昨今、日本でもFIREブームが起きています。


FIREとは「Financial Independence Retire Early」の頭文字をとった言葉で「経済的自立と早期退職」を意味します。


経済的に自立し、早期退職を実現することによって、自由な生き方を目指すという考え方に多くの働く世代が注目しています。


ですが普通に会社員として働いているだけでは当然のことながらFIREは達成できません。


早くして退職するということは、定年まで働くよりも早いスピードで資産形成する必要があります


実際にFIREを達成した手段として多いのは



・ 事業売却


・ 不動産投資


・ 株式投資



など、通常の給料だけでは得ることのできない大きなお金を得ることから始まります。


いきなり事業を作って売却することや、レバレッジを効かせて不動産投資を始めることは多くの方にとって難しいかと思います。


今回は投資初心者でもチャレンジしやすい株式投資でFIREを目指す3つの手法について解説したいと思います。



「お金を増やす」NISAやiDeCoと変額保険の違いや、メリットデメリットについて解説します。

FIRE達成に必要な資金額は?


具体的な投資手法に入る前にFIREを達成するために必要な資金額を確認しておきたいと思います。


一般的にいわれているのが


必要なFIRE資産 = 年間生活費 × 25倍

となります。


例えば年間生活費が300万円の場合はその25倍、7,500万円が必要なFIRE資金となります。


これは資産を4%で運用し、かつ資産の4%以内で生活することにより資産が枯渇しないというアメリカの研究(トリニティ・スタディ)を用いた計算方法です。


「4%ルール」ともいわれており、FIRE達成資金の目安として一番語られることが多い数字になります。


とはいっても7,500万円もの大金を準備するなんて難しいと思われた方が大半ではないでしょうか。


この金額は保有資産のみで生活することを想定した計算式です。


場合によっては100%の引退を目指すのではなく、多少なりとも労働収入を得る「サイドFIRE」という選択もあります


例えば年間150万円の労働収入を得ることができるならば資産から賄うべき年間生活費は半分の150万円になります。


そうすると必要なFIRE資金は


150万円 × 25倍 = 3,750万円

となり、まだなんとか手の届きそうな金額になるのではないでしょうか。


ご自身がどの程度の自由を求めるかによって準備するべき資産額は変わりますが、「完全に働かない」以外の選択肢もあるということを念頭に検討いただければと思います。


次からはFIRE達成のための投資手法について見ていきたいと思います。


(1) インデックス投資


まずは投資の王道、インデックス投資です。


市場に連動するように設計された投資信託をコツコツ積立、もしくは一括投資することによってFIRE資金を得ようとする手法です。


初心者にも人気のインデックスファンドとして



・ SBI・V・S&P500


・ 楽天VTI(全米株式ファンド)


・ eMAXIS Slim全世界株式



などがあり、実際に多くの方がこれらのファンドに投資しているのではないでしょうか。


米国株式や全世界株式に投資を続けることによって、長期的にはしっかりとしたリターンを得ることが想定できます


安定的に資産増加を目指したい投資家にとっては最適な投資先となります。


デメリットとしては安定的であるがゆえに爆発的なリターンは見込めません


インデックス投資で大きな資産を築くためには長い時間がかかります。


例えば想定利回り5%で毎月5万円積立をし、3,500万円に達するためには27年と5か月といった時間がかかります。


30歳の方だと60歳手前にやっと3,500万円に達する計算になりますので、FIREというには少し遅いかもしれません。


積立金額を大きくするか、一時金を投入する、後述する少しリスクの高い運用と併用するなど何かしらの対策が必要となるでしょう。


(2) 個別株取引


多くの方が「FIRE達成」と聞いてまず思いつく手法がこの個別株取引ではないでしょうか。


その名の通り値上がりが見込めそうな会社の株式を購入し、値上がりした時点で売却するいわゆる株式トレードを行うのがこの手法です。


株式の値上がり益(キャピタルゲイン)を取っていく手法になりますのでインデックス投資と比べるとそのリスクは大きくなります。


投資した会社が仮に倒産した場合や、よくない情報が流れた場合、決算が芳しくなかった場合など株価が下落してしまった時の損失は大きくなってしまいます。


その反面、投資した会社の株価が大きく値上がりした時はその分利益も大きくなります。


短期間で資産を数倍にすることも可能かもしれません。


インデックス投資と違い、銘柄選定と売買するタイミングが重要となります。


ほったらかし投資では通用しないのが個別株取引です。


初心者が安易に手を出すと資産が枯渇してしまう危険性もありますので注意が必要です。


保有資産の1割〜2割程度の資金で個別株取引を行うなど、しっかりとしたリスク管理が将来の資産額を左右するといっても過言ではないでしょう。


(3) 高配当株投資


会社によっては定期的に配当という形で株主に還元する施策を取っているところもあります。


その配当の割合が高いいわゆる高配当株に投資をするのがこの手法です。


個別株取引は株式の売却益(キャピタルゲイン)を得る手法ですが、高配当株投資は定期的な配当(インカムゲイン)を得る手法となります。


日本の高配当株だけでなく、海外の高配当株やETF(上場投資信託)に投資する選択肢もあります。


高配当株といっても配当利回りは高くても5%程度のことがほとんどです。


100万円分投資しても年間で得られる配当金は5万円程度ということになります(税引き前)のでインデックス投資同様、大きな投資元本が必要となります。


高配当株投資の場合はその配当金を年間生活費の足しにするという考え方が多いようです。


年間配当で150万円得ることができれば残りの150万円分は労働で賄えればサイドFIRE達成といった具合です。


定期的な収入が見込める反面、配当金は企業の状況次第で増減される場合が往々にしてあります。


見込んでいた配当金が得られないということも想定しておくことが必要でしょう。


自身のリスク許容度によって投資手法を組み合わせることが近道


株式投資でFIREを達成するための3つの手法を解説してきました。


大切なことはどれか1つの手法にこだわることなく、自身のリスク許容度に合わせてうまく組み合わせていくことです。


若くて独身ならばある程度のリスクは取れるかと思います。


その場合は個別株取引を中心に資産拡大を狙いつつも、インデックス投資も組み合わせて着実に増やすための資産も持っておく


逆に40代〜50代の場合は一般的にあまりリスク許容度は高くありません。


子どもの教育資金が必要な場合は特にでしょう。


その場合は時間はかかるかもしれませんが安定性の高いインデックス投資を中心にしつつ、少しずつ高配当株を買い増ししてインカムゲインを増やしていくという手法もありかもしれません。


他の年代と比べて相対的に収入が高いため、教育費が落ち着いた時点で大きく買い増しすれば大きなインカムゲインを得ることも可能でしょう。


いずれにせよ「これが正解」というものはありません。


それぞれのリスク許容度や考え方によってうまく組み合わせて投資と向き合うことが、結果としてFIREへの近道になると考えます。(執筆者:冨岡 光)


【つみたてNISAを始める方へ】筆者が後悔した点3つを解説

投資信託で「S&P500」と「VTI(全米株式)」投資するならどちらがおすすめか解説

退職金とDCを一時金として受給を予定している場合 タイミングによっては税の負担軽減が異なる 今年の税制改正で更にハードルが高くなる

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 【FIRE】株式投資で早期リタイアを目指す3つの投資手法