(画像=株式会社キャスター)






中川 祥太(なかがわ しょうた)――株式会社キャスター代表取締役


ソウルドアウト株式会社にて営業を担当した後、イー・ガーディアン社にて事業企画を担当し、当該部門でクラウドソーシングと出会う。日本市場におけるオンラインワーカーの発展途上な環境にもどかしさを覚え、28歳で起業を決意。2014年9月に株式会社キャスターを創業。








株式会社キャスター

「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げて2014年に創業し、フルリモートワークで組織運営を?なう。国内46都道府県に住む800名以上を東京水準の賃金で直接雇用し、リモートアシスタント「CASTER BIZ」シリーズをはじめとした人材事業を運営。労働人口が減少していく社会において、従来から「仕事とはこうあるべきだ」と捉えられていた労働にまつわるさまざまな「労働バイアス」を解除していくことを使命と考えている。








これまでの事業変遷について




(画像=株式会社キャスター)




ーーこれまでの事業変遷について教えてください。


株式会社キャスター 代表取締役・中川 祥太氏(以下、社名・氏名略)
弊社はBPOサービスを展開しており、最大の特徴は全員がリモートワークを実施している点です。創業期は、「CASTER BIZ assistant」というBPOの総合型サービスからスタートしました。その後、クライアントの派遣契約をしたいというニーズに合わせて、「在宅派遣」というスピンアウト商品も開発しました。また、専門性の高い領域をお任せいただくことも増え、現在は、総合型サービスに加え採用に特化した「CASTER BIZ recruiting」や経理に特化した「CASTER BIZ accounting」など専門特化型サービスを展開させていただいています。


ーーありがとうございます、新規上場を目指された目的や背景についてお聞かせいただけますか?


中川:私たちは、「リモートワークを当たり前にする」というミッションの実現に向けた一つのステップとしてIPOを捉えています。リモートワークでIPOプロセスに耐えうる組織を作り、ミッション実現のための体制面の強化、認知度の向上を目的としています。


自社事業の強み




(画像=株式会社キャスター)



ーー貴社の優位性についてはどのように考えられていますか?


中川:2点あると考えています。
1点目は会社全体でリモートワークを徹底している日本最大の会社であること、2点目はリモートワークを徹底するための仕組みをゼロベースで作っている点です。
リモートワークを徹底するためには、徹底するための仕組みやマネジメント体制を構築することが必要ですが、ゼロから生み出していくには困難を極めます。実際にリモートワークを謳う会社は増えましたが、出社型のスタイルをどうリモートに置き換えるかという視点になってしまっていて、リモートワークをベースに構築・運営を実施している会社はほとんどありません。
一方、弊社は、創業からリモートワーカーだけで会社を運営していくなかで、組織ガバナンスで必要な仕組みやマネジメント体制をゼロベースで作ってきました。したがって、この2点が私たちと他社との最大の差別化できる点であると考えています。


ーー事業発展において、コロナ禍は貴社にどのような影響を与えましたか?


中川:よく、コロナ禍はリモートワークの追い風になったのではないかと聞かれます。もちろん、「リモートワーク」という働き方の認知は広がりましたが、事業視点で見るとコロナ禍は私たちの成長スピードを鈍化させました。理由としては、私たちのサービスは人手不足に対して需要が発生するビジネスモデルなのですが、コロナ禍では採用や営業活動が止まり、ある意味で人手不足が解消されている状況だったからです。
ただ、BPOビジネスは回復が比較的早い業界なので、コロナ禍の影響は長引かず、成長を軌道に戻すことができました。


思い描いている未来構想や今後の新規事業や既存事業の拡大プラン


ーー貴社の未来構想についてどのような戦略を練っているのでしょうか?


中川:現在の成長戦略をベースに、市場の動向やトレンドを踏まえながら検討していく予定です。
今後、様々な業界で人手不足が進み、これまでの働き方や労働市場に対する課題が増えていくでしょう。働く市場では常に変化がおきているので、私たちはこの変化に適応していきながら、新規市場に参入していこうと考えています。
具体的には、サービス、医療・介護、不動産関係をはじめブルーカラーやオレンジカラーと言われるような領域への参入が考えられます。これらの領域は、リモートワークができないと思われがちですが、私たちのケイパビリティを十分に発揮できると考えています。


ーー今後、アップセル・クロスセル領域の拡大を図られるのか差し支えない範囲で教えていただければ幸いです。


中川:現状、アップセル・クロスセルは頻繁に起きていませんが、1アカウントが高単価な商品にスイッチすることは比較的起きています。
また、グロース市場規模のクライアントと取り組むケースが増加し、1アカウントだけでなく最初から複数アカウントを購入し、経理領域や人事領域でもクロスセルやアップセルで購入いただく状況が徐々に起きつつあります。ただ、これは私たちが何かアクションをしたというより、市場の変化によって起きつつあると捉えています。


ーーありがとうございます。海外展開については、ドバイとドイツに拠点を構えていますが、今後の海外展開の構想について教えていただけますか?


中川
ドイツに関しては、市場環境が日本に非常に近いため、同じような事業展開を行っており、日本と似たような成長曲線を描くであろうとイメージしています。一方、ドバイは拠点としての意味合いが強く、中東エリアなどから人材を集めています。今後は、南アジアやアフリカなど人口が増えると予想される地域にも拠点を構え、人口が減る国々へ人材リソースを送り込むことを考えています。


ーー今後の投資戦略についてお聞かせいただけますか?


中川:私たちは、成長率の担保と利益とのバランスを取りながら成長させることを目指しています。既存事業は、ユニットエコノミクスが良好な状態になりすぎているので、キャッシュフローやP/Lにネガティブな影響を与えないように成長にどう転換させるかということを検討しています。
また、B/S(貸借対照表)活用の観点では、M&Aなどを活用して事業を拡大していくことも重要だと考えています。過去に2社ほどM&Aを行っており、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)のプロセスはしっかりと作れるということを確認済みの上で、どういう領域に対して集中的に拡大をしていくかかが非常に重要だと思います。


ZUU onlineユーザーへ一言


ーー最後に、弊社のユーザーへメッセージをお願いできますか?


中川:今後、日本の労働人口は必ず減少します。これに対して、新しい世代がどのようなビジネスを展開していくのかを考えることが重要です。特に投資されている若い方々は、今後の日本に大きな視点で興味を持っていただけたら嬉しいです。



氏名

中川 祥太(なかがわ しょうた)

社名

株式会社キャスター

役職

代表取締役

情報提供元: NET MONEY
記事名:「 リモートワーク革命:株式会社キャスター切り開く新たな働き方の未来