■事業内容

3. 事業セグメント
ブランディングテクノロジー<7067>は、ブランド事業、デジタルマーケティング事業、オフショア関連事業の3つの事業を展開している。2022年3月期の売上高、営業利益の構成比を見ると、売上高はブランド事業が29.3%、デジタルマーケティング事業が67.8%、オフショア関連事業が2.9%となっている。一方、営業利益(調整前)は、ブランド事業が57.9%、デジタルマーケティング事業が38.6%、オフショア関連事業が3.5%となっている。売上高はデジタルマーケティング事業が、営業利益はブランド事業がそれぞれ50%以上を占めており、この2つが共に中核事業としての役割を担っている。なお、近年はオフショア関連事業の売上高・利益構成比が上昇傾向にある。

(1) ブランド事業
ブランド事業では、オウンドメディアの構築・運用、経営サポート、コンテンツマーケティング、歯科経営コンサルティングなどを行っており、同社独自の「ブランドファースト」のフレームワークを活用し、顧客の「ブランド」を明確にし、顧客が抱える収益拡大課題、人材・育成などの課題に対し、顧客に合わせたソリューションを提供している。

典型的な新規顧客の場合、まずWeb制作系の受注から入る。ソリューションメニューにはWebサイトや動画・VR、ロゴ/キャラクターなどの制作があり、パンフレットなどオフラインメニューの制作も可能である。同社の顧客となった企業は、継続会員として経営サポート契約を結ぶ企業が多い。経営サポート契約の具体的な内容は、Webサイトの更新のほか、フロント人材が顧客の「らしさ」を明確にし、競合差別化要素やコミュニケーションデザインに基づいて、オウンドメディア(顧客企業自身が所有し消費者に発信する集客サイト)の構築・運用、経営サポート、コンテンツマーケティング、コンサルティングなどのサービスを定期的かつ継続的に提供・フォローする。これらのサービスは顧客に好評で、経営サポートを契約している継続会員は約2,900社に上っている。なお、制作系などのソリューション提供はスポット型収入、経営サポート契約に基づく収入はストック型収入となる。

(2) デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティング事業では、中堅・中小企業に対し、マーケティング戦略の設計、現状分析、戦略立案・実行、効果測定までワンストップで提供するなど、インターネット上の総合マーケティング支援を展開している。同社は、2006年から2007年にかけてグーグル及びヤフーとの間で代理店契約を締結して広告代理店事業へと進出したが、それが現在のデジタルマーケティング事業へとつながっている。インターネット広告の代理販売及び運用コンサルティングのほか、最新の広告テクノロジーを活用して広告効果を高める一方、継続的にPDCAを回すコンサルティングサービスも強化している。中堅・中小企業にはマーケティングに専門特化した責任者がいない場合が多いため、同社のフロント人材が顧客のマーケティング戦略を理解したうえで、現状分析から戦略立案・実行、効果測定までワンストップのマーケティングソリューションを提供している。さらに、プロモーション戦略を立案し、各種インターネット広告を活用することで顧客サイトのアクセス数を増やし、レポーティングによって課題を改善することで顧客の収益機会の拡大に貢献している。なお、デジタルマーケティング事業も顧客満足度は高く、約400社の顧客を有している。

(3) オフショア関連事業
オフショア関連事業では、連結子会社のアザナ及びVIETRYと連携して、Webサイトの制作や運用・開発などのソリューションを提供している。ITサービス業界では、ソフトウェア開発など労働集約的な要素が強い業務を、人件費が相対的に安い地方や海外にシフトする動きが目立つ。こうした動きは“ニアショア・オフショア戦略”などと呼ばれることもあるが、同社のオフショア関連事業はまさにこれに該当する。これにより、ブランド事業とデジタルマーケティング事業に対して、高品質なサービスをより低価格で提供することができる。加えて、この体制によって培ったノウハウを現地でサービス提供することにより、現地企業やアジアに事業所を持つ日系企業に対して、オウンドメディアの構築及び保守運用やデジタル領域における総合マーケティング支援も展開している。なお、オフショア関連事業の売上高は、ブランド事業やデジタルマーケティング事業からの社内受注と、外部顧客からの受注で成り立っている。近年は外部受注が着実に増加していることに加え、地域産業の振興にも貢献し始めるなど、注目すべき事業である。

(4) フリーランスネットワーク
同社は事業展開にフリーランスネットワークを活用している。企画・編集、ライター、動画・Web制作チームを擁する社内のコンテンツプロデュース体制と社内外の豊富なクリエイターネットワークにより、様々なコンテンツ表現が可能となっている。なお、2020年10月に設立された子会社の(株)ファングリーは、ブランド事業とシナジーのあるコンテンツマーケティング及びメディア運営に関する事業を行っている。特にコンテンツマーケティングにおいて、専門性の高いクリエイターに特化した社外のフリーランスネットワーク「hitch+(ヒッチプラス)」を独自に構築している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ブランディング Research Memo(4):ブランド事業とデジタルマーケティング事業が収益をけん引