*15:08JST アウトソシング Research Memo(8):派遣DX化を見据えた次世代ビジネスモデルは順調に進展 ■アウトソーシング<2427>の主な活動実績

1. エンジニアとテクノロジーを融合した「派遣2.0」
「派遣2.0」とは、RPAやAI等の先端テクノロジーとエンジニアをセットで供給し、業務の効率化を運用までサポートする次世代型の派遣モデルである※1。多くの先進国で技術者不足が深刻化するとともに、ロボットやAI活用による業務の効率化・省人化ニーズが拡大するなかで順調に実績が積み上がってきた。ただ、オフィス系(一般派遣領域)については、当初の想定と異なりRPA需要が一巡する傾向にあり、今後は先端技術分野(サイバーセキュリティなど)の需要増を見据え、アライアンスによる先端技術者の育成/輩出を強化していく方針である。2022年12月期末の稼働数は808(前期末は604)※2に増え、売上高は約44.8億円(前期比約117.0%増)、売上総利益は約15.6億円(同約123.5%増)とそれぞれ2倍以上に拡大した。

※1 例えば、これまで10名の事務員派遣で成り立っていた業務に対して、同社グループによるロボット+エンジニアのセット派遣を併用することにより、事務員派遣は3名でこなすことが可能となり、結果として派遣先のトータルコストを引き下げることができるスキームとなっている。また、業務効率化によるコスト削減分を派遣先とシェアする収益モデルとなっているため、高い収益性が期待できる。
※2 同社では、人材、ロボット、ソフトウェアすべての働きを「稼働」としてカウントしている。


2. 派遣管理システム「CSM」
2020年10月より開始した「CSM」とは、市販されているクラウドシステムを同社グループが協業してカスタマイズした独自の「派遣管理システム」である。複数社への派遣発注を含むメーカー側の様々な煩雑業務※を「CSM」が解消することにより、派遣先との関係を強化し、付加価値向上を実現するところに狙いがある。また、派遣先にとっては、業務の効率化やコスト削減等に加え、適材適所での人材採用や評価制度の一元管理など、派遣スタッフ活用の精度やモチベーションを高めることができるほか、派遣スタッフの待遇改善や教育にも貢献することが期待されるため、社会的な意義も大きい。同社ではスケールメリットの追求やビッグデータの蓄積による提供価値の強化を目指しており、他社との連携にも積極的である。2022年7月29日には、製造派遣業界の主要企業10社(現在は16社)により「業界標準プラットフォーム」の共同開発に向けた資本業務提携を締結した。新たに設立された(株)クラウドスタッフィングに16社が共同出資するスキームとなっており、派遣管理業務のデファクトスタンダードを目指す構えである。2022年12月期末の累計ユーザー数は約1.9万人(前期末は約1.2万人)と順調に増えてきた。

※「CSM」導入に伴うメーカー側のメリットとして、1) 業務効率化(勤怠管理と請求管理)、2) コスト削減(派遣管理窓口の簡素化)、3) 定着率向上(生産性の向上)、4) 環境負荷軽減(ペーパーレス化、資源活用)、5) BCP(情報のデジタル化、業務継続)、6) 同一労働同一賃金対策(評価制度の一元管理)などが挙げられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

<AS>
情報提供元: FISCO
記事名:「 アウトソシング Research Memo(8):派遣DX化を見据えた次世代ビジネスモデルは順調に進展