■事業概要

パシフィックネット<3021>の事業セグメントは、サブスクリプション型サービスが大部分を占める「ITサブスクリプション事業」と、使用済みIT機器のデータ消去及び適正処理サービス等を手掛ける「ITAD事業」、「イヤホンガイド®」の製造販売・レンタル・保守等を手掛ける「コミュニケーション・デバイス事業」に区分される。

1. ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は法人・官公庁が業務で使用するPCのサブスクリプション(中長期レンタル中心)での提供及び、運用保守・クラウド等のITサービスが主な事業となる。同社が将来収益の拡大、持続的成長の基盤、環境変化への耐性強化として事業規模の拡大を進めている事業である。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響により、企業のテレワーク整備やクラウド化の進展、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が強く認識され、多くの企業でIT投資が進められる一方で、企業はIT担当者に負担を強いることになる。そのIT担当者への負担を和らげる意味でも運用保守などトータルなIT支援サービスのアウトソーシングニーズは高く、成長期待の大きい事業であろう。

主なソリューションとしては、働き方改革やBCP(事業継続計画)対策、感染症拡大によりテレワーク導入を検討する企業向けの「テレワーク関連ソリューション」のほか、デバイスの導入や通信環境設定、Windows10/Microsoft365、ヘルプデスクやデータ消去、デスクトップ仮想化などをパッケージ化し、各種運用管理の業務負荷軽減に対応した「Marutto(まるっと)365」が挙げられる。また、「まるっとテレワーク Marutto Device Service」では、社内ヘルプデスク、PCの保管・配送、アカウント登録・管理など、情報システム担当者も含めた全社でのテレワークを可能にさせるソリューションを提供している。その他、従来の基盤構築に加え、サーバーの仮想化やクラウド環境の構築、リモート対応を中心とした保守サービスを備えた「ITインフラ構築支援ソリューション」の提供により、企業の働き方改革や業務の生産性向上、デジタル化、アウトソーシングニーズに対応している。

2. ITAD事業
ITADとは、IT Asset Dispositionの略語であり、情報機器資産の適正処分を意味する。ITAD事業は、使用済みIT機器のデータ消去・適正処理サービス、リユース・リサイクル販売が主な事業となる。データの漏洩を防ぐため国内最高レベルのセキュリティ環境にて機器の回収及びデータ消去を実施しており、2019年12月に起きた同業他社のハードディスク転売事件を機に、需要は高まっている。また、回収した機器は、国内にてリユース・リサイクル販売することにより、コンプライアンスと環境問題にも貢献する。

3. コミュニケーション・デバイス事業
コミュニケーション・デバイス事業は、ガイドレシーバーで高い国内シェアを持つケンネットが、「イヤホンガイド®」の販売・レンタル・保守を提供している。「イヤホンガイド®」は送信機と複数の受信機からなる、手のひらサイズのワイヤレスガイド無線機で、約100メートルの距離まで届き、マスク越しや小声でも相手に明瞭に音声が伝わる性能を有している。旅行関連市場では国内トップシェアを有しており、観光地ガイドを中心に、国際会議での通訳や騒音の多い工場見学、美術館や博物館等などでも利用されているほか、近年は日本の世界遺産での採用も増えてきている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 PCNET Research Memo(3):ITサブスクリプション事業は事業規模の拡大を進める最重要分野