■ビジネス・ブレークスルー<2464>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) リカレント教育事業
リカレント教育事業の売上高は前期比4.5%増の3,036百万円、セグメント利益は同103.7%増の97百万円と増収増益となった。コロナ禍において法人向け集合研修サービスの中止や開催見直し等の影響が出たものの、代わってオンライン研修サービスの需要が拡大したほか、DX推進カリキュラムの新設による新規受注案件が増加したこと、個人向けでもオンラインで受講できるBBT大学/大学院の新規入学生が増加したことなどが要因だ。

個人向け教育サービスの売上高(単体ベース)は前期比1.3%増の1,278百万円となり、若干ながらも4期ぶりに増収に転じた。BBT大学経営学部の新規入学者数が、春期、秋期合計で前期比21名増の135名と5期ぶりに増加に転じたことや、在学生に対してキャリア相談や学習サポート機能を強化した結果、休・退学率が過去最低水準に改善したこともあり増収に転じたことが主因だ。一方、BBT大学大学院も2020年夏に厚生労働省の教育訓練給付金の支給対象プログラムに指定されたこともあり、春期・秋期合計で同49名増の136名と3期ぶりに増加に転じた。売上高については受講生全体で前期を下回ったため若干ながらも減収が続いた。BOND-BBT MBAプログラムについては2020年9月に過去5年間で最多となる40名が入学したほか、2021年1月期は38名が入学するなど堅調に推移した。

オープンカレッジについては、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応する新たなプログラムを開始したほか、問題解決トレーニングプログラムとして、自宅のオンライン環境下でビジネススキルを鍛える「BBTナイトGym」※1を2020年6月より開始した。2019年7月からサービスを提供している「BBTルーティン」※2とともに受講者数が着実に増加している。「BBTルーティン」については、複数企業から社員研修用として採用されたこともあり、2021年1月時点で1,500名を超える規模まで受講者数が拡大している。また、そのなかからBBT大学や大学院、その他のオープンカレッジに出願する受講者も増えてきている。コロナ禍において、リカレント教育に対する関心が高まっており、そのなかでもオンライン型教育サービスに対する需要が増加してきたものと考えられる。

※1 「BBTナイトGym」は、2021年6月1日に「ビジネスアウトプットGYM」に名称を変更し、サービスを拡充している。
※2 「BBTルーティン」とは、毎朝「AirCampus(R)」上に出題されるビジネスに関する題材に対して10分間で回答をアウトプットし続けることで学びの習慣を身に付けるサービス。通勤途中にスマートフォンを使って手軽にビジネス問題を解くコースとなる。


一方、法人向け教育サービスの売上高(単体ベース)は前期比8.1%増の1,723百万円と過去最高を更新した。第1四半期はコロナ禍の影響で集合型研修の開始時期を延期または見直す動きが出て売上高も落ち込んだものの、第2四半期以降は企業研修のオンライン化に対する相談も相次ぎ、新たに58社と新規取引を開始したこともあり、法人研修の受注額は前期比15%超の増加となった。そのほか、2020年5月から開始した個人別に最適化したカリキュラムを提供するオンライン研修サービス「BBTパーソナライズ」※については、既に2021年1月の開講時における受講者数が100名を超え、順調な滑り出しを見せている。金融機関や外資系企業等で導入が進んでおり、導入企業からの評価も高い。今後はAI技術を活用した個人別カリキュラムの作成を効率化していく仕組みを作り、さらなる拡販を目指していく方針となっている。

※「BBTパーソナライズ」は若手社員から経営トップまでを対象にした個別最適化オンライン研修サービス。受講者は事前アンケートを提出、Webによる個別面談を行い、同社が保有するコンテンツのなかから最適と思われるカリキュラム(個別カリキュラム、BBT厳選講座、映像ライブラリAirSearchの視聴)を視聴して、修了レポートを提出するまでのサービスとなる。研修期間は3ヶ月間。


また2019年7月に子会社化したITPJについては、従来、売上高の約95%を集合研修サービスで占めていたことから、第1四半期の売上高は前年同期比で半減したものの、BBTのオンライン教育のノウハウを活用して、第2四半期までにすべての研修プログラムをオンラインへ切り替えた。その結果、第2四半期以降は売上高も徐々に回復基調をたどり、第3四半期以降は前年同月並みに推移した。通期では減収減益となったものの、2022年3月期は収益も回復する見通しだ。

(2) プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業の売上高は前期比5.3%増の2,660百万円、セグメント利益は同62.5%減の39百万円となった。コロナ禍に伴う政府の要請に基づいて、特に幼児教育における大幅な縮小運営の影響により、第1四半期の売上高が前年同期比10.7%減と落ち込んだものの、通常運営を再開した2020年6月以降は売上高も回復し、通期では過去最高売上を更新した。一方、利益面では、AJIS光が丘キャンパスの校舎改装費用23百万円、並びに2020年4月に開校したAJB中野キャンパスの開設費用や2021年4月に開校したAJB下目黒キャンパスの開設準備費用を合わせて128百万円計上したことが減益要因となった。利益額が低いように見えるが、実質的な収益力を示すEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)では前期比14.1%減の225百万円と、リカレント教育事業の213百万円を上回る水準となっている。

AJISでは、2020年2月末から6月末までの間、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、初等部以上の生徒を対象に通学を停止し、100%オンライン教育に切り替えて授業を実施した。3年前よりブレンド型教育に取り組んできたノウハウを生かした格好で、コロナ禍の影響を全く受けずに6月までのスクールイヤーを終了することができた。新スクールイヤー(2020年8月~)の生徒数は前年比47名増の565名と順調なスタートを切っている。なお、光が丘キャンパスの第2段校舎改装は2021年夏にも実施予定で、学習環境の向上と1割超の定員増を実現する計画となっている。なお、8月の新スクールイヤーに入ってからは、通学とオンラインの混合で授業を進めている。中等部や高等部など高学年についてはオンライン化率が5割に達しているが、初等部についてはまだ通学比率が高い。これは自宅の環境の違いなどによって、オンラインでの学習の理解度に差が付きやすいためで、オンライン教育における今後の課題ともなっている。とは言え、学校でのオンライン教育をいち早く実践できたことは大きく評価される。

AJBでは、2020年4月に5拠点目となるAJB中野キャンパス(定員数144名)を開校したことによる生徒数の増加があった一方で、三鷹キャンパスから一部MISTに転校する生徒が出たこともあり、全体の生徒数はほぼ前年並みで推移した。MISTについては2019年に校舎を改装し学習環境の向上に取り組んだことにより、新スクールイヤー(2020年8月開始)の生徒数が前年比38名増の123名と好調な滑り出しとなり、営業損益も黒字化の目途が立った。MISTについては定員数が300名とまだ余力があり、今後も生徒数増加による収益増が見込まれている。なお、2021年3月期末のグループ全体の生徒数は1,192名となっており、2014年の事業開始以降5.2倍に増加している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 BBT Research Memo(5):リカレント教育事業は増収増益。プラットフォームサービス事業は通期で過去最高売上