*12:26JST CEHD Research Memo(6): 2025年に売上高170億円、営業利益17億円を目指す ■今後の見通し

2. 中期経営計画 2025
CEホールディングス<4320>は2022年11月に「中期経営計画 2025」(2023年9月期~2025年9月期)を発表した。経営目標として2025年9月期に売上高170億円、営業利益17億円(営業利益率10%)を掲げている。2021年12月に発表した「中期経営計画 2024」では2026年9月期に営業利益率10%を達成する計画だったが、その計画を1年前倒しで実現する上方修正を行った。成長戦略として「既存事業の収益拡大」「既存事業の強みを生かした新たなサービスビジネスの創出」「既存事業に次ぐ、成長事業の創出」という3つの戦略を掲げている。さらなる成長に向け、2030年9月期の営業利益率20%達成を決意表明し各戦略に取り組んでいる。

(1) 既存事業の収益拡大
ヘルスケアソリューション事業を中心に、販売面の強化、顧客満足度向上、製品の品質向上と機能強化、及び利益率の改善に取り組む。ICTを活用したヘルスケア関連サービスや、医療介護連携構築のための情報共有基盤の整備を進めるべく、業務提携などを通じた当該サービス拡大への取り組みを積極的に推進している。また、事業構造の転換も進めており、これまでの販売を主体とした顧客の獲得とともに、サービスを主体とした顧客の獲得にも取り組むことで、利益率を上げながら事業ポートフォリオを構築し、事業基盤を強化する方針である。

(2) 既存事業の強みを生かした新たなサービスビジネスの創出
同社は、電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ」販売を主力とした病院向けのSIerとして、院内情報システム構築の元請け実績を多数有している。複数製品で構成される医療施設のITシステム全体を把握し、これらの製品との接続・連携ノウハウを持つことが強みとなり、同社グループのコア・コンピタンスにつながっている。こうした点を生かすことにより、「新たな価値を継続的に提供し続ける高収益なサービスビジネスを創出」する。

また、小規模医療機関向けクラウド型電子カルテサービス「MI・RA・Is/QS」を2022年10月からサービス開始している。電子カルテシステムは、導入費用が数千万円~数億円規模になるため、導入に踏み切れない小規模医療機関(病床数20~99床)は多かった。しかし、電子カルテシステムをクラウド化することで、導入・維持コストの大幅な低減が見込める。そこで同社は小規模特有のニーズに特化した機能を実装したサービスを投入することで、小規模医療施設への販路拡大を狙う。なお、直販ではなく販売店での販売を中心に営業強化を図る方針だ。

(3) 既存事業に次ぐ、成長事業の創出
事業ポートフォリオの拡充とグループ内シナジー創出を狙い、デジタルマーケティング事業を開始した。ヘルスケア・メディカル分野のマーケティングの知見を獲得し、独自性を持った事業を確立する。また、DX問診、ePROをはじめとしたWebアプリの制作・開発支援(モバイルアプリ含む)を行うとともに、デジタルマーケティングにより、「コンシューマーへのアクセス」「非対面営業」「大量・少額のサービス販売」を行う。

同社が注力するデジタル問診サービス「かかりんDX問診」は、紙の問診票とは異なり、最初の質問の答えを受けて次の質問が変わるため、患者ごとに問診を掘り下げ、よりシャープで深い問診が可能となる。また、デジタル問診は選択的回答のため、答えと症状から疑われる病名等を規格的に整理・構造化することができる。この構造化されたデータを電子カルテに連携・反映させることで、診察時における医者の状況把握が容易になり、精度の高い診察が可能となる。病院だけでなく、企業等による健康問診にも利用できるため、多くの人の健康維持に貢献する。また、こうして集められたデータを統計的に解析することで、これまで見えなかった病理の症例や傾向を顕在化させることができ、医療のさらなる発展につながる可能性もある。

デジタル問診サービスの利用を拡大するためには、同社の製品を医療関係者だけでなく、一般コンシューマーにまで認知を広げるとともに、ユーザーの需要を捉えて製品機能の向上を図る必要がある。それには高度なデジタルマーケティング能力が必須となる。このため同社は、2022年2月17日付でサンカクカンパニーの全株式を取得し、完全子会社とした。サンカクカンパニーは2005年に設立され、大手企業やブランドのWebサイト再構築(リブランディング)、Webプロモーション支援(Web広告の企画・制作・運用、SNSを含む)等、企業のデジタルマーケティング全般をワンストップで支援している。サンカクカンパニーの子会社化により、同社はデジタルマーケティング分野を補完強化することとなった。デジタルマーケティングによる販路拡大で、同社製品の高付加価値化と他社との差別化を狙う。

3. さらなる成長に向けて
既存事業の収益拡大に加え、新たなサービスや成長事業を創出することによりグループ全体の収益性を上げ、2030年9月期までに営業利益率20%の達成を目指す。「ヘルスケアソリューションを通じ様々な社会課題の解決に向けこれまでにないサービスを提供する」という姿勢で、これまでにない新しいサービスの開発に取り組む。医療データは重要性が高く、取扱管理は慎重にされてきた。一方、生活の質を向上させるキー情報にもなり得る。同社はここに注目し、病院と社会の連携を支援できるような、より付加価値の高いサービス展開をする構想だ。ロードマップでは構想を3つのフェーズに分けている。フェーズ1ではカルテデータの医療機関による共有を容易にする。フェーズ2では、カルテデータと健康データ(アレルギー情報・既往歴など)をつなげ、患者がスマートフォンを活用し、統合された個人データを管理できるプラットフォームを構築する。フェーズ3では、カルテと統合されたヘルスケアデータにより様々な社会課題を解決する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 CEHD Research Memo(6): 2025年に売上高170億円、営業利益17億円を目指す