■株主還元策

Jトラスト<8508>では株主への適正な利益還元及び安定的な配当の維持を配当政策の基本としている。2018年3月期は、業績予想を下方修正したが、配当については2017年3月期並みの中間6円、期末6円の年間合計12円の配当を継続した。2019年3月期も、2018年3月期と同水準の配当を計画していたが、業績予想の大幅な下方修正に伴い、中間6円、期末1円、年間合計7円への減配を発表した。また、業績予想及び配当予想の減額修正に対する経営責任を明確にするために、役員報酬支給の取止め・減額を発表している。

一方、同社では2018年5月14日に、新たな株主優待制度の導入を発表した。すなわち、同社株式300株以上保有の株主を対象に、対象となる株主1名につき2,500ポイント分の楽天ポイントを付与する。同ポイントは、楽天<4755>グループが運営するインターネット・ショッピングモール「楽天市場」、オンライン書店「楽天ブックス」、旅行予約サービス「楽天トラベル」などのサービスにおいて、1ポイント1円として利用可能である。3月末、9月末の配当に、6月末、12月末の株主優待が加わり、四半期ごとにイベントがある。この株主優待制度が、同社株式への投資意欲を高め、中長期的な保有を促すと期待される。



■情報セキュリティ対策

安心、信頼できる持続的な企業を目指す
昨今、我が国でも、企業に対する大規模なサイバー攻撃のリスクが懸念されるようになったが、同社の主業務である金融サービスにおいては、とりわけ安全なシステムが求められる。同社の事業活動において、顧客から預かる情報は極めて機密性が高い情報であり、社内に蓄積した情報を含めた情報資産を、盗難、不正アクセス、不正利用などの脅威から守り、かつ紛失、漏えい、改ざんがないよう、厳格で適正な管理体制が必要である。同社グループは、個人情報保護法に準拠した安全管理措置を講ずるために、個人情報の取扱い及び情報管理等に関する「個人情報保護規定」を制定するとともに、個人情報漏えいを未然に防ぐ行動指針として「情報セキュリティ基本方針」を定め、全役職員がこの方針に従って行動するとしている。

また、同社グループでは、「情報セキュリティ基本方針」に基づいてITシステムを整備し、情報セキュリティを維持・管理していくための全社的なシステム開発、リスクアセスメント、セキュリティマネジメント体制を整備することで、安全性及び機密性を維持している。さらに、多数の個人情報を取り扱うグループ企業でも、第三者である審査登録機関より、ISMS(Information Security Management System: ISOによるマネジメントシステム規格)及びプライバシーマーク((一財)日本情報経済社会推進協会が、個人情報の適切な取扱いを行っている事業者に対し使用を許諾する登録商標)の認証を取得し、情報セキュリティレベルの向上に努めている。

国内の情報セキュリティ対策は、100%子会社のJトラストシステム(株)が中心となって対応し、日常的に社員のパソコンのモニタリングなども行っている。また、海外では各国のコンサルタントを使って、各国の制度に応じた情報セキュリティ対策を講じているなど、内外の制度や環境の変化に応じて、絶えず情報セキュリティ対策の改善・修正を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 Jトラスト Research Memo(8):2019年3月期は減配を予定も、株主優待制度が好評