■要約

ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業を手掛ける。顧客は大企業が中心。子会社にソーシャルメディアに関する分析・コンサルティング分野で業界トップクラスの(株)トライバルメディアハウス、オフィスの業務生産性向上に寄与するクラウドアプリを提供するrakumo(株)を持つ。

1. 2017年3月期は大型プロジェクト一巡の影響等により、8期ぶりの営業損失に転じる
5月10日付で発表された2017年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.2%減の5,906百万円、営業損失で206百万円(前期は146百万円の利益)となった。大型プロジェクト一巡による売上減少や前期発生したプロジェクトトラブルの収束が遅れたことに加えて、下期に入って新規プロジェクトの納期遅延が発生し、受注損失引当金69百万円を計上したことが減益要因となった。

2. 2018年3月期は前下期に取り組んだ収益改善施策の効果により収益回復を見込む
2018年3月期の業績は、売上高で前期比5.0%増の6,200百万円、営業利益で110百万円と黒字転化を見込む。前期発生したトラブルプロジェクトについては上期までに収束することが見込まれること、前下期から取り組んできた営業プロセスの見直しやプロジェクト管理体制の強化、製販一体の組織体制への移行による生産性向上の効果が、今期は顕在化するものと予想している。半期ベースでは上期まで損失が続く可能性があるものの、通期では2期ぶりの黒字に転化する見通しだ。

3. 自社メディアサイト「Funmee!!」を開設、新たな取り組みとして注目
同社は中長期的な成長戦略として、デジタルマーケティング領域におけるソリューションサービスの強化に加えて、それを補完するツール、ライセンスサービスや自社メディアサービスの投資、育成も進めていく方針だ。ツール、ライセンスサービスでは米セールスフォースのマーケティングオートメーションツール等と組み合わせながら顧客企業へのソリューション提案を進めていく。また、自社メディアとしては子会社のトライバルメディアハウスにおいて2016年12月に立ち上げた「Funmee!!(ファンミー!!)」が注目される。「Funmee!!」は共通の関心事やライフスタイルを持った人々が集うメディアサイトとなっており、BtoC企業にとってファン層の囲い込みや市場リサーチ等に活用できるサイトに育成していく考えだ。今期中にスマホアプリもリリースする予定となっている。当面はアクセスユーザー数を積み上げていくフェーズとなるため、収益への貢献は期待できないものの、ユーザー数が増加しメディア価値が高まれば、広告収入やマーケティング支援サービスとしてマネタイズしていくことになり、今後の動向が注目される。

■Key Points
・インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業が主力
・不採算プロジェクトの影響が一巡し、2018年3月期の収益は増収増益に
・今後2年間で持続的成長に向けた事業構造の転換を図る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ネットイヤー Research Memo(1):デジタルマーケティングテクノロジー会社としてトップを目指す