2020年12月24日

アッヴィ、慢性リンパ性白血病(CLL)に対するベネトクラクス固定期間投与の長期追跡調査データを発表

●第III相MURANO試験における5年後の追跡調査に基づく新たな解析で、治療歴があるCLL患者さんの併用療法終了後3年以上が経過した時点での無増悪生存期まる間(PFS)中央値は、ベンダムスチン/リツキシマブ併用療法(BR)の17カ月に対し、ベネトクラクス/リツキシマブ併用療法では53.6カ月 [1]
●第III相CLL14試験の2つの解析で、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法を受けた未治療のCLL患者さんの微小残存病変(MRD)の結果を評価 [2], [3]
●CLL14試験の4年後の追跡調査に基づく解析で認められた生存率は、クロラムブシル/オビヌツズマブ併用療法の83.1%に対し、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法では85.3% [3]

イリノイ州ノースシカゴ、2020年12月5日(米国時間)―アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、オンライン開催による第62回米国血液学会(ASH)年次総会で、ベネトクラクスの固定期間併用療法を評価した第III相試験であるMURANO試験とCLL14試験の最新結果を発表しました(抄録番号125127および1310)。未治療または治療歴がある慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんの治療薬としてベネトクラクスの期待を裏付ける多くのデータに、これらの結果が新たに加えられました。

アッヴィのエグゼクティブ・メディカルディレクターのジョン・ヘイスリップ医師(M.D., M.S.C.R)は次のように述べています。「MURANO試験とCLL14試験は、ベネトクラクスの固定期間併用療法が、多くの患者さんの無増悪生存を長期間にわたり維持するうえで有用であることを示しています。今回認められた結果により、ベネトクラクスを使用することで、CLL患者さんが治療を完了し、病勢が進行することなく長期間生存できることが裏付けられました」

ASHで発表されたMURANO試験およびCLL14試験のデータは、治療後に再発したまたは未治療のCLL患者さんにベネトクラクス併用療法を用いた場合に、標準的な治療選択肢と比較して、治療終了後も長期間にわたって奏効を維持できることをさらに裏付けるものです。

MURANO試験における5年後の解析1
MURANO試験の最終的な記述的解析の結果[追跡調査期間の中央値59.2カ月、すべての患者さんがベネトクラクス/リツキシマブ併用療法(VenR)を終了後3年以上経過、抄録番号125]から、以下の結果が示されました。

・治験担当医師の評価による無増悪生存期間(PFS):再発または難治性(R/R)CLL患者さんのPFS中央値は、ベンダムスチン/リツキシマブ併用療法(BR)で17.0カ月(95%CI:15.5~21.7)であったのに対し、VenR固定期間療法では53.6カ月(95%CI:48.4~57.0)でした(HR 0.19、95%CI:0.15~0.26)。
・生存率:生存率の推定値は、BRで62.2%(95%CI:54.8~69.6)であったのに対し、VenRでは82.1%(95%CI:76.4~87.8)でした(HR 0.40、95%CI:0.26~0.62)。両群とも中央値は未到達でした。
・VenR療法完了時の微小残存病変(MRD)の状態:併用療法終了時に病勢の進行がなく、MRD陰性を達成した患者さんでは、MRDが認められる患者さんと比較して、PFSおよび生存率に関して改善結果がみられました。MRDとは、治療後に体内に残る少数のがん細胞のことです。残存するがん細胞の数は、明らかな徴候や症状が生じないほどに少なく、多くの場合、従来の方法では検出されません4。
・一貫した安全性プロファイル:VenR併用療法の安全性プロファイルは、各剤の単剤投与時に確認されている安全性プロファイルと一貫していました。MURANO試験の5年後の最新解析では、新たな重大な安全上の問題は認められませんでした。

白血病リンパ腫協会(Leukemia &Lymphoma Society)は、MRDを治療後に体内に残る少数のがん細胞としています4。残存するがん細胞の数は、明らかな徴候や症状が生じないほどに少なく、多くの場合、従来の方法では検出されません。これを検出不能なMRD(uMRD)と呼びます。MRD(uMRD)は、医師が治療の有効性を評価したり、再発のおそれがある患者さんを予測するために使用します。

CLL14試験の解析2,3
ASH年次総会では、第III相CLL14試験の記述的解析から得たデータも発表されました。このデータは、臨床試験におけるMRD測定値の役割を評価したものです。

1つ目の解析では、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法(Ven-Obi)により部分奏効(PR)を達成した併存疾患があり治療歴のないCLL患者さんにおいて、MRDが検出できない水準である場合は、完全奏効(CR)を達成した患者さんと転帰に差がないことが示されました。このデータは、ベネトクラクス併用療法を受け、MRDが検出不能な水準で、PRを達成した患者さんでは、CRを達成したもののMRDが認められる患者さんよりもPFSが長いことを示唆しています。化学免疫療法でPRを達成したCLL患者さんの予後は、CRを達成した患者さんよりも不良であるため2、これは大きな意義がある結果です。これらの結果の統計的有意性は検証されていません。(抄録番号1310

2つ目の解析は、CLL14試験で治療を受けた患者さんにおけるクローン増殖パターン(がん細胞が増殖し広がる速さ)を検討するものでした。この解析の結果から、早期にMRD陰性を達成しても再発のおそれがある患者さんの集団が明らかになりました3。(抄録番号127

この4年後の追跡調査の解析により、クロラムブシル/オビヌツズマブ併用投与(Obi-Clb)群では生存率が83.1%であるのに対し、Ven-Obi群では85.3%であることが示されました(HR 0.85、95%CI:0.54~1.35、P=0.4929)。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。

MURANO試験について5,6,7
国際多施設共同非盲検無作為化第III相MURANO試験には、一つ以上の前治療歴があるR/R CLL患者さん計389例が登録されました。この試験は、VenR(n=194)の有効性および安全性を、BR(n=195)との比較により評価することを目的としたものです。本試験の患者さんの年齢中央値は65歳(範囲:22~85歳)でした。

本試験では、主要有効性評価項目である治験担当医師の評価によるPFSが達成されました。主要解析の時点で、PFSの中央値はBR群の17.0カ月に対し、VenR群は未到達でした(HR:0.17、95% CI:0.11~0.25、p<0.0001)。主要有効性解析では、PFSに関する追跡調査期間の中央値は23.8カ月でした(範囲:0~37.4カ月)。これ以外の有効性評価項目として、独立評価委員会(IRC)の評価によるPFS、治験担当医師およびIRCの評価による奏効率(完全奏効+骨髄回復が不完全な完全奏効+部分奏効+結節性部分奏効)、生存率、MRD陰性達成率を設定しました。

リツキシマブとの併用投与を受けたCLL患者さんで最も頻繁にみられた重篤な副作用(5%以上)は肺炎(9%)でした。グレードを問わず最も頻繁にみられた副作用(20%以上)は、好中球減少症(65%)、下痢(40%)、上気道感染(39%)、疲労(22%)および悪心(21%)でした。患者さんの2%(4/194例)で、ベネトクラクスの最終投与後30日以内および/またはリツキシマブの最終投与後90日以内に、病勢進行を伴わない致死的な副作用が報告されました。

CLL14試験について6,7,8
前向き多施設共同非盲検無作為化第III相CLL14試験は、German CLL Study Group(DCLLSG)との綿密な連携の下で実施し、併存疾患があり[累積疾患評価尺度(CIRS)のスコアが6超またはクレアチニンクリアランス70 mL/min未満)]、治療歴のないCLL患者さんを対象に、Ven-Obi併用レジメン(n=216)の有効性および安全性を、Obi-Clb併用レジメン(n=216)との比較により評価しました。ベネトクラクスは、投与期間を12カ月に固定して、6サイクルのオビヌツズマブ投与と併用しました。本試験には432例の患者さんが登録され、いずれの患者さんも、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia(iwCLL)基準に従った、治療歴のない患者さんでした。有効性は、IRCの評価によるPFSに基づいて評価しました。

主要な副次評価項目として、末梢血中および骨髄中のMRD陰性、奏効率および完全奏効率、完全奏効例での末梢血中および骨髄中のMRD陰性、OSを検証しました。

オビヌツズマブとの併用療法を受けたCLL患者さんにおいて、重篤な副作用は主に発熱性好中球減少症と肺炎(いずれも5%)でした。グレードを問わず最も頻繁にみられた副作用(20%以上)は、好中球減少症(60%)、下痢(28%)および疲労(21%)でした。患者さんの2%(4/212例)で、試験治療の最終投与後28日以内に発現した、病勢進行を伴わない致死的な副作用が報告され、そのほとんどが感染症でした。

ベネトクラクスについて
ベネトクラクスは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。一部の血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社の共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験でベネトクラクスを評価しています。ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。

ベネトクラクスの使用および米国における重要な安全性情報7
使用
ベネトクラクスは、以下を適応とする処方薬です。

・慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)成人患者さんの治療
・以下に該当する初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法
○75歳以上、または
○標準的な化学療法を使用できないような医学的状態にあること

ベネトクラクスの小児に対する安全性および有効性は明らかになっていません。

重要な安全性情報

ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。

腫瘍崩壊症候群(TLS):TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与開始前に検査を行い、TLSになるリスクがあるかを調べます。TLSになるリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前と投与中に他の薬剤が投与されます。補液の静脈内投与が必要になることもあります。TLSの有無を調べるため、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与開始時と投与中に血液検査を行います。計画通りに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状が現れた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

TLSになるリスクを低減するため、ベネトクラクスの投与時は水分を多くとってください。ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6~8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、ベネトクラクス初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。

副作用が認められた場合、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与を延期したり、用量を減らしたり、投与を中止したりすることがあります。ベネトクラクスの投与を1週間以上中止した後に再開する場合、担当の医療従事者がTLSになるリスクを再度調べ、用量を変更することがあります。

ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。

ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLSが増えるリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください。
・処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。
・担当の医療従事者に相談することなく、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。

ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。
・腎障害または肝障害がある。
・塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。
・血中の尿酸値が高かったことがある、または痛風の既往歴がある。
・ワクチン接種を予定している。ベネトクラクスの投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。
・妊娠している、または妊娠を計画している。ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な場合、担当の医療従事者がベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間、効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
・授乳中または授乳を計画している。ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後1週間は授乳しないでください。

ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。
ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないでください。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないでください。これらの製品や産物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。

ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。
・白血球減少(好中球減少症):白血球数低値はベネトクラクスでよくみられますが、重度になることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。また、投与を一時的に中断することもあります。
・感染症:ベネトクラクス投与期間中に死亡に至った例や肺炎や血液感染(敗血症)などの重篤な感染症が報告されています。担当の医療従事者が綿密な観察を行い、ベネトクラクス投与期間中に発熱などの感染の徴候が認められた場合は直ちに治療を行います。

ベネトクラクスを服用している間に発熱や感染症の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

CLL患者さんまたはSLL患者さんにベネトクラクスをオビヌツズマブまたはリツキシマブと併用したとき、もしくは単剤で投与したときの主な副作用は、白血球減少、血小板減少、赤血球減少、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋肉痛、関節痛、疲労、腕、脚、手および足の腫脹などです。

AML患者さんにベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンをそれぞれ併用したときの主な副作用は、悪心、下痢、血小板減少、便秘、白血球減少、好中球減少に伴う発熱、疲労、嘔吐、腕、脚、手または足の腫脹、発熱、肺の感染、息切れ、出血、赤血球減少、発疹、胃(腹部)の痛み、血液の感染、筋肉痛、関節痛、浮動性めまい、咳嗽、咽喉痛、ならびに低血圧などです。

ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。

上記は、ベネトクラクスによって生じる可能性がある副作用をすべて示したものではありません。副作用について医学的なアドバイスをお聞きになりたい場合は、担当の医師に電話してください。

処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。
ウェブサイトwww.fda.gov/medwatchにアクセスするか、1-800-FDA-1088に電話してください。

薬剤の購入が経済的に難しい場合は、genentech-access.com/patient/brands/venclextaに問い合わせて支援を受けてください。

米国でのベネトクラクスの処方情報(投薬ガイドを含む)の全文はこちらでご確認いただけます。

ベネトクラクスの製品情報概要(SmPC)の全文については、
https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/venclyxto-epar-product-information_en.pdfをご覧ください。

世界各国で処方情報はさまざまです。完全な情報については各国の添付文書を参照してください。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 アッヴィ、慢性リンパ性白血病(CLL)に対するベネトクラクス固定期間投与の長期追跡調査データを発表