■今後の見通し

1. 2019年6月期の業績見通し
Abalance<3856>の2019年6月期の連結業績は、売上高で前期比0.3%増の7,323百万円、営業利益で同44.7%減の512百万円、経常利益で同35.7%減の562百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同50.2%減の377百万円となる見通し。2018年6月期はグリーンエネルギー事業で期ズレ案件が寄与したこともあり、実態よりも利益が大きく出たことや、2019年6月期よりストック型ビジネス(売電事業)に注力していく方針を打ち出しており、自社ソーラー発電所の取得・増強に伴う投資費用が増加することも減益要因となる。

なお、建機販売事業については人件費を削減することで50百万円程度の利益(前期は75百万円の損失)を見込んでいるほか、IT事業については売上高で2億円弱(前期は81百万円)、セグメント利益で60百万円(前期は8百万円の利益)と増収増益を見込んでいる。2018年6月より投入したRPA技術を活用した太陽光モニタリングシステムの販売増を見込んでいる。また、営業外収支が1億円ほど改善する見込みとなっているが、これはVSUNが持分法適用関連会社として加わり持分法投資損益の改善を見込んでいることによる。

主力のグリーンエネルギー事業に関しては、国内で売電開始直前の竣工案件や既に売電中の太陽光発電所を取得していくほか、自社グループでの開発を進めていく計画となっている。直近では2018年7月に大分県中津市で稼働中のソーラー発電所(発電能力1.98MW)を土地所有権も含めて取得したと発表している。同発電所はFIT価格40円/kWhの案件で、稼働開始から4年経っているため残り16年間を40円/1kWhで電力会社に販売できることになる。加えて同発電所敷地内に今後1MW分のソーラー発電所の増設も進めていく計画となっている。発電量力は合計で約3MWとなり、年間の売電収入は1.5億円前後と予想される。発電所取得も含めて総投資額は約12.6億円となる見込みだ。なお、ソーラー発電所の減価償却期間は稼働開始から17年間となっており、定額償却法を採用する。

同社では今後もソーラー発電所の能力増強を進めていく予定で、2019年6月期は売電事業の売上高だけで4~5億円、営業利益率で20~25%を見込んでいる。ちなみに、2018年6月期のグリーンエネルギー事業の売上内訳を見ると、6~7割がソーラー発電所の販売収益で占められており、EPC※販売収益及び物販で3割弱、保守・メンテナンスで2%程度の水準となっている。今後はソーラー発電所販売収益の構成比が下がり、売電事業や海外事業の売上構成比が上昇していくものと予想される。

※EPCとは発電所等の建設に関する契約の1つで、設計(engineering)、調達(procurement)、建設(construction)を指す。


なお、直近の動きとしては蓄電池の引き合いが増えていると言う。住宅向け太陽光発電の「2019年問題」※を控えて蓄電池の需要が伸びるとの見方から、先行した動きが出ている可能性がある。

※住宅用の太陽光発電については、2009年に「FIT制度」が設けられ、余剰電力を当初設定された固定価格で電力会社が買い取っていた。期間は10年間に設定されており、11年目以降は電力会社の買取義務が無くなる。このため、売電できたとしても大幅に低い価格になることが見込まれ、売電するよりも蓄電池等を購入して自家消費するほうが経済的にプラスとの見方が出ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 エーバランス Research Memo(5):アジア新興国の再生可能エネルギー市場を取り込み、高成長を目指していく方針