*16:16JST 窪田製薬HD Research Memo(6):臨床試験を進めるべく2023年内にもFDAと協議行う予定 ■主要開発パイプラインの概要と進捗状況

3. エミクススタト塩酸塩
スターガルト病とは網膜の遺伝性疾患で、小児期から青年期における視力低下や色覚障害などが主な症状として挙げられる。若年性黄斑変性とも呼ばれ、欧米及び日本では15万人弱の患者がいると推定され※1、罹患率は8千~1万人に1人の希少疾患となる。大半の患者は視力0.1以下に低下すると言われており、有効な治療法がいまだ確立されていないアンメットメディカルニーズの強い疾患の1つで、エミクススタト塩酸塩(以下、エミクススタト)は米国でオーファンドラッグに指定されている。スターガルト病の市場規模は2027年に約2,300億円(1米ドル=145円換算)になるとの調査報告※2もあり、開発意義は大きいと窪田製薬ホールディングス<4596>では判断している。

※1 Market Scope, 2015 report on the Retinal Pharmaceuticals & Biologics Market;UN World Population Prospects 2015
※2 WISEGUY RESEARCH CONSULTANTS PVT LTD Global Juvenile Degeneration (Stargardt Disease) Market Research Report- Forecast to 2027


2022年8月12日付で同社は、スターガルト病を適応症とした第3相臨床試験(被験者数194名)のトップラインデータを発表し、主要評価項目及び副次的評価項目においてプラセボ群との統計的な有意差が示されなかったことを発表した。主要評価項目である黄斑委縮の進行率については、エミクススタト投与群で1.280mm2/年、プラセボ群で1.309mm2/年であった(p=0.8091)。ただし、その後のデータ解析の結果、ベースライン時の萎縮病巣面積がより小さい被験者グループ(初期症状段階)に限ると、エミクススタト投与群の24ヶ月目の黄斑委縮進行率はプラセボ群に対して40.8%と大幅に抑制され、有意差のあることが示唆されたとしている(P=0.0206、エミクススタト投与群n=34、プラセボ群n=21)。同社ではスターガルト病患者のうち、対象となりうる初期症状段階の患者は全体の80%以上を占めていると推定している。第3相臨床試験でこれら被験者群の比率が約3割と低いのは、試験対象年齢を16歳以上としたことが要因と考えられる。

このため、同社は同試験データをもって共同開発を行うべく、候補先企業との交渉を進めている状況にある。候補先企業からは、同社が2023年内に予定しているFDAとの協議の結果(同試験データに対してFDAがどのように考えているか等)を確認してから方針を決めたいとの意向を受けているようだ。FDAとの協議により、再度臨床試験を行う場合の対象となる患者数の範囲が一定割合以上であることが確認されれば、開発の意義があるとみて共同開発契約が締結され、再度、臨床試験に進む可能性が出てくる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 窪田製薬HD Research Memo(6):臨床試験を進めるべく2023年内にもFDAと協議行う予定