以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家もきち♪氏(ブログ「もきちのきもち 株とコンピュータ編」「もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年7月17日15時に執筆

インターネットにはいろいろな情報が公開されています。投資の参考になる上場企業の情報を調べるにも便利です。

身びいきかもしれませんが、「誰でも」、「無料で」、「会員登録せずに」閲覧できる企業情報としてFISCOのサイトも充実していてお勧めです。

◆業績の例

<7203>トヨタ自動車をFISCOの企業情報で表示し、「業績」に並んでいる項目です。

単位:百万円
決算期     売上     営業利益   経常利益  当期純利益
16.3期 連 実  28,403,118  2,853,971  2,983,381  2,312,694
17.3期 連 実  27,597,193  1,994,372  2,193,825  1,831,109
18.3期 連 予  27,500,000  1,600,000  1,800,000  1,500,000

企業会計に慣れていない人はこれを見て少し戸惑うかもしれません。利益が「営業利益」「経常利益」「当期純利益」と3種類並んでいます。

利益は1つではないのです。

でも、もとになっている損益計算書を見ると「売上総利益」があったり、「純利益」には「税引前」が付いたり付かなかったり、「株主に帰属する」が付いたりでもっとややこしくなっています。

この3種類はよく使われる利益なのです。

そこで、今回は売上とこの3種類の利益について確認します。

◆売上

売上は、本業での収入です。

例えば、コンビニエンスストアで100万円分の商品が売れたら、売上は100万円です。

他の会社の株式を持っていて配当金を10万円受け取っていても、本業以外の収入ですので、売上は変わらず100万円です。

仕入れに50万円使っていても、売上は100万円です。

◆営業利益

営業利益は、本業での利益です。

利益は収入から費用を引いて求めます。本業での収入が売上なのですから、そこから本業で必要だった費用を引いて求めます。

仕入れ費用や人件費、お店や事務所の賃借料、電気代等々、本業を営むうえで必要な全ての費用です。

◆経常利益

経常利益は、毎年発生する事柄の利益です。

営業利益で本業の利益が計算できました。本業は毎年営みますので、この営業利益を基準にします。

本業以外で、例えば売上に足せなかった他の会社からの配当金や、受取利息などの毎年発生する収入から、借入金の支払利息や、手形の割引料、社債の利息などを引いたものが営業外損益となります。

営業利益に営業外損益を足したものが経常利益となります。

◆当期純利益

当期純利益は実際にその期に得た利益になります。

その期だけ特別に発生した損益である「特別損益」もすべて含めます。

昔買った不動産がたまたま帳簿に計上している価格(簿価)よりも高く売れたような一時的に発生した収入や、自然災害にあって被害を受けたような二度と起こってほしくない損失などが特別損益となります。

例えば、<6502>東芝が半導体メモリー事業を簿価に「のれん代」を上乗せして売却すると、事業売却は本業ではありませんので、「のれん代」が特別利益となります。

◆利益と言われたら

このように、利益と言っても色々あります。利益を検討するときには、目的に合わせて使い分ける必要があります。

例えばPER(株価収益率:Price Earnings Ratio)は「純利益」で計算することが多いようです。

また、「営業利益」がマイナス(営業損失)なのに、「純利益」がプラスの場合には、本業以外で利益を得ているということです。

昔買った不動産が簿価よりも高く売れたような特別利益があったときに、経営戦略的に売却したのか、純損失を避けるためだけに売却したのかで評価が変わってきます。

このように詳しい内容が知りたい場合には、決算短信や有価証券報告書などのIR資料を調べることになります。

そのための第一歩として、企業情報の業績を読み解くことが必要だと思います。

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執筆者名:もきち♪
ブログ名:もきちのきもち 株とコンピュータ編
もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【FISCOソーシャルレポーター】もきち♪:企業情報の業績の見方 一口に利益と言われても