのおかげで甘味やコクが強く感じられます。黒酢の風味を生かして作る酢豚などの中華や、魚料理におすすめです。

「ワインビネガー、バルサミコ酢」

ぶどうから造ったお酢。ワインビネガーはその名前の通りに、赤はコクと渋みがあり煮込み料理に向いています。白はさっぱりとしてクセがないので、オリーブオイルなどと合わせてドレッシングやマリネにすると本格的な味が楽しめます。

バルサミコ酢はブドウの果汁を3~7年熟成させるため、深み・甘みがあることが特徴です。ドレッシングやマリネ、火を通す料理にも向いていますが、色をきれいに出したい料理には向いていません。

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 ちょっといい調味料を使って、いつもの食卓をアップグレード!<お酢編>