■今後の方向性

1. 社長交代を伴う新経営体制への移行
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は2021年4月1日に、社長交代を伴う新経営体制への移行を公表した(2021年5月27日開催予定の定時株主総会を経て正式に決定)。現社長である岡本晴彦氏は、1999年の同社創業以来、「スピード、クリエイティブ、チャレンジ」という経営理念に基づき、立地に合わせて多様な業態を開発し展開する「マルチブランド・マルチロケーション戦略」を推進し、さらには様々な企業文化のもとでグループとしての成長を目指す「グループ連邦経営」への転換をけん引してきた。社長交代の時期を探るなかで、今般のコロナ禍をきっかけとした環境変化(ニューノーマル)への対応を柔軟に進め、将来を見据えた事業モデルの構築に取り組んでいくためには、今のタイミングしかないと判断したとの見方ができる。また、足元のコロナ禍についても、筋肉質なコスト構造への転換や財務基盤の整備を主導した結果、その対応の道筋に一定の目途がついたことも後押ししたものと考えられる。なお、新社長候補の川井潤(かわいじゅん)氏は、2003年より岡本社長のもとで管理体制の構築、株式上場準備、M&Aの推進及びグローバル事業の展開を推進してきた実績があり、直近では専務取締役として海外事業部及び財務企画部管掌に就いていた。

2. 今後の方向性
同社は、毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を公表してきたが、今回はコロナ禍の影響により先行き不透明な状況にあることから現時点で公表を見送っている。新経営体制が正式にスタートした後(定時株主総会開催後)、今後の経営方針などの発表があると考えられるが、当面は基礎収益力の強化や基盤整備に取り組んだうえで、来期(2023年2月期)以降、再成長に向けた投資の中身やタイミングを見定めていく考えに大きな変更はないようだ。

3. 弊社の注目点
弊社でも、まずはコスト削減や資源配分の見直し、新たなビジネスモデルの構築等により、例え売上収益が100%元の状態に戻らなくても、利益を出せる収益構造に転換していくことが当面の戦略テーマと捉えている。それが実現すれば、業界再編を伴う環境変化は同社にとって成長のチャンスが広がる可能性も高まるだろう。また、シェアードサービス会社の設立にも見られるように、これを契機としてグループ内の連携やシナジー創出が一気に加速するプラスの効果も期待できる。この難局をいかに乗り切り、事態収束後の持続的な成長に向けた基盤づくりを進めていくのか、何を引き継ぎ、何を変えていく必要があるのか、新体制による今後の経営手腕に期待したい。


■株主還元等

2021年2月期はコロナ禍に伴う損失計上により配当見送り。2022年2月期の中間・期末配当については現時点で未定

2021年2月期はコロナ禍において損失を計上したことにより配当見送りを決定した。また、2022年2月期の中間・期末配当についても、依然先行きが不透明な状況のため、現時点で未定としている。一方、株主優待制度については、重要な株主還元策として位置付けており、今後も継続していく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


<ST>
情報提供元: FISCO
記事名:「 クリレスHD Research Memo(9):社長交代に伴う新経営体制への移行を公表