2021年10月26日

株式会社 明治

筋肉量の維持・向上のための効率的なたんぱく質摂取量および筋力トレーニングの影響をメタアナリシスで解明
第68回日本栄養改善学会学術総会にて発表

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)および国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所は、筋肉量の維持・向上のために効率的なたんぱく質摂取量を明らかにしたメタアナリシス研究※1の成果を、10月1日~2日に開催された第68回日本栄養改善学会学術総会におけるweb発表(視聴可能期間:2021年10月1日~10月25日)にて発表しました。
 本研究から、①筋力トレーニングの有無に関わらず、たんぱく質は少量(平均的な体重の成人の方で1日5~7g)の摂取でも筋肉量増加に有効であること、②筋力トレーニングは、その効果をさらに高めること、が明らかになりました。

【発表内容の結果概要】
 92文献、4,741名分のたんぱく質摂取量のデータを分析した結果、たんぱく質摂取量と筋肉量増加との関係について、以下の通り解明しました。
1) 幅広い摂取量範囲(0.5~3.5 g/kg体重/日)にわたり用量反応関係が見られ、少量(0.1 g/kg体重/日。平均的な体重の成人男女で5~7 g/日程度)でもたんぱく質摂取量を増やすことが、筋肉量の増加に繋がることが明らかとなりました(図1)。
2) 特に1.3 g/kg体重/日に達するまでの範囲で、たんぱく質摂取量の増加に対する筋肉量増加が大きいことが明らかとなりました(図1)。
3) 1.3 g/kg体重/日を超えたたんぱく質摂取の範囲では、習慣的に筋力トレーニングを実施する人で効率的な筋肉量増加が期待されることが明らかとなりました(図2)。

 なお、当研究成果は2020年11月に栄養学分野において評価の高い国際的なレビュー誌Nutrition Reviewsへ掲載されたほか、日本語版が2021年8月に「栄養学レビュー」(ILSI Japan、女子栄養大学出版部)へ掲載されています。

<発表内容>
【演題名】
「たんぱく質摂取が筋量増加に及ぼす影響:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ解析」
「総たんぱく質摂取量と筋量増加の間の量反応関係:系統的レビューと多変量調整スプラインモデル解析」
(株式会社 明治および国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の連題発表)

【方法】
1.
文献データベース(PubMed、医中誌web)および先行メタアナリシス研究から、たんぱく質摂取量と筋肉量の変化について調べた研究を網羅的に検索しました。 得られた1,700文献から本研究の目的に合致した105文献(2週間以上のたんぱく質摂取を行った無作為化対照試験※2。特定の重病者を対象としたものは除く)を厳選し、詳細なデータを抽出しました。

2.
得られた全データを用いて、筋力トレーニングの有無やたんぱく質の摂取量別にメタアナリシスを実施しました。総たんぱく質摂取量(試験食品由来+食事由来のたんぱく質摂取量)が明らかなデータ(92文献、4,741名分)については、総たんぱく質摂取量と筋肉量変化との量反応関係を解析しました(スプラインカーブ※3)。
量反応関係の解析は、以下2種類の条件で補正しました。
補正条件① 年齢、性別、介入期間、筋力トレーニングの有無
補正条件② ①の条件+体重変化(体重変化に依存しない筋肉量増加を評価)

【結果】
92文献、4,741名分のたんぱく質摂取量のデータを分析した結果、たんぱく質摂取量と筋肉量増加との関係について、以下の通り解明しました。
1) 幅広い摂取量範囲(0.5~3.5 g/kg体重/日)にわたり用量反応関係が見られ、少量(0.1 g/kg体重/日。平均的な体重の成人男女で5~7 g/日程度)でもたんぱく質摂取量を増やすことが、筋肉量の増加に繋がることが明らかとなりました(図1)。
2) 特に1.3 g/kg体重/日に達するまでの範囲で、たんぱく質摂取量の増加に対する筋肉量増加が大きいことが明らかとなりました(図1)。
3) 1.3 g/kg体重/日を超えたたんぱく質摂取の範囲では、習慣的に筋力トレーニングを実施する人で効率的な筋肉量増加が期待されることが明らかとなりました(図2)。


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202110252236-O2-dQ8vnv01
(図1)日々のたんぱく質摂取量と筋肉量増加との量反応関係


【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202110252236-O3-8af37O6D
(図2)筋力トレーニングとたんぱく質摂取量が筋肉量増加に及ぼす影響

※1 メタアナリシス研究
メタアナリシスとは、複数の研究結果を統合して分析することで、個々の研究よりも信頼性の高い分析結果を得る手法です。最も質の高いエビデンスであるとされています。
※2 無作為化対照試験
試験食品などの効果を公平に評価するため、試験参加者のグループ分けをランダムに行う試験です。メタアナリシスに次いで、質の高いエビデンスであるとされています。
※3 スプラインカーブ
区間ごとに算出した曲線を繋ぎ合わせ、データ全体を滑らかな曲線で分かりやすく表したモデルです。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 筋肉量の維持・向上のための効率的なたんぱく質摂取量および筋力トレーニングの影響をメタアナリシスで解明