*13:10JST アイル Research Memo(10):長期的に営業利益率30%台を目指す ■成長戦略

1. 中期3ヶ年計画(ローリングプラン)
アイル<3854>は中期経営計画について、急激な事業環境の変化などに応じて随時計画を見直すローリングプランを採用している。この方針に基づいて2023年9月に2026年7月期を最終年度とする3ヶ年計画を策定し、2026年7月期の計画を売上高20,400百万円、売上総利益11,728百万円、売上総利益率57.5%、営業利益5,400百万円、営業利益率26.5%、親会社株主に帰属する当期純利益3,616百万円とした。前回の3ヶ年計画に対して売上高、利益とも上方修正した。さらに、長期的な目標として営業利益率30%台を掲げ、営業利益率20%超を盤石にするための足固めの3ヶ年と位置付けた。

基本方針としては、国策としてのDX推進を追い風に、システムソリューション事業、Webソリューション事業とも2ケタ成長を社内目標に設定している。システムソリューション事業では、営業エリアを従来の東名阪から100%リモートサポートを前提として徐々に拡大する。地方展開の進捗に応じて新たなパートナーの開拓も進める。大型案件への対応としてはパートナーとのコンタクト強化、優秀な技術者を中心とする人材確保に向けた採用活動を推進する。CROSS事業では「CROSS MALL」既存顧客の「BACKYARD(TM)」への移行を推進し、既存顧客の移行完了後に新規顧客開拓を推進する。コスト面では積極的な人材採用(年間でキャリア採用15~25名、新卒採用55名~65名)を継続するが、イニシャルに比べて相対的に利益率の高いストック売上拡大や、製版一体体制によるさらなる生産性向上などで吸収して利益率上昇を目指す。なお、システムソリューション事業における2023年7月期のクラウド商材の売上高は、「アラジンプロジェクトの管理強化クラウド」が2020年7月期比で4.9倍、「アラジンEC」が2.2倍となり、いずれも大幅に伸長している。また、CROSS事業の「CROSS MALL」から「BACKYARD(TM)」への移行については、おおむね2~3年の期間を要するため、その間は両基盤の並行稼働となり、費用が増加する見込みとしている。

なお同社は、現状の資本コストを9.5%程度(2019年7月期~2023年7月期の平均)と認識している。そしてROE(自己資本当期純利益率)はおおむね30%前後と株主資本コストを上回る水準で推移しており、業界(情報・通信業)平均を上回るパフォーマンスを出していると認識している。またPBR(株価純資産倍率)はおおむね8倍前後と業界(同)平均の2倍台を大幅に上回る水準で推移していることから、市場からも一定の評価を得られていると認識しており、今後も継続した利益率向上と人材投資により企業価値を高める方針である。

同社は、海外投資家比率の上昇および海外投資家との取材増加を受けて英文開示資料の充実を図りつつある。従来からの決算短信の英文開示に加えて、会社・ビジネスモデルの理解に資する英文資料も自社ホームページ上で公開している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 アイル Research Memo(10):長期的に営業利益率30%台を目指す