■会社概要

1897年、澁澤倉庫<9304>は“日本資本主義の父”と言われる渋沢栄一によって創業された。渋沢栄一は明治から昭和初期にかけて官僚や実業家として活躍し、第一国立銀行や(株)東京証券取引所など数多くの企業の設立・経営に携わった明治期の偉人である。なかでも「わが国の商工業を正しく育成するためには、銀行・運送・保険などとともに倉庫業の完全な発達が不可欠」との信念により早くから物流の重要性を指摘し、自ら事業主となって、日本で最も古い近代的倉庫企業の1つと言われる澁澤倉庫部を創業した。渋沢栄一の肖像が次期日本銀行券の新1万円札の図柄に採用されることになったが、その理由は、渋沢栄一が「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という現在のサステナビリティに通じる考え方を持っており、こうした功績や精神を反映したためと思われる。渋沢栄一の精神を受け継いだ同社はその後も事業を拡大し、昭和初期にかけて主要港をはじめとする全国に支店を開設し、戦後は子会社設立などによって陸・海・空へと領域を拡大して総合物流の体制を築いていった。平成に入ると、顧客のニーズに合わせて海外展開を加速する一方、好立地にある所有不動産を活用して不動産賃貸業にも乗り出した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大(以下、コロナ禍)に加え燃油費高などリスクが増す現在において、同社は渋沢栄一の精神を基軸に、機械化・自動化などにより総合物流企業として進化を続けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 澁澤倉庫 Research Memo(2):“日本資本主義の父”と言われる渋沢栄一が創業