「夢のマイホーム」と形容されることもありますが、多くの人にとって「マイホーム」には「住宅ローン」という借金が付き物です。

住宅ローンを借りることのリスクのひとつは、完済まで逃げられないことです。

賃貸で借りているなら、家賃が負担になるなら、家賃の安いところに引っ越すという対策が取れます。

住宅ローン返済が苦しくなっても基本的には逃げられません。

もちろん貯金が十分あって、住宅ローンの残高を完済できるとか売却した資金で完済できる残高なら終わりにできますが。

今回は「住宅ローン返済が滞ったらどうなるのか?」について触れたいと思います。

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金銭消費貸借契約書に触れてあること

住宅ローンを借りる時に金融機関と交わす契約のことを金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)と言います。

不動産やハウスメーカーの営業マンと金融機関の担当者間では、「金消契約(きんしょうけいやく)」と言われています。

住宅ローンを借りる時には、必ずこの金消契約が行われます。

そしてこの契約手続きの中で必ず約款についても説明がされます。

約款の一字一句全てを説明している訳ではありませんが、大切なポイントは触れられています。

「期限の利益の喪失」とは?

そしてこの約款に必ず記載されているのが、「期限の利益の喪失」です。

簡単に言うと「(金融機関の立場から)貸した金額は契約で決めた返済期日までに返済してもらえれば良いです。

金融機関は、理由もなくやっぱり来月全部返してくださいとは言えません。」というのが、「期限の利益」です。

要は「時間をかけてゆっくり返してもらって良いです」という権利です。

「期限の利益の喪失」は、

「時間を掛けて返す権利がなくなる」

返済期日前だけどすぐに完済してくださいと言われる」

ということです。

すぐに完済してくださいと言われる「期限の利益の喪失」はどんな時

約款に記載されている「期限の利益の喪失」として次のようなことが謳われています。

民法に基づくものとしては、

  •  債務者(住宅ローンを借りた人)が破産手続きの決定を受けた時
  •  債務者が担保を滅失、損傷、減少させた時
  •  債務者が担保を差し出さなければいけない状況でそれを行わない時

金融機関として定めた内容として(正確には金融機関と債務者で合意して定めた内容)

  • 契約違反があった(契約とは違う用途に資金を使った等)
  •  契約時に虚偽の申告をしていたことが判明したとき(収入や勤務先など)
  •  個人再生手続きをした 等です。

実際に「期限の利益の喪失」が適用されるケースとしては次のようなケースが考えられます。

  •  返済が滞った
  •  契約違反が判明した
  •  債務整理を行った
  •  差押えを受けた

返済が滞ることで何かが起こるであろうことは想像に難しくないと思います。

現実的に1回遅れたからと言って、「期限の利益の喪失」が適用されることはあまりないでしょう。

でも1回でも遅れれば、金融機関からは電話やお手紙は届きます。そして、状況の確認がされるケースは多いと思います。

2か月、3か月と延滞が続くと最終通告のようなお手紙が届いて、延滞分をいつまでに支払ってくれないと、一括返済を求められることが予告されます。

一括返済を求められること=期限の利益の喪失

契約違反とは

住宅ローンの場合、自宅として使う前提で融資したのに他人に貸して家賃を得ているようなケースです。

もちろん転勤でやむを得ず引越しをしなければならず他人に貸したいということも考えられますが、その場合も事前に住宅ローンを借りている金融機関に相談が必要です。

相談もせずに勝手に賃貸すると最悪の場合は融資残高の一括返済を求められることもあります。

債務整理とは

住宅ローン以外にもローンが増えてしまい、それらのローンが返済できない状況に陥ってしまった場合に行います。

返済中の債務の条件変更や残高の圧縮などを金融機関と交渉していきます。

当然、住宅ローンを貸している金融機関としても看過できなくなります。

差押えとは

税金の滞納で行われることが考えられます。どんなに住宅ローンの返済が遅れないように頑張っていても、税金を滞納していては問題です。

金融機関が自宅を担保として抵当権を設定していても、差押えが優先されます。

金融機関の立場では、差押えされた時点で担保はなくなったに等しいことになります。

そうなれば、当然、融資残高も全部返して欲しいという話になります。

住宅ローンの返済が滞りそうになったら

様々な理由で住宅ローンの返済が滞りそうになった場合、どうしたらよいでしょうか?

1番やってはいけないのは、カードローンなど他の融資を借りて、住宅ローンの返済に充てる自転車操業状態になることです。

住宅ローンの返済が厳しいのにさらに他のローン返済が増えることに無理があることは冷静なら気づけるのですが、目先の返済が厳しい状況だとその冷静さすらも失います。

まずやるべきことは、返済が厳しくなることが分かったら、借りている金融機関に相談することです。

「返済が厳しいなんて言ったら、自分に不利益が生じるのでは?」

と躊躇する気持ちが出てくるかもしれませんが、金融機関の立場では、延滞されることの方が問題です。

早ければ、何か対策を講じることも可能となります。

その対策は個別に相談しながら、検討することになりますが、例えば、半年間、返済を猶予して利息だけ支払ってもらうというものも考えられます。

半年の間で返済が再開できるように家計を立て直してもらうための猶予を作ってくれるかもしれません。でも、これらの対応も個別に相談をして、金融機関内の手続きを経ていかなくてはいけません。

手続きの過程で当然、これまでの返済実績や現状の返済能力なども加味されていきます。

もしその時、カードローンで住宅ローンの返済を穴埋めしてきて、カードローン残高が増えている場合、やはり心証はよくありません。

できるだけ状況が悪化する前に相談して、対応を検討していくことが重要です。

もちろん収入が増える見込みがないなど返済継続に不安を感じる場合、

 

「マイホームを持ち続けるのか」

「売却してローンを整理して、一旦、賃貸物件に引っ越すのか」

 

など根本的な対策を検討していく必要性も出てくるでしょう。

マイホームを持ち続けることがあなたの人生の優先度のどの程度なのか?

そんなことも再認識しなければいけないかもしれません。()

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 住宅ローン返済が滞ったらどうなるのか? すぐに完済を迫られる状況と、その前にとる対策を教えます。